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豪ドル見通し【豪ドルは年初のリスクオン地合いを考慮し強気目線】

なっとく豪ドル見通し

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、オーストラリアのマクロ経済政策などをもとに、豪ドルの現状や相場見通しについてお伝えしていきます。通貨売買の参考にして頂ければ幸いです。

第33回は「豪ドルは年初のリスクオン地合いを考慮し強気目線」です。

目次

1.豪ドル相場の定点観測
2.年初の値動きを考慮すれば豪ドルは買いやすい通貨
3.豪ドルはしばし買い目線で臨みたい

1.豪ドル相場の定点観測

まずは現在の豪ドル相場について状況を確認します。

豪ドル情報の一覧表
出所:外為どっとコム、Investing.com

AUD/USDは2週間で192Pips上昇し、1AUD=0.6908USDとなりました。年末年始でもあり積極的な売買は手控えられ上下に方向感のない値動きが続いていましたが、先週末に発表となった米11月ISM非製造景況指数が2020年5月以来の「基準の50割れ」となり米ドル売りが加速、相対的に豪ドルは上昇し、2022年9月ごろのレート水準まで値を戻しています。

AUD/JPYも1.83円上昇し、1AUD=90.91JPYとなっています。年を明けて、投資家はリスクを積極的にとる動きを強めています。低金利通貨である円を売って、新興国通貨など高金利通貨が買われる展開の中で、豪ドル/円もしっかりと上昇しました。

資源価格の総合的な価値を示すBCOMは▲3.95%でした。これは、昨年、欧州が記録的な暖冬で、原油や天然ガスなどの需要が減退していることに起因しています。オーストラリアの2020年の輸出金額3位が天然ガスで、輸出総額の6.6%を占めていますので、オーストラリアにとっては、どちらかと言えばネガティブな材料かと思います。ただ同観測期間における輸出1位の鉄鉱石と比べれば影響はそこまで大きくないですので、過度に気にする必要はないと見ています。

なおIMM通貨先物における投機筋の豪ドルポジションは、ネットショートが▲36,267枚となりました。ポジション量としては過去と比較してそこまで大きくないので、まだ投資家が売りを仕掛ける余力も残している状況とみています。

ここまでが、ざっとですが直近2週間の振り返りです。

2.年初の値動きを考慮すれば豪ドルは買いやすい通貨

昨年、2022年末は米ドルの反落に加えて、円の買戻しも進み、ドル/円は大きく下落しました。年末の相場には1年間の「調整」としての意味合いも含まれていると考えており、まさにドル円上昇相場における調整の期間だったのではないかと捉えています。

そして年始の相場には今年1年間の相場の「ヒント」が含まれていると思っています。なぜかというと、多くの海外企業にとって年始は新しい会計年度の始まりだからです。

金融マーケットと対峙するファンドや金融機関は昨年の成果が目標に対して大きくアウトパフォームしたとしても、会計年度が切り替わればまた一からのスタートとなり、今年も好成績を目指さなくてはなりません。したがって2023年少なくとも第1Qのトレード・アイデアを年始の相場にぶつけてみようとするはずです。

では第1週の相場はどうだったか?というと、日本円売り、人民元買い、豪ドル買いでした。正確にはメキシコペソやロシアルーブルも買われていますから、投資家が積極的にリスクを取る「リスクオン相場」と言えます

年始1週間の対円の値動きをまとめた棒グラフ
年始1週間の対円の値動きをまとめた棒グラフ 出所:トレジャリー・パートナーズ

これは中国関連のポジティブな報道が大きく影響したと見ています。ゼロコロナ政策を転換、1月8日からは入国時の隔離を撤廃して外国への往来を可能にしたこと、不動産市場における厳しい自己資本制限ルールを緩和するという報道が流れてきたこと、そして決定した方針でもありますが、今年の財政支出の拡大が挙げられます。

中国が経済をけん引するのであれば、先進各国のリセッションも和らぎますし、ここまで順調に米国のインフレ圧力も低下してきていますので、いわゆる「ソフト・ランディング(経済の軟着陸)」シナリオの動きが意識されそうです。

今年は、基本的には「ソフト・ランディング・シナリオ」と、「リセッション・リスクオフ・シナリオ」の綱引き相場になると思いますので、展開を見極めつつ、前者の時には豪ドル買い、後者の時には豪ドル売りで臨みたいと思います。

3.豪ドルはしばし買い目線で臨みたい

まずAUD/USDを見ていきます。日足チャートで確認すると0.67レベルが非常に底堅く、やや上放れした形状となっていることが見て取れます。

AUD/USDチャート、日足

したがって目先、まずは上目線で臨んだ方がよいでしょう。

上値抵抗の観点で言えば、目先は非常に近いですが0.70、次いで0.72が視野に入ります。0.70が心理的な節目で、0.72はそれそのものがというよりは、豪ドルショート勢の損切りオーダーを巻き込みそうな地点であると見ています。

私なら0.67をバックに少しずつ損切りオーダーを引き上げながら、0.70越え、0.72越えを狙っていきます。

続いてAUD/JPYです。日足チャートでみると上値の重い展開が続いていますが、一方で88円丁度レベルではしっかりと買いが入っており、やや反発地合いにあると捉えています。

AUD/JPY 週足
AUD/JPY週足チャート/出所:Investing.com

特に年初にリスクオン地合いが強まりましたので、ロシア情勢の激化、米国および中国経済の予想外の落ち込みを警戒しながらも、現状においては引き続き買い目線で攻めていきたいです。

88円を割り込むようなら、一旦、豪ドル円の買いは撤退して、作戦を再考した方が良いと考えます。


<参考文献>
文中に記載しています。


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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
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