
【相場見通し】ドル円を動かす3つの要因
現在、米ドル/円は157円前後で不安定な値動きが続いています。この背景には、主に3つの要因が複雑に絡み合っています。
- 米国のインフレと金利の動向:米国のインフレ減速ペースは、鈍化しつつも高止まりしています(12月消費者物価指数(CPI)総合は前年同月比+2.7%、コア+2.6%)。これを受け、米国の長期金利は4%台前半で落ち着きつつも、方向性が見えにくい状況です。
- 日本の金融政策と政治状況:1月23日に控える日銀の金融政策決定会合や、衆議院の解散・総選挙の観測が、政府・日銀による為替介入への警戒感を高め、ドル高・円安方向への上昇を抑えています。
- 米国の通商政策:トランプ政権が「グリーンランド問題」を巡り、欧州8カ国への追加関税を発表したことも新たな火種です。通商摩擦の激化は、金融市場に混乱をもたらす可能性があり、リスク回避の動きや金利上昇を通じてドル相場を不安定にさせる要因となります。
先物市場の予測では、1月27-28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げは見送られるとの見方が優勢で、米金利がさらに低下する余地は限定的と考えられています。
米長期金利が為替相場を下支えするメカニズム
為替相場の中心的な変動要因である米国の長期金利(10年債利回り)は、1月中旬に4.1%〜4.3%台で推移しています。
金利が高止まりしている背景には、CPIが示す根強い物価上昇圧力が残っていることがあります。また、堅調な米国の個人消費(11月小売売上高は前月比+0.6%)も景気の底堅さを示しています。この「景気の底堅さ → 金利の下支え → ドルの下値が堅くなる」という構図が、現在のドル相場を支えています。
一方、日本側では政府・日銀による為替介入への警戒感が非常に強く、瞬間的に円が急騰(ドルが急落)する場面も見られます。これが、ドル高方向への上昇を抑える要因となっています。
衆院解散総選挙と為替介入のダブル警戒!円相場の行方を左右する国内の動き
国内の最大の注目イベントは、1月23日の通常国会召集をきっかけとした衆議院の解散・総選挙の可能性です。一部報道では「23日解散、2月8日投開票」というシナリオも浮上しており、今後の財政規模や政策の方向性を巡って円相場が変動する可能性があります。
加えて、片山財務大臣から「過度な変動にはあらゆる手段で対応する」といった、介入への警戒感を強める発言が相次いでいます。こうしたニュース速報が出るだけで円が急騰しやすいため、短期的な値動きには注意が必要です。
市場は早期利下げ期待を修正か?投資家の本音を示すデータ
金利先物市場が予測する1月のFOMCでは、政策金利の「据え置き」が有力視されています。3月以降の利下げ見通しについては、今後の経済指標次第で不透明な状態です。市場では、過度な早期利下げへの期待が後退しており、このこともドル/円の「下値が堅い」という見方につながっています。
投機筋のポジションを見ると、IMM(国際通貨先物市場)では円の買いポジションが減少し、わずかながら売りポジションに転じつつあります。これは最近のドル高・円安の動きと一致しています。ただし、ポジションの偏りは極端ではないため、日銀会合や為替介入に関するニュース一つで、円の売り手が急いで買い戻す動き(ショートカバー)が入りやすく、円が急反発する可能性も残されています。
出所:外為どっとコムサイト
米ドル/円の先行きを徹底分析!「日米金利差」と「日本の政治・介入」の綱引き
今後の為替相場は、「日米の金利差」と「日本の政治・介入」という2つの強い変動要因に挟まれる展開が予想されます。
米国側は、FOMCを前に大きな動きは出にくいものの、経済指標の底堅さが長期金利を4%台前半で安定させ、ドルの下値を支えるでしょう。一方、日本側は日銀会合と解散総選挙の動向が、ニュース速報をきっかけとした円の急騰を引き起こしやすく、為替介入への警戒感が続く限り、ドル高の勢いは抑えられやすいと考えられます。
外部からの予期せぬ変動要因としては、米国と欧州の関税を巡る対立が深刻化するリスクです。この問題がエスカレートすれば、インフレ圧力の再燃による「米長期金利上昇とドル高」、あるいは地政学リスクの高まりによる「リスク回避の円高」のどちらかに振れる可能性があり、現時点では方向性を断定できません。
【重要カレンダー】注目すべき経済指標とイベント日程
- 1月22日 22:30:11月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前月比)
- 1月23日:日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
- 1月27日~28日:米国 FOMC(連邦公開市場委員会)
テクニカル分析 - USD/JPY日足チャートの詳細解説
(2026年1月19日時点)
米ドル/円の日足チャートを見ると、直近高値の159.45円前後から反落し、短期的なトレンドを示す10日移動平均線(MA10)が位置する157.7円~158.0円付近に接近しています。MA10を割り込み、下値を探る展開となっています。
相場の勢いを示す相対力指数(RSI)は、買われすぎの目安である70近辺から低下し、50~60台でもみ合っています。
- 上値抵抗(レジスタンス)の候補:159円台前半~160円
- 下値支持(サポート)の候補:156.8円~157.2円、156.0円、155.5円~155.8円
米ドル/円は160円を目指すか、155円台へ下落か?シナリオ別値動き予測
- 上昇シナリオ
1日の終値が10日移動平均線(MA10)を上回って維持し、翌日に158円台後半まで陽線で回復できれば、上昇の勢いが継続していると判断できます。その場合、まずは直近高値である159.45円をローソク足の実体でしっかりと上抜け、その水準を維持できるかが焦点です。成功すれば、160.2円前後への上昇も視野に入ります。
- 下落シナリオ
終値でMA10を明確に下回り、翌日も価格の戻りが鈍い展開となれば、下落への警戒が必要です。まずは156.8円~157.2円の支持線を試す動きとなり、ここを割り込むと156.0円、さらには155.5円~155.8円への下落余地が生まれます。これまで支持線だったMA10が、今度は上値抵抗線として機能するようになれば、調整局面入りの可能性が高まります。
米ドル/円の具体的な売買戦略とリスク管理のコツ
今後の売買戦略の判断軸は、「終値で10日移動平均線(MA10)を維持できるか」と「RSIが50を上回るか下回るか」に置くと良いでしょう。
買い戦略としては、MA10を上回って引けた翌日に高値を更新していくような「押し目買い」の形を待つのが基本です。エントリー後は、直近の安値を少し下回った水準に損切り注文を置き、利益確定は159.45円手前と、そこを上抜けた後の追撃の2段階で考えると効果的です。
一方、売り戦略は、MA10を終値で割り込み、価格が戻ろうとしてもMA10に抑えられる「役割反転」を確認してから検討します。損切りはMA10の少し上に設定し、利益確定目標は157円前後、次に156円台前半と段階的に設定するのが現実的です。
どちらの戦略でも、価格が一時的に大きく動いた(ローソク足のヒゲ)だけで飛びつかず、終値でしっかり方向性を確認することが重要です。また、重要な経済イベントの前後は値動きが荒れやすいため、取引サイズを抑え、価格の急騰・急落後の反対方向への動きに備えることを徹底しましょう。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
