食品会社に勤める兼業トレーダーの田江忍(たえしのぶ)さんはFX取引歴13年のベテラントレーダーです。指標発表後、相場に発生する大きなモメンタムを利用して短期売買を繰り返すスキャルピングのスタイルで、大きな利益を獲得してきました。会社からの給与だけでは足りないと副業を模索する中で投資と出会い、株や先物のシストレで大損を出しながら、出会ったFX取引で見事な復活を遂げます。今や投資で莫大な利益を毎年獲得するまでになった田江忍さん。その波乱万丈な投資経歴を振り返ります。
ハンドルネーム:田江忍(たえしのぶ)
年齢・性別:50代男性
職業:会社員(兼業トレーダー)
FX歴:約13年
トレードスタイル:短期売買(スキャルピング、デイトレード)
投資商品:FX、仮想通貨(過去に株式、先物)
収支:約 7年で3,700万円超(2016年〜2022年10月取材申込時点/外為どっとコム口座のみでの収支)
趣味:ドライブ、アウトドア、スキーなど
▼目次
1.大成功したはずの株・先物のシストレで大赤字を抱える
2.株・先物の800万円超の損失をFX取引で回復向上
3.同じチャートを見続けてパターン認識できるように
4.外為どっとコムだけで3700万円超の利益
5.取引中に見るチャートはユーロ/ポンドよりドル/円
大成功したはずの株・先物のシストレで大赤字を抱える
編集部:- まずFX取引との出会いから教えてください。
田江忍さん:- 最初始めた投資は株式です。それから日経225の先物。そしてFX取引にたどり着きました。ただ株式はそんなにうまくいかなかったんです
編集部:- 株を始めたのはいつ頃からでしょうか?
田江忍さん:- 株式は2000年に入ってすぐですかね。30代になってからです。2006年にライブドアショックがあって、ライブドアの株券は紙クズになっちゃいましたが、今も持っています(笑)。
編集部:- 株式を始めるまでは、資産運用を考えたことはなかったのでしょうか?
田江忍さん:- 全然なかったですね。「株って何?」という状態でした。食品企業に勤めていますが、給料が安いので副業を探していました。投資がしたかったというよりも、副業を探していたんです。ちょうどそのころに、ネット証券が出てきたので「株なら気軽に自分で買ったり売ったりできそうだな」と思い資産運用を始めました。ネット証券での取引は、自分の判断でできるところが大きかったですね。
編集部:- なるほど、そして株の次が先物取引だったのですね?
田江忍さん:- 株はね、最初はYahooファイナンスの掲示板を見ながら、ちょっとやっていただけなんです。ところがあるとき、株のシステムトレードを見つけたんですね。「ザラ場の株取引が、ソフトウェアでできるというのは画期的だな!」と思って、高額でしたが購入し取引を開始しました。金額にすると約200万円でしたね。2007年のことです。運用を始めてすぐに、これがかなり儲かりまして(笑)、「打ち出の小づちを見つけた!」と思い有頂天になっていました。
編集部:- 設備投資の200万円もすぐに回収できたということなのでしょうか?
田江忍さん:- いや、それがですね。その200万を回収しようという、ちょうどそのときに「サブプライムショック」があって、利益を全部吐き出しちゃいました。運用資産300万円で、毎日50万円近い利益が出ていたのに……。サブプライムショックで日経平均株価が落ちた後、巻き戻しが始まってしまい、そのシステムが使い物にならなくなったので、他にいいシステムがないか探すことにしました。
編集部:- それでもシステムトレードは続けようとされたのですね?
田江忍さん:- 当時はどっぷりシステムにハマっていましたから(笑)。今度は先物のシステムを見つけて購入しました。こっちは専用ソフトでなく、Excelをベースにしたもので、個人が開発したようなものでしたので、それ程高額ではなく20万円くらいでしたね。
編集部:- 運用結果はどうだったのでしょうか?
田江忍さん:- それがね、うまくいったんですよ、これが(笑)! 株のシストレみたいに毎日何十万円も儲けて、また舞い上がっちゃったんですが、2008年にリーマンショックが起きたでしょ。あれでまた吐き出しちゃったんです(汗)。
株・先物の800万円超の損失をFX取引で回復向上
編集部:- そんなことがあったのですね。その後にFX取引を開始されたのでしょうか?
田江忍さん:- はい。株と先物で失敗しましたので、もうFX取引しかないと考え開始しました。FX取引はレバレッジが利くのも大きかったですね。当時はまだレバレッジの規制がなかったので、50倍とか100倍とかで取引ができました。ただ、さすがにシステムトレードに懲りたので(汗)、シストレは一切止めました。「システムに頼っていては、トレードが上手くならないな」と思いましたし、そもそもシステムを買うお金もなかったんですね(笑)。
編集部:- 失礼ながらFX取引にたどり着くまでに、失った金額はどの程度だったのでしょうか?
