先週は注目の今年最初のFOMC.が開催され、利上げ幅は市場の予想通りに0.25%に留まり、昨年の0.75%4回、0.50%1回の引き上げから徐々に引き上げ幅の縮小が確認された。
会議後の記者会見でパウエルFRB.議長は“モノのセクターでディスインフレが始まったと確認している。労働市場の好調が続く中、インフレ低下が進行していることは喜ばしい。”と述べて市場はこれをハト派的な発言と捉えて米国10年債利回りは一時3.3%台へと低下し、ドル・円相場も128.08の安値を付けた。
ところが金曜日に発表になった1月の米国雇用統計が市場のハト派的な雰囲気を吹き飛ばすこととなった。
非農業部門雇用者数は市場予想の+18万5千人を大きく上回る+51万7千人となり、失業率も市場予想の+3.6%を下回る+3.4%となり、一気にハト派的ムードが払拭されて10年債利回りは3.5%台を回復してドル・円相場も131円台へと急騰した。
ドル高に伴ってユーロ、ポンド、豪ドルなどの主要通貨が軒並み低下する中、円もつれ安となってドル高&円安気味の131.19の高値で週を終えることとなった。
そして週明け月曜日の早朝に日経電子版が“政府・与党が次期総裁候補の一人であった雨宮副総裁に総裁就任を打診し、最終調整に入った。”との情報が流れて週明けのオセアニア市場でいきなり132.37と窓を開けてスタートした。
現在時期総裁有力候補として名前が挙がっている雨宮副総裁、山口現副総裁、そして中曽前副総裁の中で雨宮副総裁は黒田総裁の下で10年間続いた緩和政策遂行の事務方の要として活躍され、現黒田体制の踏襲に最も積極的と言われていて、暫くは今の緩和政策が続くと市場は読んでドル買い&円売りに走ったものと思われる。
奇妙なことに我が国の10年債(JGB.)利回りは金曜日から0.015%上昇して0.495%で取り引きされており、為替市場の反応=(黒田体制の続行で緩和政策が続き、ドル高&円安が進む。)とは逆に債券相場下落(金利は上昇。)となっている。
正に先週末、今週初と日米中央銀行のこれからの金融政策の変化を巡っての思惑で右往左往している感じがする。
日経新聞のスクープに関しては永田町の官邸筋からのリークと思われるが、鈴木蔵相は“聞いていない。”とし、磯副官房長官は“その様な事実は無い。”と否定した。
未だ正式に決まっていない事については、“知りません、決まっていない。”と言わざるを得ないのだろうが、まあ次期総裁は雨宮さんで決まりなのだろう。
海外の連中は総裁候補が誰になるかなどは余り興味が無いらしく、誰がなっても時間の問題で現在の黒田体制の軌道修正が行われるのは必定と見ており(筆者もそう思う。)、債券売り&円買いのチャンスを依然として虎視眈々と狙っている。
確か先週の月曜日は“「令和国民会議」(令和臨調)が、政府・日銀が2013年にまとめた共同声明(アコード)の見直しを提言した。”と言うニュースが出て、共同声明の見直し=金融緩和政策からの脱却=金利上昇=円高の発想からドル売り&円買いが進行したが、今回はその逆の=黒田体制の維持=金融緩和政策の維持=低金利が続く=円安の発想からのドル買い&円売りであるが、今回もはしゃぎ過ぎの感は否めない。
まあやり難い相場になったものだ。
今週はパウエル議長を始め、FRB.高官による発言機会が多いが又市場はそれに一喜一憂するのであろうか?
我が国では次期日銀総裁の人事を巡って思惑が交差しようが、何方がなったとしても貧乏くじを引く様な気がしてならない。
利上げをしたくても政府が許さず、債券買いを止めれば金利が急上昇して円高となるリスクが有り、にっちもさっちも行かないのが現状であろう。
テクニカル分析の見立ての上サイドの131.50を切ったが、突発的なニュースによるレンジ・ブレークに乗るのは危険である。
131.50より上が定着するのか、或いは海外勢の攻めで130円台を目指すのか見極めてからでも遅くはあるまい。
今週のテクニカル分析の見立ては130.00~133.00で、131.80をきちんと上切ると133円を目指す。
130円を下切ると、再び128円方向を目指す。