先週のドル・円相場は、週初こそ市場予想よりも低かった10月の米国卸売物価指数(PPI.)やブレイナードFRB.副議長の“米金融当局が利上げ幅を小さくする時期が近くやってくる。”とのハト派的発言により一時安値137.69まで値を下げたが、今度は他のFRB.理事や地区連銀総裁による真逆の“インフレが鎮静化するまでは金融引き締めのペースを緩めるべきではない。”などのタカ派的発言により徐々に値を戻し、週末に向けて140円台に回復して週を終えた。
先週の始値が139.07で終値が140.38であった為、ドル・円相場の週足・ローソク足チャートは久し振りに陽線(週の終値が始値よりも高い。)を見せ、今週も始値が140.22で午後2時現在140.50で取り引きされており、現時点では2週連続の陽線を示している。
(年初からのドル・円相場の週足・ローソク足チャート。)
年初からの週足チャートを見るとドㇽが8週間くらい上昇した後3週間くらい下落し、その後は再び上昇すると言うパターンが見受けられるが、今回はどうであろうか?
個人的な意見としては、今回は少し違った動きをするのではないかと思っている。
幅は兎も角、12月と1月にFRB.が引き続き利上げを行う事は確実であり、短期的には日米金利差は更に拡大することは間違い無く、ドルを買いたい気持ちは分かるが市場は既にそれを根拠にしてドル買いを行っており、それが115円から150円までのドル高&円安進行を演じた。
そしてシカゴ・IMM.や我が国個人投資家の持ち高を見ると依然として買ったドルを保有している。
言い換えれば、依然としてドルのロングである。
因みに先週火曜日時点でシカゴ・IMM.はネット65,842枚の円の売り持ち(約59億ドルの買い持ち。)で我が国個人投資家は約23億ドルの買い持ちである。
ドル・円が上昇すればある程度の(損切り?)のドル売りが出ることが予想され、それがドルの頭を抑えることになろうか?
市場ではFRB.による更なる利上げから、金利差拡大の思惑で短期的にドルを買いたいドル・ブル派と、来年の米国景気後退を確信して中・長期的な思惑でドルを売りたいドル・ベア派との鬩ぎあいが始まると思うのだが、ドル売りが本格的になるのは来年春以降になるのではなかろうか?
塾長の長いディーリング生活から見て、現在の様な相場展開は、ドルが上がれば更に上がるだろうとの思惑でついドルを買いたくなり、逆にドルが下がれば更に下がるだろうとの思惑でついドルを売りたくなる、典型的な“やられるパターンの相場。”である。
こういう時は無理して手を出すことはない。
じっくり構えて、上がり過ぎていると思えば少し売れば良いし、下がり過ぎていると思えば少し買って素早く利食えば良い。
今週は米国では感謝祭、我が国では勤労感謝の日を控えて市場の流動性が減少する。
市場の流動性が減少すれば、市場のボラティリティーは増加する。
そしていよいよ来週から12月に入り、益々市場の流動性の減少とボラティリティー増加に気を付けるべきシーズンとなる。
依然としてDefensive.(防御的)なトレードに終始して上手なリスク管理を心掛けたい。
今週のテクニカル分析の見立ては138円~142円内のレンジを予想。
何れかを切れば更なるドル安もドル高も有り得るが、上値は極めて限られると思われる。