田江忍さん:- 株はソフトの費用も入れると500万円くらいですかね。先物は300万円くらい、総額で800万円程度の損失だったと思います。
編集部:- 結構な金額でしたね。
田江忍さん:- そうですね。当時は本当にきつく辛い時期でした。今でも鮮明に記憶に残っています。
編集部:- その後「投資を止めよう」とは思わずに、FX取引を始められたのはすごいで事ですね?
田江忍さん:- いや〜、「懲りないヤツ」ですよね(笑)。
編集部:- 「もう一度FX取引でチャレンジ」という当時の心境って、どんな心境だったのでしょうか?
田江忍さん:- ポジションを持つと気が気じゃなくて、よく眠れなかったですね。少し「精神的にヤバいかな~」と思ったんですが、何が何でも成功したかった!実はお金が必要だったんです。当時から実家に仕送りしていたし、金銭的なゆとりが欲しかった、その強い想いからでしたね。
編集部:- FX取引を始めたときの資産はどれくらいだったのでしょうか?
田江忍さん:- 100万円くらいだと思います。それでもレバレッジ100倍、200倍で、結構なポジションを持ちながら当時からスキャルピング取引をやっていて、2010年のゴールデンウィーク中に、ギリシャショックがあったときは、200万通貨くらいをワンショットで”バチバチ”と入れて、それで資産を増やしてきましたね。
編集部:- FX取引ではそれほどの失敗経験をされなかったとの事でしょうか?
田江忍さん:- そうなんです。実はFX取引ではあまり失敗をしていないんです!
編集部:- 失礼ながら、それまで失敗続きだった投資がFX取引では成功された要因をご自身では何だと思われますか?
田江忍さん:- う~ん、なんだろう。例えば、株・先物取引とFX取引の違いでいうと、FX取引は(ポジションを持つ)時間が短いことですね。最初はポンド/円でデイトレをしていましたが、枚数は一枚(1万通貨)程度で少なかったですね。そして、何回も取引を繰り返し売買記録を全て残して勉強しましたね。 あるとき、指標発表の直後でボラティリティが結構あって、短期売買すると利益が出ることを知っちゃったんです。デイトレよりもっと短く大きなモメンタムの方向に相場が動く瞬間に値幅の取れる、いわゆる「スキャルピング手法」に手応えを感じたんですね!
同じチャートを見続けてパターン認識できるように
編集部:- 取引のエントリー判断に使われるのは、やはりチャートでしょうか?
田江忍さん:- 当時、ブログで紹介されているいろんな人の売買手法を試して、自分に合うチャートを探し続けました。結局、短期取引って値動きの癖のようなパターンなので、同じチャートを見続けることが大事だと分かったんです。 同じ移動平均線を見て、この移動平均線に対してどういう動きをしたら、次にどう動くのかみたいなことを学習し続けると、自然とパターン認識ができるようになります。パターン認識ができるようになるには、やはり同じチャートを見続けないとダメなんだと、その時に痛感しましたね。
編集部:- ブロガーが紹介していた手法の中から、最良のものは見つかったのでしょうか?
田江忍さん:- いや、結局ありませんでした。他人のチャートって見にくいし、よく分からなかったんです。インジケーターをあれこれたくさん出されて、うっとうしく感じまして、結局、値動きを見るだけだから移動平均線と水平線くらいでいいとの結論に達しました。リアルタイムに反応するチャートを見ていれば、大体の相場変動が分かるようになるんですね。
編集部:- パターン認識ができるようになったのが、成功の最大の要因だということでしょうか?
田江忍さん:- そうなんですが、それが完璧にできたら、もう100億円くらいは儲けていますね(笑)。要因ではあるが、それだけでは成功は続かないということですね。
編集部:- たしかにそうですね。チャート画面に表示させているのは何分足でしょうか?
田江忍さん:- チャートは複数活用していて、MT4で1分足と5分足を並べています。トレーディングビューは1時間足や4時間足です。ディスプレーは4Kが2枚で、常に表示させているのは、MT4とFX会社の取引用アプリ。ティックチャートも常にチェックし見ていますね。
編集部:- ティックはどんどん動きますが、あれもずっと見て研究していると、パターン認識ができるようになるものなのでしょうか?
