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動画配信期間:2024/3/22~2024/4/5
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
時間がない方向け「ポイント要約」
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:41 日銀会合振り返り マイナス金利解除へ
3:17 円安進行の背景 今後も円は弱くなる
6:18 ドル円見通し 高値上抜けが視野に
8:20 FOMC振り返り 米株へ資金が流れる
12:55 スイス相場動向 予想外の利下げ
13:20 トルコリラ見通し 政策金利ついに50%
14:26 【PR】口座開設特別キャンペーン
日銀会合振り返り マイナス金利解除へ(要約)
日銀の17年ぶりとなる金融引き締め政策変更は、大規模なものがありました。それからFOMCとスイス中央銀行は利下げし、トルコ中央銀行は利上げしました。このように、色々なことが起こった1週間でしたが、何といっても1番大きいのが日銀の政策変更だと思います。
17年ぶりの利上げなので、慎重に事を運ばないといけなかったというのは分かるのですが、リークそのままの内容が出てきたというのは驚きでした。サプライズの黒田、リーク植田と言われていますが、本当に全てマスコミに喋っていいのかなというところがありますが…
まず、マイナス金利が解除されました。それで、無担保コールレートが今後、政策の指標になっていきます。それからYCC(イールドカーブ・コントロール)が撤廃されました。ただし、撤廃されたとはいえ、ほぼ同額の国債をこれからも買っていくということになりますので、形は変わりましたが、やることはあまり変わりません。ただ、これから先は微妙に少しずつ買い入れの金額を減らして、軟着陸させていくのだと思います。今後数十年かけて少しずつ日銀のバランスシートを正常化の方向に持っていくということなのだと思います。
ETF(上場投資信託)とJ-REITについては買い入れ終了です。ETFをどうするかという議論がありますが、しばらく持っているのではないでしょうか。これからもし仮に国債の金利が上がって、日銀に含み損が生じるという話になった時に、ETFの方で含み益があるじゃないかという、そういう言い訳にも使えるということだと思います。
その中で、中村委員は日立出身の方ですから、「中小企業に配慮した方がいいのではないか」とおっしゃって、反対されました。これはこれで本当に説得力のある理論だとは思います。ただ、リフレ派の野口委員は反対はされたのですが、「マイナス金利解除とYCC撤廃を同時に行うのはリスクがあるのではないか」というあまり理由にならない反対でした。もう1人のリフレ派の足立さんは、あっさりと賛成に回っておられます。
円安進行の背景 今後も円は弱くなる(要約)
これでついに日本は正常化に向かったということになるのですが、マーケットの反応は激烈でして、円安がガーンと進んだということになります。なぜ円安が進んだかというと、発表内容がすでに織り込まれているということもあるのですが、政策を変更したけれども実態はほぼ変わらない、緩和的な政策がこれからもずっと続くと内田副総裁も植田総裁もおっしゃっています。ですから、YCCを撤廃しましたが、国債は買い続けるわけです。実態は変わらないので、金融緩和状態がずっと続くということになります。
ただ、本命は4月と言われたのに、なぜ3月に政策を変更したのか。もちろん、春闘の結果が良かったというのもあるのですが、やはり政局じゃないかなということは思います。安倍派の力が落ちているから、今このタイミングでというのはあったでしょう。もちろん政権サイドが合意している内容なので、そういうことだと思います。
それともう1つは、やはり為替に対して、円安を何とかしたいという思いが少しあると。それが政策変更に繋がったと思います。ですから、円安に行ったというのは、政権サイド、日銀サイド、それから財務省にとってみては、ちょっと意外だったのかなと。ですから、すぐに「次の7月に利上げするのではないか、10月なのか」というような報道がありまして、パウエル議長の会議の最中にドル円が暴落したというのがあります。
ただ、植田総裁の会見を聞いていますと、やはり多くの方は、「これから金利のある世界になるんだ…」「住宅ローンの金利が上がるんだ…」「中小企業はこれで耐えられるのか…?」と、金利上昇に対するアレルギーというのは、ものすごいものがありまして、「このまま金利が上がったら日本経済はやっていけるのか…?」と、そういう雰囲気でした。金利上昇に対するアレルギーと言いましょうか、記者の反応を見ていますと、利上げもこれから先、なかなか困難なものがあるなと。ですから、実質的に金融緩和状態が続くので、これから先も円は弱くなるというのが見えてきた金融政策決定会合だったのではないかなと思います。
ドル円見通し 高値上抜けが視野に(要約)
ドル円は、もう152円に近いところに来ておりまして、過去の高値がほぼ寸前のところまで来ています。バリアオプションがいっぱいあるのですが、1つ1つトリガーしてきていますので、今日、明日どうなるというのは分からないのですが、時間の問題でこれは上に抜けるのだと思います。全体的な形としては、これは典型的なアセンディングトライアングル(上昇型の三角形)ということになりますので、ここを抜けるというのが見えてきていると思います。
