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米ドル/円は押し目買い、米労働市場の需給ギャップは継続 3月10日の米国雇用統計の予想と戦略 2023年3月号-By 外為どっとコム総研

【告知】20時45分から開催 米雇用統計ライブ

米雇用統計の予想と戦略

更新日時:2023年3月13日 12時40分(結果を記載)
執筆日時:2023年3月9日 15時00分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

米ドル/円は押し目買い、米労働市場の需給ギャップは継続 3月10日の米国雇用統計の予想と戦略 2023年3月号-By 外為どっとコム総研

目次

 

1.はじめに

2023年3月10日(金)、日本時間22時30分に米国の2月雇用統計が発表されます。米国のインフレピークアウトを示す複数の指標結果から、昨年12月にFRBは利上げペースの鈍化に踏み切り、引き締めサイクルが終盤に差し掛かったとの観測を高めました。しかし、その後に労働市場のひっ迫やインフレ再燃を想起させるデータが示され、今度はFRBの引き締めサイクルの長期化を織り込む流れに変わっています。今回の結果が足もとのタカ派観測を後押しするのか、それとも一時的な事象と処理され以前の利上げペース鈍化路線へ回帰するのか今回のデータから探ることになります。また、米国は3月12日から夏時間となりますので、4月から発表時間は21時30分となります。

2.前回のおさらい

・1月NFPはポジティブサプライズ
・FRBの引き締めサイクル長期化を想起

2月3日、米労働省が発表した1月の非農業部門雇用者数(NFP)は51.7万人増と、市場予想(19.0万人)を大幅に上回り非常に強い結果となりました。また、失業率も3.4%と53年ぶりの水準へ低下しました。分野別には、特にレジャー・娯楽、ヘルスケア、小売などの対面サービスが好調だったほか、それ以外の多くの分野でも雇用の伸びが確認できました。一方で、時給は前月比で0.3%増と横ばい、前年比で4.4%と伸びが緩やかになりました。 賃金の上昇率が緩んだことはインフレ圧力低下につながるものの、労働市場の需給がひっ迫状態にあることを踏まえると、今後すんなりとインフレ率が米金融当局の目標レベルである2%に向けて鈍化していくかは微妙です。「CMEのFedWatchツール」では、結果を受けてターミナルレート見通しが4.75-5.00%から、5.00-5.25%へ上昇しました。

図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:米国労働省
NFP表

128.450円付近を推移していた米ドル/円は129円後半へジャンプアップ。その後も、買いが優勢で131.205円まで上昇幅を広げました。一方で、ダウ工業株30種平均は、米長期金利が3.52%台へ戻したことが嫌気され、127.93ドル安い33926.01ドルで取引を終えました。

図表2.前回発表前後のドル円の動き
USDJPY30分チャート
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

3.今回の見どころ

・労働市場は予想のレンジの上側を推移
・ポジティブサプライズのポイントは29万人
・2月は上昇して『当たり前』のハンデも

年次改定で昨年の6月から12月までのNFPが上方修正(月間平均で+5.4万人)されたほか、高レベルを維持するJOLT求人件数、記録的な低水準に留まる新規失業保険申請件数など、前回の雇用統計後に発表された雇用データも概ね好調で、労働市場の需給はまだひっ迫していると見られます。実際に対面サービスの分野は、コロナ前と比較して約50万人程度足りていない状況です。これらを踏まえると、インフレを抑えるレベルにまで労働市場が十分に冷えたとは言えず、FRBの目標達成の時期は後ずれしそうです。「CMEのFedWatch ツール」では、8日時点で3月FOMCでの利上げ幅が0.5%になる確率が76%ほど織り込まれているほか、金利の最終到達点であるターミナルレートは5.50-5.75%まで目線が上がっています。

