米雇用統計!直前予想&トレード戦略(2024年5月3日(金) 12:00~13:00)
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雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2024年5月3日(金) 21:00~23:00)
更新日時:2024年5月7日 13時51分(結果を加筆)
執筆日時:2024年5月1日 11時15分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
5月3日の米国雇用統計の予想と戦略「米ドル/円チャネル上限に沿って上昇期待、利下げへの論拠得にくい」2024年5月号-By 外為どっとコム総研
はじめに-米緩和への不透明感増す
2024年5月3日(金)、日本時間21時30分に米国で4月分の雇用統計が発表されます。当初、米国は6月利下げが意識されていたものの、現在はそれが後ろ倒しとなって9月あるいは11月、ひょっとしたら初回利下げは年明け以降になるのではとの観測も浮上し始めるなど、緩和の道筋は再び不確実性が増しています。今回の雇用統計がこのような不透明さを少しでも和らげることが出来るのか注目されます。早速、振り返りからです。
前回のおさらい-米労働市場、驚きの力強さ
・リスクオンの流れへ
4月5日に発表された、米国の3月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の20.0万人増のところ、30.3万人増と予想を大幅に上回りました。また、失業率は3.8%で、前月の3.9%から低下したほか、賃金の上昇も継続しました。さらに、2月までは3カ月連続で減少していた家計調査における就業者数も50万人近く増加するなど、底堅い労働市場が景気を押し上げている様子が見受けられました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:米国労働省
結果を受けて、米ドル/円は151.750円と日通し高値を付けました。ただし、152.00円の心理的節目を前にしては戻り売りが優勢で、大台突破は果たせませんでした。一方、ダウ平均株価は5営業日ぶりに反発。インフレ圧力が限定的に留まる中、底堅い労働市場が景気を押し上げるとの思いから、前日比307.06ドル高い38904.04ドルで越週しました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
今回の見どころ-FRB、様子見期間は長期化
・インフレ低下ペースは減速か
・FRB、現状の引き締め水準を継続か
米国の雇用情勢については、米国の高金利を受けて緩やかな減速傾向にあると考えますが、NFPやADPのデータが昨年末以降、底打ちして反転し始めている様子が窺え、米国の雇用市場の減速ペースが鈍っている点は雇用に対して前向きなデータとなりそうです。その一方で、JOLTS求人件数、Indeed Job Posting Index、チャレンジャー社が調査する企業の人員削減数は悪化傾向が続いており、先行きを楽観できないデータも散見されます。
どちらを信じれば良いのか判断は難しいですが、NFPやADPの結果を信じるならば、米利下げバイアスの後退から、米ドルがもう一段上を目指すとの見方が強まりそうです。一方で、JOLTS求人件数などを先行指標と捉え、何れ雇用者数に反映してくるとするなら、年内の何れかの時期に利下げが正当化されるとの期待が維持されて、米金利上昇の一服から米ドルの上値を抑える可能性もありそうです。
図表3.NFP・ADPの推移(左)と人員削減数・JOLTS求人件数の推移(右)
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
※人員削減数は上に行くほど雇用悪化、JOLTS求人件数は下に行くほど求人件数が低下
次に時間給については、前年比は緩やかに低下しているものの、毎月、10~12セントずつ上昇する流れが続いています。1-3月期の雇用コスト指数が強い伸びを示した点も考えれば、インフレ率がFRBの目標値2%へ向けて低下していく確実な手掛かりにはなりづらそうです。時間給の伸び加速が示されれば、米ドル上昇に弾みがつく危険もあります。
筆者は先週までは期待外れに終わることも想定していましたが、改めて足もとのデータを見直すと悲観的な結果は望み薄のように思えてきました。NFPの市場コンセンサスが25.0万人と市場が期待し過ぎていると感じる部分はあり、コンセンサスを下回るNFPもある程度想像されますが、それでもNFPが20万人前後で落ち着くなら、米国が利下げに着実に近付いている証拠にはなりづらそうです。このときは、一時的に下方向を試したとしても、FRBが現在の引き締め的な水準を維持する期間の長期化から、米ドル/円は上昇チャネルの上限に沿って下値を切り上げていく展開を考えています。
図表4.ドル円チャート
米ドル/円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
付随データ
図表5.[雇用統計の実績と予想]
年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
2024年04月 | 24.3 | 17.5 | 3.8 | 3.9 |
2024年03月 | 20.0 | 30.3 | 3.9 | 3.8 |
2024年02月 | 20.0 | 27.5 | 3.7 | 3.9 |
2024年01月 | 18.0 | 35.3 | 3.8 | 3.7 |
2023年12月 | 17.0 | 21.6 | 3.8 | 3.7 |
2023年11月 | 18.0 | 19.9 | 3.9 | 3.7 |
年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
2024年04月 | 0.3 | 0.2 | 62.7 |
2024年03月 | 0.3 | 0.3 | 62.7 |
2024年02月 | 0.3 | 0.1 | 62.5 |
2024年01月 | 0.3 | 0.6 | 62.5 |
2023年12月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
2023年11月 | 0.3 | 0.4 | 62.8 |
◇関連の経済データ実績
年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
2024年04月 | - | - |
2024年03月 | 47.4 | 48.5 |
2024年02月 | 45.9 | 48.0 |
2024年01月 | 47.1 | 50.5 |
2023年12月 | 47.5 | 43.8 |
2023年11月 | 45.8 | 50.7 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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