
(画像=iStock photo)
エヌビディア(NVIDIA)は、AI(人工知能)革命の中心で輝く半導体メーカーです。同社のGPU(画像処理半導体)は、ChatGPTのような生成AIを動かすために必要不可欠であり、その需要は爆発的に増加しています。2023年以降、エヌビディア(NVIDIA)の業績は「常識外れ」とも言える驚異的な成長を遂げており、世界で最も注目される企業の一つとなりました。そのエヌビディア(NVIDIA)の「会社の成績表」である決算書を初心者の方々にも分かりやすく読み解き、到来したAIブームがもたらす空前の成長と、その先に潜む課題や展望を解説します。
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(1)エヌビディア(NVIDIA)の直近決算と2025年3Q業績予想
エヌビディア(NVIDIA)の最新業績結果である2025年(FY25)2Qは、驚異的な成長が依然として続いていることを示す圧倒的な内容でした。売上高は前年同期比55.6%増の46,743百万ドル、本業の儲けを示す営業利益は52.6%増の28,440百万ドルとなりました。AI開発に使われるデータセンター向けGPUの爆発的な需要が続いており、同社の業績を力強く牽引しました。


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これを踏まえて、エヌビディア(NVIDIA)の2025年(FY25)3Qの業績はどうなるのでしょうか。市場アナリストは、この空前絶後の好調が続くと予想しています。私も同様に見ています。その中でも成長の「質」と今後の「持続性」に焦点を当てて解説してみることにしました。
・AI機能搭載の身近な製品の登場で、エヌビディア(NVIDIA)の製品需要が急増
私はエヌビディア(NVIDIA)が、2025年(FY25)3Qで、売上高50,000百万ドル、営業利益30,000百万ドルになると予想しています。2Qに引き続き、驚異的な成長です。市場が期待しているのは、世界中の企業や行政機関など、あらゆる分野でAIインフラへの投資が継続され、エヌビディア(NVIDIA)の最新GPU「ブラックウェル(Blackwell)」シリーズの需要がさらに高まることです。そして、AI機能がパソコンや自動車など、私たちの身近な製品に搭載されるようになり、エヌビディア(NVIDIA)の活躍の場が、さらに広がることです。
・成長が鈍化しても高株価は維持できるのか、リスク要因の動向にも注意
その一方で最大の課題は、「異常」とも言える現在の成長ペースがいつまで続くかということです。売上高成長率は、ピーク時の200%超から直近は50%台まで鈍化しています。いずれ1桁成長に落ち着く時が来るでしょう。成長が鈍化し始めた時に、現在の高い株価を、果たして維持できるかどうかが問われることになります。また、AMDなどの競合他社の追い上げ、米中対立による地政学リスク(中国への先端半導体輸出規制など)などが、エヌビディア(NVIDIA)の成長を脅かすリスク要因として存在しており、そうした動向には注意が必要です。
(2)売上高の動向
損益計算書からエヌビディア(NVIDIA)の「成長」と「収益性」の変遷を確認します。まずは売上高です。売上高とは会社がビジネスで稼いだ総収入のことです。

2020年(FY20)から2024年(FY24)までの通期ベースのデータで、エヌビディア(NVIDIA)の売上高を見てみると、AIブームの影響で、爆発的に増加したことがわかります。2021年(FY21)と2022年(FY22)は、約27,000百万ドルで推移していましたが、AI向けGPUの需要が本格化した2023年(FY23)は60,922百万ドル、対前年比で125.9%増、さらに2024年(FY24)は130,497百万ドルで、対前年比114.2%増となりました。わずか2年で売上高が約5倍になっています。本当に常識では考えられないような成長ぶりです。

