執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年5月10日 14時40分
上値目指す環境と見るが、米ドル/円この後横ばいもあるか
米ドル/円、155円後半へ急旋回
イエレン米財務長官が為替介入に対しては「まれ」であるべきと釘を刺したことで、本邦の介入がはばかられるのではとの思いから、米ドル/円は155.948円までの戻りを試しました。もっとも、さえない米雇用統計で米国の年内利下げも排除できる状況にないため、米ドル/円の上昇幅も限定されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、介入効果終了と政府・日銀の絵にかいたタカ派演出が見透かされ円安 (2024年5月9日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米ドル/円、上昇の通行許可証取得なるか?
直近の米ドル/円は、2度の円買い介入を受けて151円後半まで下押した後、155円半ばへ持ち直し再び上方向を試す形と、本邦の介入にビクビクしていた2週間前と割と近い状況になりつつあります。しかも、今回はイエレン米財務長官から冷や水を浴びせられたほか、日銀の円安進行への鈍い反応など、2週間前より上方向を試しやすい環境が整っているとも考えられます。ただ、注意しなければいけないのは、米国側の状況は前の時とは幾分違うところです。労働市場が緩み始めているとの思いで、米国がディスインフレの軌道を再び歩み始めるのではとの思いがあるからです。
前回は米ファンダメンタルズの底堅さで上値を追いかけやすかった半面、本邦当局の奥の手が気になっていた状況だったのに対し、今回は本邦の介入警戒が後退したものの、米国のファンダメンタルズの緩さが米ドル/円の上昇ペースを抑制している感じです。目先は、米ファンダメンタルズが米ドル/円の上値トライを許すのかどうか、物価指標や消費データから判断することになりそうです。
また、これらのデータは6月FOMCで更新される経済見通しの参考にもなるため、注目度は非常に高いです。結果公表を巡り米ドルは上下に振幅しやすくなりますが、ディスインフレ継続が確認できるようなら、米ドルの調整が強まるでしょう。逆にディスインフレ停滞への思いが進めば、米ドルの上昇を足掛かりにして、米ドル/円は160円の攻防戦へ再び向かうのではないでしょうか。
3月中旬と似たチャート形状が気がかり(テクニカル分析)
米ドル/円は21日移動平均線を上回る水準で底堅さが感じられます。そのため上方向が基本目線となりますが、チャート形状が今年の3月中旬の上昇過程に似ている点が気掛かりです。当時は安値から5円39銭程度反発した後、横ばいが続きました。これを単純に今回のケースに当てはめると、上値の目途は157.20円程度となり、その辺りからはもみ合う格好になるかもしれません。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:153.000-158.000
5/13 週のイベント:
一言コメント
天候が安定していないのが気になりますが、日差しが出ると都内を歩くだけでも汗をかく始末。少しは体力付けるように体を動かすことにします。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。