【ドル/円(USD/JPY) 日足チャート】※2024年3月22日05:20頃
最新の為替チャート|ドル/円(USDJPY)|日足」はこちら
ただ、そうはさせたくないと財務省も思っているでしょうから、どこかで介入が入るということになりますが、まだマーケットはすごくロングではないので、介入してもマーケットがひっくり返るというのは厳しいと思います。
多くの証拠金業者さんで、日本人のポジションが結構ドル円ショートになっているというのはニュースにもなっていますので、上に行くと損切りが出てくるということもあります。それから、ノックアウト・オプションがどんどんトリガーしています。その結果、145円とか146円でドルコールで予約が取れたと思っていた輸入企業などが、再ヘッジをしないといけないということになって、またドルを買わないといけない。そういうのもドルの下支えになるのではないかなと思います。これが日銀政策決定会合でした。
FOMC振り返り 米株へ資金が流れる(要約)
FOMCは、3回のドットチャートが、もしかしたら2回になるのではないかというような予想があったので、事前にそれを期待してドル高に進んだ部分があります。しかしながら、実際のドットチャートはやはり3回だったので、それでドルの売り直しになってしまったというところがあります。
ただ、ドットチャートを前回とちょっと比較してみますと、全体的に上にシフトしているということだと思います。同じ3回は3回と言っても、タカ派的な内容だったと思います。
それから2025年、これが前回3.25%~3.5%だったのですが、3.5%~3.75%になりました。最も多いのは3.75%~4.00%のところです。2段階上がっているわけですね。
ですから、そういうことを総合して考えると、タカ派的なドットチャートだったと思います。
実際サマリーを見ますと、成長率が前回は1.4%だったものが2.1%に大きく引き上げられております。PCEインフレーション(コア)も2.4%から2.6%に上がっております。
声明文もちょっとタカ派的でしたし、やはり強い内容でした。
ところが、パウエル議長の会見ですが、やはりバイデン大統領が「確証はないが、そのうち金利も下がるのではないか」と言われました。その期待に答えているのでしょうね。パウエル議長は、言葉の端々から「利下げするぞ、したいんだ」という思いが滲み出ておりまして、6月には利下げしたいんだなという気持ちはよく分かります。しかしながら、経済指標がこれに見合う内容になるのかどうかは分かりません。
そして、株式市場やビットコインや金市場を見てみますと、フィナンシャル・コンディションという意味では非常に今、緩和的だと思います。ここで利下げをしたら、株がどこまで上がるのか、金がどこまで上昇するのかというのは、ちょっと恐ろしいものを感じるのですが、マグニフィセント・セブンと言われていますが、NVIDIA中心に株は上がっています。ゴールドマン・サックスはNVIDIAの株価目標を1000ドルまで引き上げました。僕も先日、いつもジェンスン・ファンの講演を楽しみに聞くのですが、やはりNVIDIAのチップが非常に速くなったので、高速計算ができるようになった。だから、いろいろなものができるようになった。ChatGPTやAIでどんどん進むようになったと。そういうAIに関するものは、アメリカ中心になりますので、やはりどうしてもドルが強くなるのではないかなと思います。アメリカの金融政策も、十分な引き締めでもないので、金が上がったり、株が上がったりしてくるので、どうしてもアメリカの株に資金が流れてくるのかなと思います。
スイス相場動向 予想外の利下げ(要約)
そうした中で、スイスは利下げしました。予想されていなかったのですが、スイスは年に4回しか政策決定会合はないので、次は6月になってしまうのですね。それを考えると、インフレ見通しも引き下がっているので、金融緩和する余地は十分あるわけなので、今回は事前にポジションを持っていても良かったなと思って反省しております。
トルコリラ見通し 政策金利ついに50%(要約)
トルコは5%利上げして、ついに50%になりました。エルカン前総裁からカラハン新総裁になって、ちょっと不安があったかもしれないですが、エルカン前総裁以上にタカ派の人ですね。インフレ見通しが高まったので、それに対してきっちり対応したということで、トルコの通貨に対する信任というのは、僕はやはりこれから先は高まっていくのではないかなと。それは大統領が誰であろうと。クビにならなければですが…
トルコはいい方向に行っているのではないかなと個人的には思っております。金利はすごくつきますので、ちょっとした証拠金でトルコリラをロングにしていても、バカバカと金利が入ってきますので、大崩れしなければ、そういう余裕を見ておけば、今年はトルコリラがいい。上昇するかどうかは分からないですが、とにかくスワップが入ってきますので、いいのではないかなと思います。
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慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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