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ユーロ/円の12月見通し「堅調維持の公算も上値重い」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 11月の推移
・11月の各市場
・11月のユーロ/円ポジション動向
・12月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 12月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 11月の推移

11月のユーロ/円相場は159.066~164.306円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.6%上昇した(ユーロ高・円安)。1日こそ159.07円前後まで下落して軟化したが、3 日の米10月雇用統計がやや軟調だったことから対ドルでユーロが上昇したほか、6日に日銀総裁がハト派姿勢をあらためて強調したことから、ユーロ高・円安が進み、前月末に付けた15年ぶり高値の160.85円前後を上抜けた。

その後も堅調推移を続け、ドル/円が33年ぶりの152円台目前まで上昇した13日には162円台へと上伸。14日に発表された独11月ZEW景気期待指数が予想を上回った一方、米10月消費者物価指数が予想を下回るとユーロ高・ドル安が加速。ユーロは対円でも上昇して163円台に乗せた。翌15日には欧米株高などを背景に円売り主導で164.31円前後まで上値を伸ばし2008年8月以来の高値を付けた。

その後は、米感謝祭休暇を前に持ち高調整と見られる動きで161円台に押し戻されたが、感謝祭明けにはドイツ経済の底入れ期待などから163円台後半を回復。ただ、ドイツやユーロ圏のインフレ鈍化を示す指標が続いた月末にかけては再び軟化し、30日には一時161円台を割り込んだ。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

10日
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は「政策金利を現在の水準で十分に長く続ければ、インフレ率をECBが目標とする2%に戻す上で大きく貢献するだろう」と述べた。また、ユーロ圏のインフレ率が2年ぶりの水準に低下したことについて「われわれは今後のエネルギー価格動向を注意して見守る必要がある」として、楽観視しない姿勢を強調した。

14日
独11月ZEW景気期待指数は9.8と市場予想(5.0)を上回り、7カ月ぶりのプラスに転じた。ZEW(欧州経済センター)は「ドイツ経済が底入れしたとの印象を裏付けるものだ」との見解を示した。ユーロ圏11月ZEW景気期待指数も13.8と、9カ月ぶりの水準に上昇した。

17日
格付け会社ムーディーズはイタリアの格付けを「Baa3」に据え置いた。格付け見通しは「ネガティブ」から「安定的」に引き上げられ、一部で懸念されていた投資不適格級への格下げは回避された。

23日
独11月購買担当者景気指数(PMI)・速報値は製造業が42.3、サービス業が48.7といずれも市場予想(41.2、48.5)を上回った。その後に発表されたユーロ圏11月PMI・速報値も製造業43.8、サービス業48.2と市場予想(43.5、48.1)をやや上回った。ただ、いずれも好不調の分岐点である50.0には届かなかった。

ECBは10月理事会の議事録を公表。「たとえ追加利上げが現在の基本シナリオに含まれていないとしても、理事会は継続的な評価に基づき、必要であれば追加利上げに備えるべきである」と指摘。一方で「全体として、ディスインフレ(インフレ鈍化)のプロセスはほぼ予想通りに進んでいるようだ。どちらかといえば、ディスインフレのプロセスは予想より幾分早く進んでいる」との見解を示した。

24日
独11月IFO企業景況感指数は87.3と市場予想(87.5)は下回ったものの、3カ月連続で上昇。IFO経済研究所は「企業の景況感はやや改善した。低い水準ではあるがドイツ経済は安定しつつある」とコメントした。

27日
ラガルドECB総裁は「今は勝利宣言をする時ではない」として物価上昇との闘いはまだ終わっていないことを強調。「われわれはインフレに影響を与える様々な力に注意を払い続け、物価安定という使命にしっかりと集中する必要がある」と述べた。

29日
独11月CPI・速報値は前年比+3.2%と市場予想(+3.5%)を下回り前月(+3.8%)から伸びが鈍化。欧州連合(EU)基準のCPIも前年比+2.3%と前月(+3.0%)から大幅に減速し予想(+2.5%)を下回った。

30日
ユーロ圏11月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.4%と市場予想(+2.7%)を下回り前月(+2.9%)から大きく鈍化。コアHICPも前年比+3.6%に伸びが鈍化した(予想+3.9%、前回+4.2%)。

11月の各市場

11月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

12月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 12月の見通し

11月のユーロは対円で一時15年ぶりの高値を更新するなど堅調だった。対ドルでも約3 カ月半ぶりに1.10ドルを超える場面があった。

一方で、対ポンドや対豪ドルでは下落しており、ユーロ自体が買われたという印象は乏しい。対円については専ら円安による上昇であり、対ドルでもドル安の進行がユーロを押し上げたと見られる。事実、欧州中銀(ECB)は10月理事会で11会合ぶりに利上げを見送り、利上げ局面の終了を示唆。11月終盤にはユーロ圏の11月インフレ率が速報値ベースで2.4%まで低下した事も明らかになった。これらを受けて、足元の市場では遅くとも来年4月までに利下げが行われるとの見方を織り込む動きとなっている。12月14日に行われる欧州中銀(ECB)理事会では、そうした市場の利下げ観測をけん制する可能性があると見ており、ユーロが大きく反落する公算は小さそうだ。

もっとも、クリスマスや正月などのホリデーシーズンを前にこれまでほどの勢いで円安やドル安が進むことも考えにくい。ユーロ/円相場は12月も堅調地合いを維持しそうだが、徐々に動意が薄れると見られ、11月に付けた15年ぶり高値の164.31円前後を超えるのは難しいと見ている。
(予想レンジ:159.000~164.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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