図表3.雇用関連指標一覧
雇用関連指標一覧
出所:外為どっとコム総研

もちろん、こうした見通しがさらに進展するには強いデータが必要である点は言うまでもありません。では、どの程度の数字なら、そうした状況になるのでしょうか。結論から先に言えば、NFPが29万人以上となった場合と個人的には考えます。これを説明するために図表4.をご覧いただきたいのですが、これは直近のNFPの結果とその3カ月移動平均の表に、2月のNFPの想定値を置いて2月の3カ月移動平均を表にしたものです。これを見ると、NFPが29万人より多ければ、雇用市場が再び拡大に転じ始める兆候と受け止められ、インフレ加速を警戒すべきトーンも一気に高まりそうです。逆に29万人を下回る場合は、3カ月平均では緩やかな低下基調が継続する形となり、FRBへの極端なタカ派観測は一度、緩みそうです。今月は、市場予想の20.0万を上回るかどうかも着目されますが、トレンド転換の分岐点である29万人も注目の数字と考えます。

図表4.NFPと3カ月平均
雇用関連指標一覧
出所:外為どっとコム総研

このように期待感が先行している雇用統計ですが、不安な点もあります。一つ目は、1月の雇用者数は2013年以降、前月比で平均283万人減少していますが、今年は250万人程度に留まったことで、1月のNFPは大きく押し上げられました。今月はこうした反動が出る危険があります。二つ目は、2月特有の事情です。図表5.は季節調整前の労働者数の推移を前年の10月から翌年の3月までをプロットしたものです。これをみると、例年2月は労働者数が増える時期です。つまり2月は良くて当たり前の月ですので、季節調整後の数字となるNFPはすでに下駄を履いた状態と言えます。そのため、労働者数の増加が例年より小さければ、季節調整後はかなり弱い数字となる危険があります。そのため、市場の予想も幅広くなっており、注意が必要です。

図表5.月ごとの米労働者数の推移
月ごとのu米労働者数の推移
出所:外為どっとコム総研


また、FRBのデュアル・マンデート(2大責務)である「雇用の最大化」と「物価の安定」を考える上で、インフレ動向の指標となる時間給も重視されます。実質賃金は1月に0.7%と高い伸びを示しています。時間給の伸びが前月比0.3~0.4%と変わらない中で、直近のインフレ鈍化で家計の可処分所得は増えつつあることが分かります。直近の堅調な個人消費はこうした点が反映されているのかもしれません。

さて、今月の雇用統計ですが、市場予想はNFPが22.5万人、時間給の前月比は0.3%が予想中央値となっています。直近の労働市場の需給ギャップを踏まえれば、底堅い結果が示されると見られ、発表直後は上向きに反応するのではないでしょうか。ただ、企業のレイオフ計画がある中で、FRBのタカ派化を推し量る基準線である29万人を超えてくるには少しハードルが高いようにも思われ、上値もある程度限定されるのではないでしょうか。

☆想定するシナリオ

ドル円の反応予想
※本指標発表後、5分の値幅(過去3カ月):平均1円33銭
出所:外為どっとコム総研

図表6.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2023年02月 21.5 31.1 3.4 3.6
2023年01月 19.0 51.7 3.6 3.4
2022年12月 20.0 22.3 3.7 3.5
2022年11月 20.0 26.3 3.7 3.6
2022年10月 20.0 26.1 3.5 3.7
2022年09月 26.0 26.3 3.7 3.5

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2023年02月 0.3 0.2 62.5
2023年01月 0.3 0.3 62.4
2022年12月 0.4 0.4 62.3
2022年11月 0.3 0.4 62.2
2022年10月 0.3 0.4 62.2
2022年09月 0.3 0.3 62.3

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2023年02月 49.1 54.0
2023年01月 50.6 50.0
2022年12月 50.8 49.4
2022年11月 48.9 50.6
2022年10月 49.9 49.2
2022年09月 49.3 52.3

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

4.今回の戦略

・米ドル/円は買い回転か

テクニカル的には、週足一目均衡表・雲上限に沿って下値を切り上げています。もっとも、日足ベースでは一目雲上限が緩やかに低下するため、少し下方向のサポート力は限定されますが、トレンドは上向きでしょう。発射台がどの水準になるか分かりませんが、買い回転を考えています。ただ、週足一目基準線が推移する139.584円を超えるにはまだ力強さは足りないように感じますので139円台では利食いを心掛けたいです。 

図表7.米ドル/円チャート-週足
USDJPY
出所:外為どっとコム「ネオチャート

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