”何故、下がる?”

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先週のドル・円相場は月末のリバランス(株や債券の価格変動をヘッジする為に行われる為替のポジション調整)でドル買いが先行するとの思惑で一時139.89の高値を付けたが、30日にパウエルFRB.議長が基調講演で“インフレ抑制に十分な水準に達すれば、利上げペースを緩やかにするのが理にかなっている。”と発言し、また利上げペースを緩める時期について“早ければ12月会合になるかもしれない。”と初めて具体的な時期について発言をした事をきっかけにして10年債利回りが3.749%から3.610%まで急落し、137.65まで2円以上の下げを演じた。

11月の米国雇用統計の発表を控えて薄いマーケットの中、この流れは続き、10年債利回りが3.5%を下回るレベルまで低下した事を受けてドル・円相場も金曜日には一時133.62まで殆ど大きな抵抗も無く下げた。

135円を切った段階で大きなストップ・ロス(損切り)の売りと共に、割合大きな実需の輸出筋のドル売りも出たことがドル下落に拍車を掛けた。

金曜日の夜発表になった11月の米国雇用統計は失業率は不変であったものの、非農業部門雇用者数は市場予想の+20万人を大きく上回る+26万3千人となり、また時給の伸び率も前月比+0.6%(市場予想は+0.3%)、前年比+5.1%(市場予想は+4.6%)と強い結果となりドル・円も135.98と136円に近付く場面も有ったが、上昇も其処迄。

再びドルの下落が始まって、結局134.31で週を終えることとなった。

好調だった雇用統計の結果を受けて、今までのパターンだとドル・円相場は恐らく上げ足を速めたであろうが、何故ドルは下げたのであろうか?

理由は簡単である。
マーケットが依然としてドル・ロングであり、ドルの上昇を“待ってました。”とばかりにドル売りが先行したのだろう。

下はシカゴ・IMM.と我が国個人投資家の持ち高を表す表であるが、何と両者とも11月29日の段階で円のショート(ドルのロング)とドルの買い持ちを増やしているのである。


(シカゴ・IMM.は11/29段階でネットで円のショート67,394枚(ドル換算で約61億ドルの買い持ち)を保持しており、我が国個人投資家は約21億ドルの買い持ちを保持している。)


ドル売り先行の立役者は上の両者の損切りが考えられるが、実はドル・円相場が200日
移動平均線(現在は134.60銭くらいのところに在る。)を下切った為に、普段は滅多にお目に掛からない機関投資家や大手の輸出筋の売りが出た可能性も有る。


(10月からのドル・円相場日足チャートと200日移動平均線(青い線)。)

もし前者の損切りが大きく進んでおらず、後者の売りが134円台までの下落を主導したとすると、根は深い。

シカゴ・IMM.のポジションは今週末、我が国個人投資家のポジションは明日にならないと分からないが、両者の大きなポジション変化の有無は非常に興味深いものである。

週明け月曜日の値動きは134.43で始まり、仲値に向けて134.76まで上伸したが、その後は失速して134.13の安値を付けた後、午後3時現在で134.60近辺で取引されている。

これを見る限り、“ドルが上がったら売りたい人が沢山居るな。”と思うが、勿論推測でしかない。

確信して言えるのは、多くの参加者がたったひと月半で高値151.94から安値133.62迄18円32銭までのドル・円の下落を目の当たりにして、ドルは下がるだろうと思った人でも、“此処まで下げたか!”と驚き、ドルは下がらないと思った人は、“こんなの信じられない!”と思っていることである。

僭越ながら塾長は前者の一人であったと思うが、正直言って此処までドルが下がるとは思わなかった。
“140円を割った時にそろそろ良い所に来たかな。”との値ごろ感でドルを買わなくて良かったと思っている。

我が国個人投資家は先週の火曜日の段階でドルの買い持ちを増やしたと上述したが、先週月曜日と火曜日はドル・円相場は137.50~139.50の正に“値ごろ感で買いたいレベルである。”140円割れの水準で推移していた。

今週は来週のFOMC.を控えてBlack out.期間となり、FRB.高官による金融政策に関しての発言は出ないが、クリスマスと年末を控えてマーケットのポジション(依然としてドル・ロングであると推察される。)の整理が進めば更なるドル下落も有り得るが、それが一服すれば来週のFOMC.での0.5%の利上げを受けてドルの反転上昇も有り得る。

テクニカル分析の見立てはややドルの売られ過ぎを警戒してはいるが、200日移動平均線を下切ったこともあり、更なる下落に警戒。

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