米国株式市場と外国為替市場の最新動向と分析
米国株式市場の最新動向を詳しく解説します。NYダウやS&P500の動き、経済指標の影響、主要企業の決算発表など、個人投資家が知っておくべき最新情報を提供します。また、ドル円をはじめとする外国為替市場の直近の振り返りと今後の見通しについても分析します。為替レートの変動要因や市場トレンドを理解し、投資判断に役立てましょう。個人投資家が注目すべきポイントを分かりやすくお伝えします。
米主要3指数は高値更新後に一旦調整?
相互関税の導入に市場は比較的冷静
先週13日、トランプ米大統領が「相互関税」の導入を指示する覚書に署名した。トランプ政権はこれまでにカナダ、メキシコ、中国への追加関税や鉄鋼・アルミニウムへ製品に対する追加関税の全面適用を打ち出しているが、相互関税についてはその影響がより広範に及ぶ可能性がある。また、14日には自動車関税を導入する考えも示した。
とはいえ、市場はこれを比較的冷静に受け止めており、総じて「想定していたよりはずっとマシ」との感が広がっているように思われる。カナダとメキシコについては今後の両国による対応次第で再延期の可能性もあると見られ、鉄鋼・アルミニウム製品については「適用除外」の余地がある。相互関税についても今後、国ごとの調査と個別の交渉という過程を経るなかで、最終的な影響は想定より和らげられると見る向きも少なくない。
より穏やかな関税の採用に市場は期待
折しも、先週は1月の米消費者物価指数(CPI)と米生産者物価指数(PPI)の結果が強めに出たことで、インフレ再燃への警戒が強まり、米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げが「年内は難しい」との見方も市場の一部で燻り始めていた。
ただ、このような状況にあってはトランプ氏も「より緩やかな関税措置を採用せざるを得なくなるのでは」、「関税と移民政策の双方においてやや穏健な措置に留めようとするのでは」との見方も市場に浮上し始めており、少なくとも過度な不安は薄らいできている。
米小売売上高の1月の落ち込みは想定内
実際、先週末にかけて米10年債利回りは4.5%割れの水準に低下しており、とりわけ13日の米株市場では米金利低下を好感して米主要3指数がともに大きく上昇。翌14日のNYダウ平均は反落となったものの、これはあくまで3連休前のポジション調整が主因と見られる。この日発表された1月の米小売売上高の結果がここ2年近くで最大の落ち込みとなったことで、それが投資家心理の重荷になった可能性もゼロではないが、1月は暴風雪や山火事の影響が小さくなかったことと、何より前月(12月)の数値が「トランプ関税を見越した駆け込み消費」によって嵩上げされたことに対する反動が生じた部分が大きかったと考えられる。つまり、ある程度の落ち込みは想定内であった。
米家計の余裕は徐々に蝕まれている?
ここでやや警戒を強めておきたいのは、一つに2月の米小売売上高が必ずしも大きく回復するとは限らないこと。12月に駆け込みで増加して1月に大きく減少したのは主に耐久消費財であり、そこで生じた“需要の先食い”の影響は今後も尾を引く可能性がある。むろん、米小売売上高の数値はインフレ調整されないことから、物価上昇を反映して回復したように見える可能性もあるが、そこは割り引いて考える必要がある。また、根強いインフレと高い借り入れコストが米家計の余裕を徐々に蝕んでいる可能性があることも否定はできない。実際、かなり以前から米家計債務の返済延滞率は上昇を続けている。
1月のPCE予想は大きく引き下げ
なお、先週末にかけて見られた米金利低下の背景には、今月28日に発表される1月の米個人消費支出(PCE)価格指数について、大手米金融機関が一斉にその予想を引き下げたことがあるとされる。どうやら、それは1月のPPIの結果において金融部門やヘルスケアサービス部門などが非常に弱い結果であったことが主因となったようで、発表後に配信された各種のレポートにおいても、その多くが「ヘッドラインの数値だけを見るとインフレ懸念が強まりそうだが、PCE価格指数を構成する項目は総じて抑制的だったことから、全体としてはインフレ再燃懸念を和らげる内容だった」と評していた。
3指数には一段の上値余地も、そろそろ調整安のタイミング?
つまるところ、足元でインフレ再燃への警戒が一頃よりも緩んできていることにより、当面の米株価が一段の上値を試しに行く可能性も十分にある。ことに、S&P500種は先週末にかけて史上最高値に顔合わせする動きを見せており、再び最高値を更新してくると次に6150-60ポイントあたりの水準が視野に入ってきてもおかしくない。
ただ、そのためにはNYダウ平均とナスダック総合指数も、ともに昨年12月に付けた史上最高値を更新する動きとなってくることが必要となろう。また、3指数はともに高値更新後あるいはそれ以前に調整安の局面を迎える可能性もあると思われる。そのタイミングはそろそろ近づいているかもしれず、その点は要警戒と心得たい。
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田嶋智太郎氏
経済アナリスト 慶應義塾大学を卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、経済アナリストに転身。現場体験と綿密な取材活動をもとに、金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産掲載まで幅広い範囲を分析・研究。 WEBサイトで経済・経営のコラム執筆を担当し、株式・外為・商品などの投資ストラテジストとしても高い評価を得ている。 また、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」など書籍も手掛けるほか、日経CNBCレギュラーコメンテーターも務める。
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