執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年5月24日 14時40分
159円へ切り上げ、日銀の刷り込みの行方に警戒
米ドル/円、じり高
米FOMC議事要旨で「より長期に高水準での政策金利維持が望ましい」と、未だ、インフレ率が目標の2%へ低下するか見通せていない様が明らかとなると、米ドル/円は買いが優勢に。好調な米企業景況感も手伝って、米ドル/円は157.191円までレンジ上限を広げました。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
単月の指標で米利下げのパス決まりようがない
米国の6月利下げは消滅したほか、7月利下げもほぼほぼないだろうとの見方が優勢で、インフレ鈍化が高ペースで進めば9月に実施で、市場が利下げをフルに織り込んでいるのは12月とあって、米利下げシナリオは当初からかなり後退しています。こうした中、米個人消費支出(PCE)統計が強めの内容となれば、米利下げ期待のさらなる後退から米ドル/円は160.00円を目指す一方、ディスインフレの継続を示す結果になれば、後退した利下げマインドの持ち直しから米ドル/円には調整圧力が強まりそうです。
もっとも、単一の指標結果から利下げのパスを確定できるとは考えにくく、さえない結果となっても米ドルの下値は限定されそうです。また、PCE価格指数については、前年比で0.252%が見込まれており、四捨五入して0.3%が市場のコンセンサスになっていますが、0.25%を下回り四捨五入の関係から0.2%となる可能性もあり、油断できません。
また、本邦サイドでは日銀とのコミュニケーションが重視されそうです。日銀首脳の発言や基調的なインフレ率を補足するための資料、国債購入オペなど6月会合に向けた日銀の刷り込みがどのように進むのか着目されます。特に金利上昇圧力が強まる中、輪番オペの札割れ(応募額が予定した入札額に満たないこと)が起きたため、さらなる国債の買い入れ減額への思惑が高まる中で、オペのオファー額に対する注目度は増しているようです。日銀のタカ派なコミュニケーションが続けば、米ドル/円の上値が重くなる危険もあります。
159円を目指す展開か(テクニカル分析)
米ドル/円は、新たに上昇チャネルが形成されたほか、155.40円付近から156.05円付近に集まる短期テクニカルラインが作る支持帯から、底堅さのうかがえる格好になっています。目先は期間21日のボリンジャーバンド+2σが推移する158.50円付近を見据えながら、下値を切り上げていくのではないでしょうか。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:155.000-159.000
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一言コメント
国際戦略情報研究所CEOの原田武夫氏によれば、日本人はNOを言うことが不得意ですが、相手がどういう反応を示すかシナリオを作ったうえで、伝え方を考えることがその対処法だそうです。なかなか、相手を納得させて断るのは体力がいりますよね。
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