
作成日:2026年3月11日
原油高に翻弄された日本株、パニック売りからリバウンドへ
週明けにパニック的な暴落となった日本株ですが、足元では急落後のリバウンドを見せています。日経平均株価は3月9日に大幅下落後、翌10日は大きく切り返し、11日前場段階で5万5,200円台まで回復しました。
現在の株価は、企業業績よりも「原油価格と中東リスクの行方」に強く影響されています。直近で株価が持ち直した最大の理由は、G7とIEA(国際エネルギー機関)が連動し、「過去最大規模(1億8,200万バレル超)の石油備蓄の放出案」が浮上したためです。これにより、9日に119ドル付近まで高騰していたWTI原油先物価格は10日に一時76ドル台まで低下し(11日11時現在は83ドル台)、市場の警戒感が和らいでいます。
投資家心理が上向いた理由と、残る不安材料
市場心理が明るくなった背景には3つの好材料がありますが、同時に懸念材料も残っています。
ポジティブ材料
① 最悪の事態を防ぐ「強力な政策」への期待
原油不足が完全に解決したわけではありませんが、「原油枯渇による世界的なスタグフレーション(不況下の物価高)」という最悪のシナリオが、石油備蓄放出観測でひとまず後退しました。
② 国内GDPの上方修正
2025年10-12月期の国内GDPが年率1.3%増へ上方修正されました。原油高の逆風下でも個人消費や設備投資が上振れ、日本経済が失速していないことが確認できた点も株価の支えです。
③ 2022年(ロシア・ウクライナ侵攻時)との比較
今回の急落を2022年(侵攻直後〜約4ヶ月)と比較すると、株価は売られ過ぎ感が強い状況です。
- 原油の上昇幅: 2022年は+60%、今回は+20〜40%。
原油ショック自体は2022年より小さいのに株価の下げは同等以上であり、短期的には「売られ過ぎ」の可能性があります。 さらに、現在の日本株はガバナンス改革などの追い風もあり、中長期では上向きの流れが維持されやすい環境です。
ネガティブ材料:石油備蓄放出はあくまで「応急処置」
今回、石油備蓄放出がされても、2022年同様、あくまで一時的な「応急処置」に過ぎません。日本は原油輸入の約95%を中東に頼り、その約70%がホルムズ海峡を通ります。2月末からタンカーの通行はほぼ止まっており、根本的な解決が見えない中での原油高の長期化は、日本企業の大きな負担になります。期待先行の株高は、悪材料が出れば再び荒れやすい点に注意が必要です。
イラン情勢の「3つのシナリオ」
今後の株価を左右するイラン情勢は、大きく3つのシナリオが考えられます。
- 収束: 軍事作戦が早期に終わり、原油の輸送ルートが回復(プラス材料)。
- 膠着: 報復は止まるが、ホルムズ海峡の緊張状態が長く続く(上値が重い)。
- 拡大: イランのモジタバ新体制の強硬化リスク対立が激化(マイナス材料)。
市場は現在「2. 膠着」を想定しつつ、「3. 拡大」のリスクに怯えており、ニュース1本で株価が急落する危険は残ります。
日銀とFRBは「板挟み」。来週は「異例のイベント集中週」
来週は、日米で重要イベントが重なる「スーパーウィーク」となります。
- 米FRB・FOMC(3/17〜18): インフレと景気のバランスに悩む中、パウエル議長の発言トーンが最大の焦点です。
- 日銀金融政策決定会合(3/18〜19): 「原油高による物価上昇」と「中東情勢による景気悪化」の板挟みとなり、今回は「政策金利据え置き」の公算が大きいです。
- 日米首脳会談(3/18〜19): これらの中銀会合と全く同じタイミングで予定されています。
足元の株式市場は、「結果」以上に発表前の思惑や金利予想で上下しやすい状態です。11日夜発表の「米2月CPI」次第では、米金利が上昇して株価の重石になる可能性もあります。
【テクニカル分析】売られ過ぎからの反発も、上値の重さに注意

現在の「自律反発」の動きは、チャート分析からも裏付けられます。
- RSI(9日): 直近の暴落で「売られ過ぎ」の目安である25を下回りましたが、足元では30付近まで上向きに転じており、「下がり過ぎた反動の買い」が入りやすい状態です。
- 移動平均線(10日): 一方、短期トレンドを示す10日線は下向きカーブを描き、現在5万5,900円付近に位置しています。
株価は10日線付近まで急速に回復しましたが、「下向きの移動平均線」は上値の壁(レジスタンス)として意識されます。 RSIの反発サインは前向きですが、10日線の形を考慮すると、本格的な上昇トレンド回帰には時間がかかりそうです。
日経平均の予想レンジ:5万2,000円〜5万6,500円
パニック的な売りはいったん落ち着き、「売られ過ぎ」からの見直し買いが入っています。しかし、相場を押し上げているのは「石油備蓄放出への期待」であり、中東の危機が去ったわけではありません。
そのため、どんどん値上がりする相場ではなく、テクニカル分析が示す通り「上がったところでは利益確定の売りが出やすい(戻り売りが出やすい)相場」になると予想します。
米CPIが無難で原油が落ち着けば、5万6,500円近辺までの回復もあり得ます。しかし、備蓄放出期待の低下やイラン情勢の悪化があれば、再び5万2,000円台まで下がる展開も考えられます。「原油ニュース次第の神経質な相場」として、慎重な取引が求められます。
今後の重要イベントスケジュール
来週に向けて、今週後半は利益確定やポジション調整が出やすくなります。
- 3/11(水) 【米国】2月消費者物価指数(CPI)
- 3/13(金) 【国内】メジャーSQ算出日
- 3/19(木) 【米国】FOMC結果発表・パウエル議長会見(※日本時間未明) / 【国内】日銀会合結果発表・植田総裁会見 / 【日米】日米首脳会談(予定)
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