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投資詐欺シリーズ「弁護士に聞いた!「詐欺から身を守る方法」」-あなたは大丈夫?!意外と身近な投資詐欺(第6回)

(イラスト=PIXTA)

以下の取材記事は金融ライターK氏が執筆したものです。その内容について当社が 保証するものではありません。

www.gaitame.com

詐欺を見破るポイント

巧妙な手口で私たちを罠に陥れる詐欺師たち。騙されないために何を知っておくべきなのでしょうか。それでも騙されてしまったときは、どのように行動するべきなのでしょうか。
今回は「詐欺撲滅弁護士」として、多くの詐欺案件の弁護を手掛け、日頃から詐欺被害防止の啓蒙活動を行なっているワンピース法律事務所代表の杉山雅浩弁護士に「詐欺から身を守る方法」について伺いました。

1)マルチ商法に注意

──詐欺にあわないようにするために、私たちは何をすればいいのでしょうか?

杉山弁護士:勧誘された投資案件が「マルチ商法」のスキームかどうかを確かめましょう。

最近は「商品」ではなく、「権利」や「役務」を売る「モノなしマルチ」が増えています。例えば、「暗号資産であなたの資金を運用してあげます」といったような投資話です。このところ私の事務所に相談にくる人が増えています。

見分けるポイントは、「他人を紹介すれば報酬が得られる」とか、「商品を販売した相手が、さらに販売先を見つけると、追加で報酬が得られる」とか、これらに当てはまると、マルチ商法を使った詐欺の可能性が高いので気を付けてください。

──新規顧客を連れて行くと紹介料がもらえるような投資話ですね。

杉山弁護士:そもそもマルチ商法は、実際に営業しているのが個人なんです。だから、金融商品を運用したり、販売したり、勧誘したりできる金融業者としての資格が、本来は絶対にもらえないんです。つまり、違法勧誘がそもそも「折り込み済み」なんですね。だからバレないような仕組みで販売します。最初から法律を無視しているから、「ブラインド商法」も「誇大広告」も、なんでもありなんです。

2)常識的な利回り

──最初からお金を騙し取ることが目的だからですね。他にはありませんか?

杉山弁護士:次に、紹介された金融商品の利回りが常識的な数字をうたっているかどうかを確認してください。常識的と考えられる利率は、高くても年利で15%〜20%でしょう。

3)金融業者の資格

──それでもかなり魅力的な金融商品ですが、少なくとも「ジュビリーエース」事件の「月利20%」みたいな非常識な利率はあり得ないということですね。他には?

杉山弁護士:勧誘された金融商品を販売する会社が、金融商品取引法のライセンスを取得しているかどうかを確認してください。これは金融庁のウェブサイトで確かめられます。

──日本国内で金融商品の運用や販売・営業が認められているのは、金融業者として免許・許可・登録のある会社だけですよね。それ以外は違法業者ということになります。

4)勧誘者の身元確認

杉山弁護士:投資詐欺は「私に資産を預ければ、利益を出してあげます」っていう話が多いんです。実は「他人にはお金を預けない」ってことが、投資詐欺にあわないための最善策なんですが、少なくとも勧誘してきた人がどういう人なのか、せめて住所や氏名が本物かどうかくらいは、お金を渡してしまう前に、自分でも確認するようにしてほしいです。

●詐欺を見破るポイント

1)マルチ商法スキーム

2)常識的な利回り

3)金融業者の資格有無

4)勧誘者の身元確認

警察と弁護士の両方に相談

──細心の注意を払っていたにもかかわらず、それでも詐欺にあってしまったときは、どうしたらいいのでしょうか?

杉山弁護士:まず、警察に行って詐欺にあったことを伝えてください。その後、弁護士に相談するようにしましょう。警察に届け出ればいいと思われるかもしれませんが、詐欺事件で警察に動いてもらうのはなかなか難しいんです。

──警察に動いてもらうのが難しい理由は?

杉山弁護士:警察が事件として扱うためには、起きた被害が「明らかに詐欺だ」「明らかに金融商品取引法違反だ」というような証明が必要になります。これは「疎明」といいます。確信とまではいかないものの、一応「確からしい」と推測できる程度の証拠が、訴訟法では必要なんです。

これを個人で行うのはちょっと難しいんです。ある程度の証拠を揃えて、「(詐欺師には)騙す気があった」ということも証明しないとダメなんです。強盗や窃盗(のように犯罪行為が明白な場合)とは違うんですね。

──警察に事件として扱ってもらうのはハードルが高そうですね。刑事ではなく、民事で解決をすることはできないんでしょうか?

杉山弁護士:詐欺事件では民事訴訟で勝っても、騙し取られたお金を回収できるかどうか分からない場合が多いんです。詐欺師が財産を海外に移転したり、海外に逃亡したりすると、民事訴訟だけでは対応できなくなりますから、民事訴訟を起こすにしても、なるべく早めに「刑事告発」できるように進めるのがいいと思います。

被害を少なくするための手段

──詐欺にあったら、民事、刑事の両方からアプローチするのがいいということですね。

杉山弁護士:詐欺師が一番嫌がるのは警察に逮捕されることなんです。逮捕されると取調べや捜索、差押えが行われて、被害者に有利な証拠が出てくるケースも多いんです。

だから、「刑事告訴を取り下げる用意がある」と詐欺師に伝えると、「自分にメリットがある」と判断して、「それならお金を返します」と連絡してくることがあります。騙し取られたお金を少しでも取り戻そうと思うなら、やはり民事と刑事の両方で進めるべきでしょうね。

●詐欺被害の対処方法

1)警察と弁護士に相談

2)民事・刑事の両面でアプローチ

PickUP編集部:ライターK 大学卒業後、テレビ制作会社に勤務、NHKや民放局の報道番組でディレクターを務める。その後、出版業界に転じて金融・経済誌の編集者や記者として、政治・経済・金融などの記事制作に携わってきた。現在はフリーで活動中。FX歴は10年以上。実際にポジションを持って、FXトレーダーたちのトレード手法を確認する日々を送っている。