執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
豪ドル/円チャート(日足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
・米ドル/円につれ高
・中国経済不安で豪ドル安
・RBAは利上げ打ち止めを示唆
・豪賃金が予想を下回る伸び
・豪ドル/米ドル9カ月ぶり安値
「足元の豪ドル/円は94.00円を挟んでもみ合う展開」
米ドル/円が月初来高値を更新して144円台後半へ上昇した10日には豪ドル/円も94.90円台につれ高しましたが、中国の大手不動産開発会社の資金繰り難などから同国の景気下押し懸念が広がる中、14日には93.50円台へと下落しました。15日も豪中銀(RBA)議事録が利上げ打ち止めを示唆する内容だったほか、豪4-6月期賃金指数が予想を下回ったことで豪ドルは軟調。米ドル/円が年初来高値となる145円台後半へ続伸すると94.80円台に強含む場面もありましたが、豪ドル/米ドル相場が9カ月ぶりの安値に沈む中で結局は93円台に押し戻されて取引を終えました。16日の東京市場でも94.00円を挟んでもみ合っています。
「目先の豪ドル/円の注目ポイントは7月雇用統計」
17日に豪7月雇用統計が発表されます。RBAは15日に公表した8月理事会の議事録で、利上げを見送った根拠のひとつとして「労働市場が転換点に差し掛かった可能性を示す初期の兆候が見られる」との見方を示しました。17日の豪7月雇用統計では、これまできわめて好調だった労働市場に軟化の兆しが見られるか要注目です。市場予想は新規雇用者数が1.50万人増、失業率は3.6%となっており、6月(3.93万人増、3.5%)よりもやや弱めの結果が見込まれています。豪7月雇用統計が予想以上に弱いようだと、わずかに残る年内の追加利上げ期待がほぼ萎んでしまう可能性もあるでしょう。ただ、豪金利先物市場が織り込む次回9月理事会の利上げ確率は16日時点で0%となっており、もはや低下余地はありません。豪雇用統計が予想外に強い結果となれば、多少なりとも9月利上げ期待が復活して豪ドル相場の押し上げに繋がりそうです。その他、不動産市況の悪化などから景気低迷への懸念がくすぶる中国の株式・債券・為替市場の動きにも目配りが必要でしょう。
当面の豪ドル/円の見通し
予想レンジ
92.500~96.000円
基調
方向感模索
来週までの注目ポイント
・8/17☆豪7月雇用統計
・中国金融市場
・主要国株価、国際商品価格
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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