2025年(FY25)に入ってからも、この驚異的な成長は続いています。上半期(1Qと2Q)の売上高合計は90,805百万ドル(44,062百万ドル + 46,743百万ドル)です。これは、2024年(FY24)の通期実績である130,497百万ドルに対して、69.6%の進捗率です。半年で年間の半分である50%を大きく上回るペースであり、2025年(FY25)の通期決算(4Q)では大幅な成長が確実視されています。
(3)営業利益の動向
営業利益は売上高からコストを差し引いた本業での儲けのことです。営業利益率はその儲けの効率性を示します。
エヌビディア(NVIDIA)の通期ベースのデータを見ると、利益成長のスピードは、売上高よりもはるかに爆発的です。2022年(FY22)には5,577百万ドルだった営業利益は、2023年(FY23)には32,972百万ドルとなり、対前年比で491.2%の成長です。2024年(FY24)は81,453百万ドル、対前年比147.0%成長となりました。

また、営業利益率を見てみると、2022年(FY22)20.7%、2023年(FY23)54.1%、2024年(FY24)62.4%でした。信じられないほど短期間で、着実に高収益企業へと変貌を遂げています。これはAI向けGPU市場において、エヌビディア(NVIDIA)が圧倒的な独占力と価格決定力を保有していることを示しています。

2025年(FY25)の上半期(1Qと2Q)は、営業利益合計が50,078百万ドル(21,638百万ドル + 28,440百万ドル)です。これは、2024年(FY24)の通期実績である81,453百万ドルに対して61.5%の進捗率です。
売上高の進捗率69.6%には、わずかに劣りますが、非常に早いペースで利益を積み上げていることがわかります。2025年(FY25)1Qは、利益率が49.1%に低下しましたが、これは一時的なもので、2025年(FY25)2Qには60.8%に回復、高い収益性を維持しています。
(4)当期純利益の動向
当期純利益は税金などを支払った後に最終的に会社に残る利益のことです。通期ベースのデータで、エヌビディア(NVIDIA)の当期純利益を見てみましょう。営業利益同様に凄まじい成長を遂げています。2022年(FY22)の4,368百万ドルから、2023年(FY23)は対前年比581.3%増の29,760百万ドル、2024年(FY24)は、対前年比144.9%増の72,880百万ドルと、爆発的に純利益を増加させています。

下記の四半期ベースのグラフからもわかるように、2025年(FY25)の上半期(1Qと2Q)の当期純利益合計は45,197百万ドル(18,775百万ドル + 26,422百万ドル)です。これは、2024年(FY24)の通期実績である72,880百万ドルに対して62.0%という高い進捗率です。今期も本業の好調さを、しっかりと最終利益に反映させていることがわかります。

(5)株主価値指標の動き
株価が会社の価値に対して「割安」か、それとも「割高」か、投資家にとって一番気なる株主価値指標の動向についても見ていきましょう。
1)EPS (1株当たり利益)
EPSは「株主が持つ1株に対して、会社がいくら利益を生み出したか」を示す指標です。当期利益を株式数で割ります。この金額が高ければ高いほど、株主価値は高まります。 通期ベースのデータを見ると、エヌビディア(NVIDIA)のEPSは2022年(FY22)の0.17ドルから、2024年(FY24)の2.94ドルへと、当期純利益の爆発的な増加を反映して急上昇しています。

また、下記の四半期ベースのグラフで見てください。2025年(FY25)2QのEPSは1.08ドルに達しています。私はこの力強い成長がそのまま続いて、目前に控えた2025年(FY25)3Q決算では1.14ドル程度に上昇すると予想しています。

2)PER (株価収益率)
PERは「株価がEPS(1株当たり利益)の何倍か」を示しています。「投資家がその会社の将来の成長にどれだけ期待しているか」を測ることができます。 下記の通期ベースのデータを見てください。エヌビディア(NVIDIA)のPERは2022年(FY22)に100倍を超える異常値となりましたが、その後は利益(EPS)の急拡大に伴い、2024年(FY24)には43.9倍まで低下しています。

また、四半期ベースのグラフをみても、利益成長が続く中で、2025年(FY25)1Qを除いて、PERは50倍前後で推移しています。これは株価が大きく上昇していても、それ以上に利益の成長スピードが速いため、以前に比べて株価の割高感が薄れてきているからです。ただ、市場がエヌビディア(NVIDIA)の将来に対して、高い期待を寄せていることに、変わりはありません。

