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8月2日の米国雇用統計の予想と戦略「米ドル/円148円半ば割れなら昨年からの上昇トレンド終了、懲りずに下目線」2024年8月号-By 外為どっとコム総研

米雇用統計!直前予想&トレード戦略(2024年8月2日(金) 12:00~13:00)

雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2024年8月2日(金) 21:00~23:00)

 

更新日時:2024年8月5日 13時08分(データを更新)

執筆日時:2024年8月1日 14時00分 

執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

8月2日の米国雇用統計の予想と戦略「米ドル/円148円半ば割れなら昨年からの上昇トレンド終了、懲りずに下目線」2024年8月号-By 外為どっとコム総研

はじめに-米インフレ退治に自信深める、利下げパスは雇用次第

2024年8月2日(金)、日本時間21時30分に米国の7月分雇用統計が発表されます。米国はインフレ退治に自信を深め年内緩和をぐっと手繰り寄せています。投資家の視線は、年内3回の利下げを見通せばよいのか、1回程度に留めておくべきか、はたまた、1回の利下げ幅が0.5%へ広がる可能性も考えるべきかなど利下げの道筋へ移りつつあります。ただ、コンセンサスの形成はまさにこれからと言った様子で、それを判断する材料として以前にも増して労働市場の動向が重視されていくことになりそうです。では振り返りからです。

前回のおさらい-米年内2回利下げ織り込む

・6月NFP、予想比強めの20.6万人
・失業率は4.1%へ悪化

7月5日に発表された、米国の6月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の19.0万人増のところ、20.6万人増と小幅に予想を上回りました。ただ、失業率は前月の4.0%から4.1%へ悪化したほか、時間給の伸びも前年比で3.9%(前月は4.1%)へ鈍化するなど、強弱まちまちでした。

内訳を見ると、政府部門が7万人増加したことが大きく底上げした要因で、民間部門は13.6万人と前月の19.3万人や直前に発表されたADP雇用者データの15.0万人増も下回るなど、民間部門の労働市場が減速しつつあることが改めて示されました。今回の雇用データを受けて、市場では年内2回の利下げ期待がほぼフルに織り込まれる状況になりました。

図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:データ米国労働省
NFP表

160.80円前後だった米ドル/円はNFPの上振れに161.15円前後まで上昇しましたが、失業率の悪化を確認して160.301円まで下落しました。その後、根強い円の先安観から161.326円まで切り返したものの、結局は米利下げ観測から160.80円付近へ押し戻されるなど、明確な方向は定まりませんでした。かたや株式市場は利下げ期待から底堅い展開となり、ダウ平均株価は前日比67.87ドル高い39375.87ドルで終了しました。

図表2.前回発表前後のドル円の動き
USDJPY30分足チャート
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

今回の見どころ-民間部門の雇用者動向がカギ

・FRB緩和を正当化するか
・労働市場は緩やかに減速
・ハリケーンの影響はどこまで

米国の労働市場は全体的に見れば、ひっ迫感が緩和方向にあることを示しています。6月分の非農業部門雇用者増加数(NFP)は20.6万人と、事前予想の平均値19万人を上回ったものの、4月、5月の雇用者増加数が合計で11万人程度も下方修正されていて、3カ月移動平均値で見ると17.7万人と、長期的な平均である15万人へ近づいているほか、2021年1月以来の低水準に落ち込んでいます。また民間部門だけで見れば、3カ月平均は14.6万人と直近2年間で最低水準に落ち込んでいます。直近のNFPはヘルスケアと公務員によって支えられている状態で、労働市場の力強さは一様ではないようです。

図表3.雇用関連指標の推移

データ表

出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
※:新規失業保険申請件数は雇用統計調査期間と同じ期間の調査データ

また、高頻度データである新規失業保険申請件数も緩やかに悪化していることとも整合的で、米国の労働市場は以前ほど力強さは感じられません。さらに、失業率も上昇傾向なほか、時間給も伸びが鈍化している点も加えれば、労働市場は緩やかながらも着実に減速していると考えられます。ヘルスケアは引き続き底堅さを維持しそうですが、ハリケーン「ベリル」の影響で工事現場やアウトドアレジャーなどでは採用が鈍った可能性もあり、全体的に弱めの数字が並ぶとの見方が優勢です。米ドル/円は昨年安値(127.225円)を起点とした下値支持線や、同上昇幅の38.2%押しが重なる148.68円付近がターニングポイントになり、ここを割れてくれば昨年からの上昇サイクルが一巡して米ドル/円の調整幅が広がりそうです。雇用指標が悪化して、このラインを明確に下回ってくるなら、米ドル/円は売りで追随したいと考えます。

図表4.雇用関連指標の推移

データ表

出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
※:新規失業保険申請件数は雇用統計調査期間と同じ期間の調査データ

ただし、Indeed Job Posting Indexが7月は横ばいから少し持ち直し気味に推移するなど底堅さを示す指標も散見されるほか、例年7月に行われる自動車産業での一時的解雇が少なかったことなどから、ヘッドラインはそれほど悪い数字にはならないのかもしれません。目線が少し下がり気味の中で、予想外に労働市場の底堅さを示す結果となれば、FRBの利下げ期待の修正からドルが買い戻される危険もありそうです。

 

図表5.ドル円チャート
USDJPY日足チャート
米ドル/円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

付随データ

図表7.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2024年07 17.5 11.4 4.1 4.3
2024年06月 19.0 20.6 4.0 4.1
2024年05月 18.5 27.2 3.9 4.0
2024年04月 24.3 17.5 3.8 3.9
2024年03月 20.0 30.3 3.9 3.8
2024年02月 20.0 27.5 3.7 3.9

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2024年07月 0.3 0.2 62.7
2024年06月 0.3 0.3 62.6
2024年05月 0.3 0.4 62.5
2024年04月 0.3 0.2 62.7
2024年03月 0.3 0.3 62.7
2024年02月 0.3 0.1 62.5

 

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2024年07 43.4 51.1
2024年06 49.3 46.1
2024年05月 51.1 47.1
2024年04月 48.6 45.9
2024年03月 47.4 48.5
2024年02月 45.9 48.0

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

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