債券市場では金融引き締めに積極的(或いは金融緩和に消極的)なことをタカ派的であると言い、逆に金融緩和に積極的(或いは金融引き締めに消極的)なことをハト派的であると言う。
英語ではタカ派的であることをHawkish.と言い、ハト派的であることをDovish.と言う。
ハト派的とまでは行かないが、金融引き締めに消極的であることをLess hawkish.(そんなにタカ派的ではない。)と言う事もある。
先週の為替市場でドル・円相場は前週までの相次ぐFRB.高官や地区連銀総裁のHawkish.な発言により10年債利回りは3.840%まで上昇してドル・円相場も142.24の高値を付けた。
そして23日に11月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表されると市場に混乱が走った。
議事要旨では、策立案者のかなり多数が、利上げペース鈍化が間もなく適切になるとの見方に同意し、大半が利上げペースの早期減速を支持していたことが明らかになったものの、様々な委員がターミナルレート(最終着地点)を以前よりも高い水準で見ていることが示された。
これを一言で表すと、“FOMC.の多くのメンバーがLess hawkish.になりつつあるものの、基本的には、Hawkish.な政策は変わっていない。”であろうか?
10年債利回りは議事要旨を受けて3.689%まで下落し、ドル・円相場も138.06まで下落した。
日本では水曜日が勤労感謝の日、アメリカでは24日がサンクスギビング・デイの祝日で市場参加者が減り、同時に市場の流動性が低下して、典型的な“薄いマーケットでの動き。”で、ドル・ロングのポジションを保持している人はぎょっとしたことであろう。
市場は依然としてドル・ロングである。
サンクスギビング・デイの祝日のせいか、先週のシカゴ・IMM.の円のポジションの発表は無いが、間違いなく円のショート(ドルのロング。)を保持している筈である。
我が国個人投資家も多少減ったものの、依然として高水準のドル・ロングを我慢して保持している。
これでは中々ドルは上がりにくい。
かと言ってひと月ちょっとで152円近辺から13円近く下げて、更にどんどん下がると言う雰囲気でもない気がする。
今週は25日のパウエルFRB.議長の講演を筆頭にFRB.高官の発言が目白押しである。
彼等の発言内容がHawkish.なのか、或いはLess hawkish.なのかで米国長期金利が上下しそうで、ドル・円相場はそれに従って138円~140円辺りのレンジ取引になるのであろう。
金曜日発表の10月の米国雇用統計の数字は失業率は横ばいで非農業部門雇用者数、月次・年次ベース共に平均時給は低下しそうで、どちらかと言うとLess hawkish.な結果となりそうであり、ドル・円相場は下サイドへの警戒が必要か。
今週のテクニカル分析の見立ては137.50~139.50のレンジ取引を想定しながら下サイドのブレークに要注意。