総括
FX「サマリウム。習国家主席辞任の噂。米国は何故貿易協議を急いだのか」人民元見通し
(通貨10位、株価11位=上海、香港ハンセンは3位)
予想レンジ 人民元/円 19.7-20.2
(ポイント)
*米国は何故貿易協議を急いだのか サマリウムに他ならない
*習国家主席辞任の噂(時事報道)
*米中貿易合意の詳細はまだ発表されず。習首席の発言もない
*人民元は20円台維持出来るか、香港ハンセン指数は21.47%高と強い
*人民元はドルとともに弱く10位
*5月PMIはやや弱い
*格付け見通し「ネガティブ」維持
*中国の、他国への経済外交は積極的(EU、中東、南米など)
*香港年金基金に米国債強制売りのリスク
*5月消費者物価は4か月連続で低下、前年比で0.1%低下
*5月輸出は3カ月ぶり低水準、関税巡り逆風 輸入も予想上回る減少
(輸出4.8%増、輸入は3.4%減。前月はそれぞれ8.1%増、0.2%減)
(習主席早期退陣説)
習近平中国国家主席の早期退陣説がインターネット上などで錯綜している。習主席の威信が低下し、習派が劣勢になっている状況なので、これまでの同種の噂よりも真実味のある観測として広がっている(時事通信)。
退陣理由は以下のようだ
*習氏は改革・開放に事実上反対し、経済の極端な落ち込みなど重大な失政が続いたため、年内に開かれる見通しの次の党中央委員会総会などで党総書記、中央軍事委主席、国家主席のすべて、もしくは一部を退任する。政局は既に有力長老たちが主導している。
続報を追いたいが世界の市場が動揺する噂でもある。
(人民元は20円台維持出来るか、香港ハンセン指数は21.47%高と強い)
人民元は年初来で対円6.35%安、対ドルで1.93%高、全体で12通貨中10位、バスケット通貨である人民元の主要構成通貨のドルが11位。
上海総合指数は1.51%高、ハンセン指数が強く年初来21.47%高。中国10年国債利回りは1.69%。
(米中貿易協議合意、習首席からはまだ言及なし)
トランプ米大統領は11日、中国と貿易枠組みで合意に達したと述べた。「中国は先行してレアアース(希土類)や磁石を供給し、米国は中国大学生の留学を受け入れる」とした。
「中国との合意は成立した。あとは習近平国家主席と私の最終承認を残すのみだ」と投稿。「米国は合計で55%の関税を得る。一方、中国は10%だ。関係は素晴らしい!」と続けた。ただし協議が終了しても詳細は明らかになっていない。
(重要=サマリウムという磁石①=米国が貿易協議を急いだ理由)
トランプ大統領もラトニック商務長官も「磁石」に言及している。磁石とは何か。
中国によるこの知られざる鉱物資源への締め付けが西側諸国の軍隊を脅かしている。
中国は、米国とその同盟国が戦闘機、ミサイル、その他のハードウェアの在庫を再構築するために必要な希土類金属であるサマリウムの世界全体の供給量を生産している。
希土類鉱物から作られた耐熱磁石の輸出に対する中国の厳しい規制は、米国の軍事サプライチェーンの大きな脆弱性を露呈した。
これらの磁石がなければ、米国とヨーロッパの同盟国は最近枯渇した軍事装備の在庫を補充するのに苦労するだろう。
米国は10年以上もの間、ミサイル、戦闘機、スマート爆弾、その他多くの軍事装備用の磁石の製造に不可欠な特定の種類の希土類元素の中国からの供給に代わるものを開発できていない。
希土類鉱物は現在ロンドンで行われている米国と中国との貿易交渉の中心的な問題であった。
テクニカル分析(人民元/円)
5日線が20日線を上抜く、雲の上に出る
日足、雲の上に出る。ただ今朝は6月3日-11日の上昇ラインを下抜いて始まる。4月22日-6月3日の上昇ラインがサポート。5月29日-6月11日の下降ラインが上値抵抗。5日線が20日線を上抜く。
週足、5月12日週の波高し線の下落からは落ち着く。4月21日週-6月2日週の上昇ラインがサポート。2月3日週-5月12日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線下向き。
月足、5月は5か月ぶり陽線。6月も陽線スタート。4月-5月の上昇ラインがサポート。2月-5月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線下向き。
年足、2024年までは5年連続陽線。2025年は陰線スタート。23年-24年の上昇ラインを下抜く
チーファンラマ
②サマリウムは決定的な中国のカード
中国はサマリウムの世界全量を生産している。サマリウムは、ほとんどが軍事用途にしか使われていない、あまり知られていない希土類金属。サマリウム磁石は、鉛を溶かすほどの高温にも耐えることができ、磁力を失うことはない。ミサイルのノーズコーンのような狭い空間で高速回転する電気モーターの熱に耐えるために不可欠な役割を果たしている。
中国は4月4日、7種類の希土類金属とそれらから作られた磁石の輸出を停止した。中国商務省は、これらの物質は民生用と軍事用の双方に利用されており、今後の輸出は特別に発行された許可証によってのみ許可されると宣言した。商務省によると、この措置は「国家安全保障の確保」と「核不拡散などの国際的義務の履行」に資するものだとした。
サマリウムの主な米国ユーザーは、航空宇宙・軍事分野の請負業者であるロッキード・マーティン社だ。同社はF-35戦闘機1機あたり約23キログラムのサマリウム磁石を搭載している。
過去2ヶ月にわたるサマリウム供給の中断は、米国と欧州の同盟国が先進兵器の在庫補充を急いでいる中で発生した。これらの在庫は、ロシアの侵攻後のウクライナへの輸送、そして米国にとってはガザ紛争中のイスラエルへの輸送によって大幅に減少していた。
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