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外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
世界情勢の変化
トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が口論する映像が話題になりました。これを受けてアメリカがウクライナへの軍事支援を停止する方向へ動いています。
欧州各国はゼレンスキー支援を表明し、アメリカが欧州防衛から手を引くことを各国が実感したことで、防衛費増強の方向へ動き出しました。
特にドイツは従来の緊縮財政から大転換し、5000億ユーロの巨額インフラ投資パッケージを用意。防衛費を大幅に増加する方針を決定しました。CDUが第一党になり、メルツ氏が明確な方向性を打ち出しています。この政策実現のため、憲法改正に向けて旧議会を活用する予定です。
市場への影響
ドイツの10年債金利が急騰し、2.5%から2.9%程度まで上昇しました。これに伴いユーロが大幅に上昇しています。ECB理事会が0.25%利下げを実施しましたが、ドイツの財政支出拡大で今後の利下げ見通しが変化しており、ユーロ円が4円近く上昇し、161円台まで到達しました。
トランプ大統領は円安批判を表明しました。第一期トランプ政権時は100円台だったドル円レートが、現在は150円台となっており「円が安すぎる」との認識を示しています。全体的にはドル円はダウントレンドに入りつつあります。
2月の米国雇用統計予想は16万人とされています。アトランタ連銀のGDPNowが急激に悪化し、+2%から-2.8%を経て-2.4%まで下落しました。米国の貿易赤字も拡大し、前回984億ドルから予想1274億ドルを上回る1314億ドルとなりました。これには関税前の駆け込み需要が影響した可能性があります。
トランプ政権の政策には不確実性が伴い、メキシコとカナダへの関税は4月2日まで延期されました。ルービン元財務長官らは「50年で最大の脅威」「60年の職歴で不確実性最大」と警告しており、ドルの基軸通貨としての信頼性に疑問が生じています。
投資の流れ
欧州株式への資金流入が加速しており、特に欧州防衛関連株に注目が集まっています。また、防衛産業が強みであるスウェーデンの通貨クローナが強くなっている傾向が見られます。
結論
世界情勢は大きく変化しており、アメリカの欧州防衛からの撤退傾向を受けて、ヨーロッパ(特にドイツ)が防衛費増強と財政拡大へと政策を大転換しています。これによりユーロ高が進み、一方でトランプ政権の予測不能な政策がドルの基軸通貨としての地位を脅かしています。投資家は欧州株式や防衛関連企業、またスウェーデンクローナなどの通貨に資金を移しており、この流れは今後も続くと予想されます。円については、トランプ大統領の円安批判を受けて円高に向かう可能性もあります。
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慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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