総括
FX「政策金利は11.25%で据え置き。米国の輸入相手国はメキシコが首位に」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.2-8.7
(ポイント)
*政策金利は3会合連続で11.25%で据え置き
*米国格下げでのリスク回避のペソ売りの戻りも速い
*8月1日には8.55の年初来高値を更新
*1-6月の郷里送金は過去最高
*米国の輸入相手国は中国を抜いてメキシコがトップに
*7月消費者物価は低下
*ファンダメンタルズは好調
*2024年大統領選挙の世論調査
*メキシコで労働問題が起きれば米国(USTR)が関与する
*IMFは成長率予想を引き上げ
*日本からのメキシコへの6月の輸出は前年比40.3%増
*最低賃金は大幅増
*大統領選は2024年6月
(戻りが速いのがメキシコペソ)
8月1日に8.55の年初来高値を更新した後に、中銀の利下げ示唆や米国格下げなどの報にリスク回避の流れとなり8.180まで下落するも、戻りも速く一時8.5台を回復した。昨年と今年のここまでの最強通貨たる所以だ。対ドルでは16ペソ台は維持できずに17台へペソ安。16台は抵抗があるようだ。
(政策金利は3会合連続で据え置き 11.25%)
政策金利は予想通り11.25%で全会一致で据え置かれた。中銀は「インフレ率は下がり続けているが、まだ高い水準を維持している」、「インフレ見通しはなお「極めて複雑」とし、当面は金利が現行水準に据え置かれる可能性を示唆した。また、インフレ率は来年終盤には目標に収束すると予想しているとしながらも、インフレ見通しは複雑かつ不確実で、上方リスクも存在していると指摘した。
メキシコのインフレターゲットは「3%の上下1%」で、現在4.79%、コアは6.64%だ。10年国債利回りは9.3%。
(7月消費者物価は低下)
7月の消費者物価は、前年同月と比べて4.79%上昇。2年4カ月ぶりに5%を下回った。農畜産物とエネルギー価格を除くコアインフレ率は6.64%。コアインフレ率に含む「(農畜産物を除く)食料品と飲み物、たばこ」は前年同月比で9.79%上昇した。コアインフレ率に含まない「果物と野菜」は同7.14%上昇した。
(ファンダメンタルズは好調)
メキシコのファンダメンタルズが好調なこともペソを支える。2Q・GDPは前期比0.9%増で7期連続でプラス成長を確保した。7月製造業PMI、製造業PMI、自動車輸出・生産も改善を続けていることを示した。ニアショアリングと郷里送金が経済を支える
(メキシコが首位、対米輸出。米国の輸入)
米国の物品の輸入先で中国が首位から陥落し、メキシコとカナダに次ぐ3位となった。ニアショアリングの取り組みがサプライチェーンのさらなる多様化に拍車をかけている。
1-6月(上期)の米国の中国からの輸入額は計約2030億ドルと、前年同期比25%減少。一方、メキシコからの輸入額は同期間に5.4%増えた。米国の輸入先4位はドイツ、日本は5位だった。
中国は年間ベースで10年余りにわたり米国に対する最大の物品供給国の座を占め、昨年の米中貿易額は過去最高を更新したが、人権や公正な貿易、テクノロジーと市場における競争といった問題を巡る対立激化で2国間貿易は脅かされている。
(郷里送金が過去最高更新)
外国からメキシコへの1〜6月の送金額が前年同期比10%増の約302億ドルになった。上半期として過去最高を更新した。米国を中心とした出稼ぎ労働者による家族に向けた仕送りが増加し、メキシコで低所得者層の生活を支えている。
(2024年大統領選挙の世論調査)
候補者は与党モレナ党からは、元メキシコ市長シェインバウム氏と元外務大臣エブラルド氏。野党からはメキシコ広域戦線のガルベス上院議員。
回答者の42%が与党の第一候補のシェインバウム氏を選択したが、ガルベス氏との差はわずか8 ポイントに縮まった。ガルベス氏は、回答者の34%の支持を集め、前回調査の30%から上昇した。
テクニカル分析
年初来高値更新後、2σ下限まで下落も回復も速い
日足、 ボリバン2σ上限から下限へ下落も戻りも速い。8月10日は再びボリバン上限まで上昇。8月9日-10日の上昇ラインがサポート。8月1日-10日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、年初来高値圏で推移。7月24日週-31日週の上昇ラインがサポート。上値抵抗は年初来高値の8.55あたり。5週線、20週線上向き。
月足、7月で4か月連続陽線。8月はボリバン2σ上限から小反落も戻りも速い。一時6月-7月の上昇ラインを下抜く。1月-3月の上昇ラインがサポート。5か月、20か月線上向き。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
USTRが出てくる労働問題、矢崎総業の件
米通商代表部(USTR)は、メキシコ政府に対し、矢崎総業の同国中部グアナファト州の自動車用電子部品工場で、労働者の権利が侵害されたかどうかを調査するよう要請したと発表した。貿易協定の「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に基づく措置。
USTRによると、メキシコの労働団体が、団体交渉権を巡る工場労働者の投票に際し、多くの「不法行為」があったと申し立てた。USTRと米労働省で構成される委員会は申し立てに「十分かつ信頼できる証拠がある」と判断した。
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