メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。
作成日時 :2024年5月24日15時25分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
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南アフリカランド/円(日足チャート)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
先週の南アフリカランド/円は2年ぶり高値から反落
今月15日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)がインフレ鈍化を示したことで世界的に株価が上昇する中、週明け20日のランドは堅調を維持。NYダウ平均が史上初めて4万ドルを超える中で8.60円台へ上昇しました。21日も上昇を維持し、翌22日には8.662円前後まで上伸して2022年6月以来およそ2年ぶりの高値を更新しました。しかし、この日発表された南ア5月CPIが予想を下回る伸びとなったことなどから失速。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録がややタカ派的だったとしてドル高・ランド安に振れたこともランド/円の重しとなりました。23日は南アフリカの主要輸出品である金価格が下落したこともあって8.478円前後まで反落。24日の東京市場ではいくぶん持ち直して8.50円を挟んだ水準で推移していますが、このままいけば週足ベースでは小幅安となる見通しです。
今週の南アフリカランド/円の注目ポイントは総選挙
29日に南アフリカで5年に1度の総選挙が行われます。1994年の民主化選挙後は一貫して政権与党を担ってきたアフリカ民族会議(ANC)の苦戦が伝わっており、単独過半数割れが濃厚な情勢となっています。汚職の蔓延や経済格差の拡大に対する国民の不満からANCの支持率は低迷。各種世論調査の結果によれば第一党にはとどまる見通しでラマポーザ大統領の続投には支障がないと見られますが、選挙後の連立交渉は難航する可能性がありそうです。政局の混乱は通常、通貨の下落要因になります。一部には連立政権の誕生は南アフリカにとって歓迎すべき事態との見方もありますが、その連立政権の樹立すら見通しが立たないほどANCが弱体化すれば、やはりランド安要因になると考えられます。その意味では、ANCが改選前の230議席(全400議席)からどの程度減らすのか(どの程度の減少でとどまるのか)がカギとなるでしょう。なお、開票は29日中に行われますが時差を考えると暫定結果が出るのは日本時間30日になる見込みです。また、30日には南アフリカ中銀が政策金利を発表する予定で金利は8.25%に据え置かれる公算です。
来週までの南アフリカランド/円の見通し
予想レンジ
8.350円~8.650円
基調
下値不安
来週までの注目ポイント
☆5/29 南アフリカ総選挙
☆5/30 南アフリカ中銀政策金利
主要国株価、国際商品価格
南アフリカランド/円(ZAR/JPY) FX為替レート・チャート
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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