総括
FX「年初来高値更新とその要因、総選挙近い」南アランド見通し
「通貨2位、株価14位」
「予想レンジ 南アランド円8.3-8.8」
(ポイント)
*年初来高値更新
*ランド高の要因は
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*BHPによるアングロ・アメリカン買収は
*鉱産物価格上昇がランドを支える
*今週の注目指標は消費者物価
*トリプル高は4月25日に始まった。大買収提案で市場が活性化
*南アの野党が低迷の与党ANCに苦戦する理由
*ただムーディーズは選挙後の連立政権に警告
*IMFが成長見通しを0.1%引き下げ
*現在、電力負荷制限は行われていない(選挙前で配慮か?)
*日本企業、海外企業も問題山積でも撤退せず
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く
*5月29日に大統領選挙と総選挙
*中国と南アの関係は強化されている
(年初来高値更新)
4月は円買い介入があったが月間最強通貨だった。5月になっても介入が続いたがここまで2位で2.39%高。年間でも2位に浮上。8.582で年初来高値を更新した。南ア全株指数も上昇、一時、年初来5%を超えて下落していたが、現在は3.43%高。南ア10年国債利回りは11%を割り込んで10.62%へ低下した。
(ランド高の要因)
ランド高の要因は、BHPグループのアングロ・アメリカン買収で株式市場が活況を呈したこと(現在は買収案は成立せず)や、南アの最大貿易相手国の中国景気の回復、財政改善などが上げられよう。
(15年ぶりの基礎的財政黒字を達成)
南アは15年ぶりに基礎的財政収支の黒字を達成する可能性が高く、すでに懸念されるほど高い債務のさらなる増加を阻止する軌道に乗り始めている。
暫定データによると、アフリカで最も工業化が進んだ経済は2024年3月までの1年間に国内総生産(GDP)の0.4%の基礎的黒字を記録し、これは国庫の2月の予想と一致した。この結果はまた、2023-24年の主要財政赤字暫定値が対GDP比4.6%となり、2月に推定された対国内総生産(GDP)比4.7%の不足額より若干改善することを示したと財務省は述べた。
南アの債務増大に懸念を表明している投資家からも歓迎される。財務省は2月の予算案で、国の金と外国為替の緊急準備金を取り崩して債務返済コストを削減し、新たな拘束力のある財政アンカーを導入することで、2025年から2026年にかけて債務をGDPの75.3%で安定させるとの見通しを示した。
好データの要因としては、2月の月例予算で208億ランドという大幅な黒字となったこと と 、歳入庁が3月までの会計年度に1兆7,400億ランドを徴収し税収が予想を上回ったことが挙げられる。
(アングロ・アメリカン、BHPによる2回目の買収提案も拒絶)
英資源大手アングロ・アメリカンは5月13日、オーストラリアの同業BHPグループが提示した2回目の買収案も拒絶した。依然として大幅に過小評価されていることが理由だ。
アングロは4月25日、BHPからの最初の買収案について「場当たり的」で適正な評価がなされていないとの理由で受け入れを拒んでいた。
今回の提案は当初に比べて金額を10%引き上げて340億ポンド。1株当たりの提示額は25.08ポンドから27.53ポンドに修正された。しかしアングロのチェンバース会長は「またしてもアングロに内在する価値を正しく認識していない」と指摘した。
BHPのヘンリーCEOは「2回目の提案を突き返されたことに失望している。BHPは両社の統合が全ての株主に多大な価値をもたらすと引き続き信じている」とした。
アングロは、今後クリーンエネルギー移行や人工知能(AI)普及によって需要の高まりが期待できる銅の有力な鉱山をチリとペルーに所有しているため、他の資源会社にとって魅力的な存在に映っている。買収交渉はまだ続く。
(鉱産物価格上昇がランドを支える)
南ア産出の鉱産物価格ではここ1年で金が23.3%高、銀が34.05%高、大型買収劇の焦点の一つ、アングロ・アメリカンが保有するチリの鉱山の銅も36.87%高だ。白金は4.34%高、パラジウムは30.39%安と冴えない。
テクニカル分析(ランド/円)
円買い介入に勝ち年初来高値更新
日足、介入で一時8.209まで下落も上昇を続け、介入直前の高値も上抜く強さ。5月16日-17日の上昇ラインがサポート。5日線、20日線上向き。
週足、介入で円高もその後は2週連続陽線へ。5月6日週-13日週の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ越え。5週線、20週線上向き。
月足、ボリバン2σ上限へ。3月-4月の上昇ラインがサポート。22年6月-24年4月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。今年は円を大きく引き離す。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。
喜望峰
最近の経済指標と今週の焦点
(1Q失業率は悪化)
失業率は2024年1Qに32.9%に上昇し、前年同期の32.1%から上昇した。失業者数は33万人増加し、820万人に達し、2008年に比較可能な記録が始まって以来最悪の数字を記録した。
3月小売売上は前年比2.3%増、2月は前年比0.7%減少、予想は2.5%増
(今週の注目指標)
4月消費者物価、予想は前年比5.4%増、3月は5.3%上昇。南ア中銀はインフレが目標の中間値である4.5%に達するのは2025年末近くになると予想している。さらに南ア中銀はインフレターゲットを引き下げたい思惑がある。 中銀は現在3-6%のインフレターゲットを3-5%、さらに2-4%へ引き下げる議論を始めようとしている。インフレ抑制を確固たるものとしたいようだ。
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