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ユーロ/円の12月見通し「強弱材料が混在」

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 11月の推移
・11月の各市場
・11月のユーロ/円ポジション動向
・12月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 12月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 11月の推移

11月のユーロ/円相場は142.552~147.116円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.2%下落した(ユーロ安・円高)。

米国の利上げペースが鈍化するとの観測を背景にドルが軟化する中、ユーロは対ドルで上昇したが、対円では下落した。象徴的だったのは10日の動きで、この日発表された米10月消費者物価指数(CPI)を受けてユーロ/ドルは約3カ月ぶりに1ユーロ=1.02ドル台へと上伸。一方、ユーロ/円はこの日、ドル/円が146円台から140円台まで大きく下落した影響で1ユーロ=143円台へと下落した。ユーロ圏では、インフレの高進で景気後退(リセッション)を巡る懸念が根強いものの、ラガルド欧州中銀(ECB)総裁らが景気を犠牲にしてでも引き締めを続ける構えを見せている。景気不安と金利上昇という強弱の材料が混在する中で、ユーロ自体には方向感が出にくかったと考えられる。

ユーロ/円 11月の推移

11月のユーロ/円4本値
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

4日
ユーロ圏9月生産者物価指数(PPI)は前年比+41.9%と予想と一致。過去最高を記録した前月(+43.4%)からは伸びががやや鈍化した。これより前にラガルドECB総裁は「インフレを2%目標に平準化させるために利上げを続ける」「景気鈍化はインフレの大幅抑制につながりにくい」などと発言した。

8日
デギンドスECB副総裁は「量的引き締め(QT)は遅かれ早かれ実施されるが、2023年には確実に開始される」との見解を示した。独連銀のナーゲル総裁は「インフレ抑制のために追加利上げが必要」「たとえ金融引き締めで経済成長が圧迫されたとしても、ECBが早すぎる時期に止めないよう、金融政策の正常化に全力を尽くす」と表明した。

9日
ロシア国防相がロシア軍に対して、ウクライナ南部の都市ヘルソン市からの撤退を命令したと伝わると一時ユーロが上昇。しかし、ウクライナ側が「ヘルソン市にはまだロシア軍が留まっており、増員されている」と明らかにすると上げ幅を失った。

15日
独11月ZEW景況感指数は-36.7と予想(-51.0)を上回り、前月(-59.2)から持ち直した。ユーロ圏11月ZEW景況感指数は38.7だった(前回-59.7)。ZEW所長は「インフレ率がまもなく低下するという期待が持てる。そうなればECBは金融政策に強くブレーキをかける必要がなくなるだろう」としながらも「独経済の見通しは依然としてネガティブである」との見解を示した。

18日
ラガルドECB総裁は「ユーロ圏のインフレは高すぎる」と改めて発言。「さらなる利上げを予想する」と述べた一方、「リセッションのリスクは高まっている」との見解を示した。なお、この日はドイツ連銀のナーゲル総裁が「断固として金利をさらに引き上げ、景気抑制的な姿勢を取る必要がある」と強調。オランダ中銀のクノット総裁も「断固とした対応を打ち出し、需要を冷やす景気抑制的な領域に金融政策が入る必要があることを示唆するべきだ」と主張した。

21日
レーンECB理事は「12月が最後の利上げだとは思わない」「金利はさらに上昇すると予想する」と発言。その後、オーストリア中銀のホルツマン総裁が「今月30日に発表されるインフレ統計で大きな減速が見られない場合、0.75%の利上げを支持するだろう」と述べたことも伝わった。一方、ハト派で知られるポルトガル中銀のセンテノ総裁は「利上げ幅を前回よりも小さくする条件、それも多くの条件が整っている」との見解を示した。

23日
独11月製造業PMI・速報値は46.7(予想45.0)、同サービス業PMI・速報値は46.4(予想46.2)。ユーロ圏11月製造業PMI・速報値は47.3(予想46.0)、同サービス業PMI・速報値は48.6(予想48.0)だった。予想を上回る結果だったものの、好不況の分岐点である50.0はいずれも下回った。

24日
独11月Ifo企業景況感指数は86.3と予想(85.0)を上回り、前月(84.5)から上昇した。独Ifo経済研究所は「リセッションは多くの人が予想しているほど深刻にはならない可能性がある」との見解を示した。

29日
独11月CPI・速報値は前年比+10.0%と前月の+10.4%から減速し、予想(+10.4%)を下回った。欧州連合(EU)基準の11月CPIは前年比+11.3%と予想と一致した。1996年以来の高水準を記録していた10月から伸びが鈍化したことで、ユーロ圏のインフレがピークに近いとの思惑が一部に浮上した。

11月の各市場

日経平均、独DAX

独国債利回り(2年、10年)

11月のユーロ/円ポジション動向

ユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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12月のユーロ圏注目イベント

12月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 12月の見通し

欧州中銀(ECB)は12月も利上げを継続すると見られ、15日の理事会では主要政策金利が2.50%に引き上げられる(50bp=0.50%ポイント利上げ)見通しだ。また、この理事会で量的引締め(QT)の議論が本格的に始まると見られる。こうしたECBの引き締めスタンスはユーロの強みであろう。

一方で、高インフレ・高金利によってユーロ圏の景気先行きには不透明感が強い。ECBもユーロ圏経済は2023年にかけて一段と減速する可能性があると指摘している。インフレと不況が同時進行する「スタグフレーション」を巡る懸念はユーロの弱みとなりそうだ。ただし、暖冬の影響などで欧州の天然ガス価格が低下しているのは不幸中の幸いだろう。代表的な欧州天然ガス先物のオランダTTFは8月の1メガワット時=300ユーロ台から半値以下の100ユーロ台前半で推移している。このため夏場に比べるとユーロ圏の景気不安はいくぶん後退していると考えられる。

そうした中、ユーロは12月も方向感を持った動きにはなりにくいと見る。対円では引き続きドル/円の動きが肝心だろう。ドル/円が次なる節目の135.00円を割り込む展開になればユーロ/円もつれて下落する公算が大きい。一方で、ドル/円が140円台回復に向けた動きを強めるようならユーロ/円も堅調に推移しよう。

(予想レンジ:137.000~145.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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