酒匂隆雄のトレードに勇気を!第1話「英語と麻雀の学生時代」

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伝説のディーラー

外国為替ディーラーとして外銀を渡り歩いた日本人第一号として外国為替の世界で広く知られる酒匂隆雄氏。
外国の中銀から依頼されて数々の為替介入を経験した稀有な存在として小説にも登場しています。
この対談企画では酒匂隆雄氏のディーラーとしての半生を追いながら、1人のディーラーとして獲得してきた数々の知見や成長譚を掘り起こしていきます。

 

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PickUp編集部:
まず生い立ちを伺いたいのですが。ご出身は広島とお聞きしました。
酒匂:
生まれは広島で、高校時代は広島市の受験校に通っていました。もう男ばっかりの学校でね。高校1年の終わりに父親の転勤で神奈川県の平塚市に引っ越して他の高校に編入したんですが、こんどは女性の方が多い!もう、すごい楽しかったですね。
PickUp編集部:
よくわかります(笑)。ところで酒匂さんはどんな学生だったのですか。
酒匂:
じつは広島で1年間通っていた高校は進学校で、だいたいのことはもう習い終えていたんです。だから学業は楽勝で、当時はバイクを乗り回してビートルズを聴いていましたよ。
PickUp編集部:
酒匂さんが......想像しづらいですね。
酒匂:
とにかく遊んでばかりいました。でも3年になるとさすがに大学受験を考えないといけない。
PickUp編集部:
ですよね。
酒匂:
当時の数学の先生に恐ろしい人がいましてね、「おまえはなんで勉強しないんだ!」とバチーンとやられまして。
PickUp編集部:
あ、そういう時代ですね......。
酒匂:
「おまえ将来なにするんだ?」と聞かれて、「英語が好きだから商社とかにいきたいです」と答えて。その先生に受験する大学を聞かれたので、ある私立校を挙げたら「もっと勉強したら公立もいけるだろ」と言われたので「いや、行けないし行く気もありません」と返したらまたバッチーンとやられて。
PickUp編集部:
こわい先生ですね!
酒匂:
それで毎週土曜にその先生の自宅に行って数学の猛特訓を受けまして。
PickUp編集部:
じつはいい先生だったと。
酒匂:
それで模試を受けてみたところまあまあの成績だったので「じゃあどこの大学にしようか」ということになりました。
PickUp編集部:
どちらの大学にしたのですか?
酒匂:
ちょうどその時、NHKで「新日本紀行」という番組がやっていましてね。北海道のすごくきれいな景色が広がって、しんしんと雪が降っていてね......。それで「よし、北海道大学にいこう!」と決めたんです。
PickUp編集部:
え、そんな理由で!?
酒匂:
そんな理由です(笑)。

英語と麻雀の日々

PickUp編集部:
北大ではどのような学生でしたか?
酒匂:
ひたすら麻雀をやっていました(笑)。
PickUp編集部:
(笑)。
酒匂:
あとはESSっていう英語のクラブ活動を一生懸命にやっていましたね。
PickUp編集部:
そういえば、酒匂さんは日頃からとても流暢な英語を話されています。英語は子どもの頃から得意だったのですか?
酒匂:
小学5年の頃、父親に近所のルーテル教会に連れていかれたんですよ。
酒匂:
そこにオルソン先生という鬼のような形相のやさしい牧師さんがいましてね。
PickUp編集部:
やさしい鬼......。
酒匂:
日曜の午後にその教会にいってみんなで英語の絵本を読んで、その頃からすごく英語が面白いなと思っていました。それで中学、高校にいってもずっと英語が好きで。父親が感化してくれたおかげで英語が好きになりました。まあ父親のおかげですね。
PickUp編集部:
それが後にすごく役に立ってくるわけですね。
酒匂:
そうです!だからお子さんがいる方にも「小さいうちから親しませてあげてください」と申し上げています。

 

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後に大いに役立つ英語を培ったのは父親のおかげ

 

PickUp編集部:
で、北大で4年間を過ごされた。
酒匂:
まあ成績はぜんぜん良くないんですけれども......。麻雀と英語しかやってないですからね(笑)。
PickUp編集部:
就職はどうされたのですか?
酒匂:
それが大学3年の2月ですけれども。徹夜麻雀したあと下宿で10時頃まで寝ていたんですね。
酒匂:
そうしたらある銀行の人事部にいる先輩がいきなり訪ねてきて「あなた来ませんか?」と誘ってきたんです。
PickUp編集部:
展開が早い!ではその銀行に就職したんですね。
酒匂:
いや、キッパリ「行きません」と言いました。
PickUp編集部:
え、断っちゃったんですか!?

 (続く)

Pickup編集部より

伝説のディーラーとして名を馳せる酒匂隆雄さん。

早くから経済や金融の世界に目覚め......というわけでは決してなく、学生時代はよく遊び、大いに青春を謳歌する少年だったようです。

後に大きな武器となる英語や、ゲームを制する力を培った麻雀を始めた動機は「なんとなく」。

とはいうものの直感で決めた北海道大学への入学が結果的に将来の可能性を切り開いたことといい、おせっかいで面倒見のいい人たちに支えられたことといい、なんらかの「運」や「縁」がディーラーとしての才覚を開花させる方向に導いているように見えてくるから不思議です。

 

sakou.jpg酒匂隆雄
酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表 1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で敏腕ディーラーとして外国為替業務に従事。その後1992年、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長に就任。 その一方で2000年には日経アナリストランキング・為替部門にて第1位を受賞するなど、コメンテーターとしても高い評価を得ている。

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