3)PBR (株価純資産倍率)
PBRは「会社の純粋な資産価値(純資産)に対して、市場が株価を何倍と評価しているか」を示しています。上記のPERとPBRの四半期ベースのグラフを見ていただければわかりますが、エヌビディア(NVIDIA)のPBRは、2023年(FY23)4Qに34.99倍をつけました。それ以降は約32倍から約52倍という極めて高水準のレンジで推移しています。
これは市場がエヌビディア(NVIDIA)の帳簿に記載された工場設備などの資産価値をはるかに超えて、「圧倒的な技術力」「AI市場での独占的な地位」そして「将来の成長性」といった「目に見えない価値」を、株価に織り込んでいるからです。
(6)貸借対照表から見る「財務の安定性」
貸借対照表は、会社の「財産(資産)」「借金(負債)」「返済不要の自分のお金
(純資産)」がどの程度占めているのか、そのバランスを示す会社の「健康診断書」です。

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1)資産の動向
資産とは会社が保有する現金、工場、設備などの財産の総額です。 エヌビディア(NVIDIA)の総資産(流動資産+固定資産)は、AIブームとともに急拡大しています。2022年(FY22)の41,182百万ドルから2024年(FY24)には111,601百万ドル、そして、2025年(FY25)2Qには140,740百万ドルと、わずか2年半で3倍以上に増加しました。特に現金や売掛金などの流動資産が、大きく積み上がっているところに、同社の特徴があります。
2)負債の動向
負債は銀行からの借入金など、将来返済しなければならない会社の借金のことです。 エヌビディア(NVIDIA)の負債合計も、資産の増加に伴って増えていますが、そのペースは資産の増加ほどではありません。2022年(FY22)の19,081百万ドルから2025年(FY25)2Qの40,609百万ドルへと、約2.1倍の増加にとどまっています。
3)純資産の動向
純資産は会社の総資産から負債を差し引いた、返済不要の「会社自身のお金」です。 エヌビディア(NVIDIA)の純資産は、爆発的な利益成長を背景に、凄まじい勢いで積み上がっています。2022年(FY22)の22,101百万ドルが、2024年(FY24)には79,327百万ドル、そして、2025年(FY25)2Qはついに100,131百万ドル(1,000億ドル)の大台を突破しました。稼いだ利益が会社の内部に蓄積されて、財務的な体力は飛躍的に強くなっています。
4)流動比率の動向
流動比率は会社の短期的な支払い能力、いわば「お財布の余裕」を見る指標です。 エヌビディア(NVIDIA)の流動比率(流動資産 ÷ 流動負債)は、常に300%を超える
驚異的な高水準を維持しています。2025年(FY25)2Qは421.4%です。これは短期的な支払いには全く懸念がない万全の財務状態を示しています。

5)自己資本比率の動向
自己資本比率は会社の長期的な安定性を見る指標です。総資産のうち返済不要な自分のお金(純資産)がどれくらいの割合かを示します。エヌビディア(NVIDIA)の自己資本比率(純資産 ÷ 総資産)は、2022年(FY22)の53.67%を底に、2024年(FY24)は71.08%、2025年(FY25)2Qは71.15%と、非常に高水準で推移しています。これは、会社がほとんど借金に頼らない、極めて安定した経営を行っていることを意味します。
(7)キャッシュフロー計算書から見る「事業の健全性」
最後にエヌビディア(NVIDIA)のキャッシュフロー計算書を確認しましょう。キャッシュフロー計算書は、いわば会社の「家計簿」です。お金の流れを3つの活動に分けて見ていきます。

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1)営業キャッシュフロー(営業CF)の動向
エヌビディア(NVIDIA)の営業CFは、GPUの販売など本業でどの程度の現金を生み出しているかを示しています。2022年(FY22)には5,641百万ドルでしたが、AIブームの到来で営業CFは急増、2023年(FY23)は28,090百万ドル、2024年(FY24)は64,089百万ドルと爆発的に増加しています。2025年(FY25)に入ってからも、この勢いは続いており、上半期(1Qと2Q)の合計は42,779百万ドル(27,414百万ドル + 15,365百万ドル)です。これは2024年(FY24)の通期実績64,089百万ドルに対して、66.7%の進捗率です。上半期だけですでに年間の半分(50%)を大きく超えており、損益計算書の利益が、実際に「本物の現金」として会社にもたらされていることを示しています。
2)投資キャッシュフロー(投資CF)の動向
投資CFはエヌビディア(NVIDIA)が未来のAI市場のために、どれだけ積極的に投資しているかを示しています。投資額は年々拡大しており、2024年(FY24)は20,421百万ドルという巨額の支出を行い大幅なマイナスになっています。2025年(FY25)に入ってからも、大規模な投資は継続していて、上半期(1Qと2Q)の合計投資額は12,343百万ドル(△5,216百万ドル + △7,127百万ドル)のマイナスとなっています。<
これは、2024年(FY24)通期の投資額であるマイナス20,421百万ドルに対して60.4%の進捗率です。上半期だけで年間の半分(50%)を超えるスピードで未来への投資を加速させています。さらにAI市場におけるリーダーシップを維持・拡大させようというエヌビディア(NVIDIA)の強い意志がうかがえます。
3)財務キャッシュフロー(財務CF)の動向
財務CFはエヌビディア(NVIDIA)が稼いだ現金を、どのように使っているかを示しています。2023年(FY23)はマイナス13,633百万ドル、2024年(FY24)マイナス42,359百万ドルと、マイナス幅を急拡大させています。
これは爆発的に増えた利益を株主に還元するために「自社株買い」を大規模に行っているからです。2025年(FY25)に入ってからも、上半期(1Qと2Q)の合計で27,386百万ドル(△15,553百万ドル + △11,833百万ドル)のマイナスとなっています。これは、2024年(FY24)の通期実績であるマイナス42,359百万ドルに対して64.6%の進捗率です。
エヌビディアは「稼いだ現金(営業CF)」を「未来への投資(投資CF)」と「株主への還元(財務CF)」の両方に、バランスよく、かつ大規模に振り分けています。優良企業の典型的な姿といえます。
(8)NVIDIAは「高成長」「高収益」を実現する「時代の寵児」
直近までの業績を分析すると、エヌビディア(NVIDIA)が「AI革命」という時代の大波に乗って、歴史的な高成長と高収益を実現している「時代の寵児」と呼べるような企業であることがわかります。
2025年(FY25)3Qの売上高を50,000百万ドル、営業利益を30,000百万ドルとした私の予想は、エヌビディア(NVIDIA)の驚異的な成長が、依然として続くという予測をもとにしています。同社の損益計算書が示しているのは、売上と利益がともに対前年比で、数十パーセントという驚異的な「成長性」と、営業利益率60%超という圧倒的な「収益性」です。
また、エヌビディア(NVIDIA)は、貸借対照表の自己資本比率が71%を超えており、流動比率も400%超で、鉄壁とも言える「財務の安定性」が確立されています。
さらにキャッシュフロー計算書(会社の家計簿)を見ると、エヌビディア(NVIDIA)は本業から年間60,000百万ドル(600億ドル)以上の莫大な現金(営業CF)を稼ぎ出し、それを未来への投資(投資CF)として年間20,000百万ドル(200億ドル)を超えるマイナス、株主への還元(財務CF)でも年間40,000百万ドル(400億ドル)を超えるマイナスと、バランスよく配分する極めて健全なキャッシュフロー・サイクルを実現しています。
こうしたことから、エヌビディア(NVIDIA)は現在、「高成長」「高収益」「高安定性」という、「企業として望み得る最高の状態にある」と言えます。「成長率の鈍化」という課題は、いずれ訪れるでしょう。しかし、それを補って余りあるほど圧倒的な財務基盤と技術的優位性を、現在の同社が持っていることは間違いありません。
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岩田仙吉(いわたせんきち)氏株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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