田江忍さん:- そうですね。例えば、1分足チャートがこれから上に行こうとしているのか、下に行こうとしているのか、ティックや1分足を見ていると、何となく分かるようになります。細かく取るときは、1分、5分、15分足を見ます。基本、5分足が陰線だったら売りです。5分足で陽線だったら、1分足のロングについて行くみたいな、そんなイメージのやり方ですね。 それが私の「方向認識」のやり方ですね。5分足の並びを見て、次の5分が陰線なのか、陽線なのかを予測して、取れる値幅は取っていく。まあ言うのは簡単でも、実際にやるのは難しいのですが・・・・(汗)。
外為どっとコムだけで3700万円超の利益
編集部:- 田江忍(たえしのぶ)さんには、2016年から外為どっとコムで取引していただいていますよね?
田江忍さん:- はい。かれこれ長く活用していますね。最近、外為どっとコムさんがリリースされた新しい取引アプリを使わせてもらっていますが、チャートが特にいいですね。レスポンスが速い。ほかの業者さんのチャートはワンテンポ遅れるんです。1秒よりもっと短い一瞬のことですが、為替介入の後など、すごく相場が動くときに、チャートの反応が遅れると使えませんからね。
◆外為どっとコムの取引アプリ
外貨ネクストネオ スマホアプリ版(GFX)の特長
外貨ネクストネオ リッチアプリ版の特長
編集部:- ありがとうございます。トレーディングビュー※1は使われていますか?
※1米国製の高機能チャート。世界中のトレーダーが利用している。FXのみならず、株、CFD、暗号通貨などさまざまな金融商品で使える。
田江忍さん:- 有料版で1時間足や4時間足を出して、大局を見るために使っています。ただワンテンポ遅いので、やっぱりスキャルピングには使い難いと感じています。デイトレやスイング取引ならいいと思うし、株式、コモディティや先物、国債の動きなども把握できるので、あると便利なのは確かです。
編集部:- 金融商品としてはFX取引のほかにCFDや暗号資産・仮想通貨もされていますね?
田江忍さん:- 仮想通貨は長期投資です。まだ取引システムがぜい弱で、スプレッドも大きいから。FX取引ほど市場が成熟していませんね。あと、一番のネックは税金です。総合課税なので、長期で大きな値幅を狙う戦略しかとれないと感じています。
編集部:- CFDはいかがでしょうか?
田江忍さん:- 原油が動いていたら原油をやります。あとは金や日経225の先物なんかをね、ボラのあるときにやっています。ただCFDもスプレッドが大きいので。まあ、FX取引のスプレッドが小さすぎるっていうのもありますが。
編集部:- FX取引の収支は外為どっとコムだけでも、2016年から2022年10月までの約7年で3700万円超の利益で素晴らしいですね?
田江忍さん:- 御社だけだと、それくらいですかね。
編集部:- それだけでも十分、「雲の上の人」のように感じてしまいます。平日は会社にお勤めですが、週末の過ごし方はどのように過ごされているのでしょうか?やはり週末も相場の研究等を実践されているのでしょうか?
田江忍さん:- さすがに週末は相場のことは忘れるようにしています。ただ、趣味が結構あるんですが、子どもがまだ小さいので、土日はご飯を作ったり家事をやったりしていますから、まったく「休みなし」の毎日ですよ(笑)。
取引中に見るチャートはユーロ/ポンドよりドル/円
編集部:- 米ドル/円を取引するときは、米ドル/円だけのチャートを見るのでしょうか?
田江忍さん:- 一応、ほかのクロス円や「ドルスト(ドルストレート)」も表示しています。例えば、ユーロ/ドルをやるときは、米ドル/円とユーロ/円の動き、通貨の強弱を見る場面もあります。 スキャルピング手法で方向性を認識するのに、要は米ドルが強いのか、それともユーロが強いのかを見たい。例えば、ユーロが強ければ、ユーロ/ドルかユーロ/円でやりたいと考えるんですが、ユーロとかポンドって米ドル/円に比べて逆行したときの動きが大きいので、米ドル/円以外は、なかなか手をつけにくいというのが本音ですね。
編集部:- 素直に反応する通貨ペアが取引し易いということでしょうか?
田江忍さん:- 取引のLotが小さければ、たとえば50pipsくらい逆行してもいいんですが、1,000万通貨くらいで取引するので、50pipsでも結構な損益金額になりますからね。スキャルピング手法の場合は、逆行をなるべく少なくしたいので、そういう意味でも、やりやすいのは、やはり米ドル/円ですね。
マネ育PickUp編集部より
株式と先物のシストレで800万円を超える損失を出してしまった田江忍さんに残された頼みの綱は、大きなレバレッジが使えるFX取引でした。不安で大きなポジションを長く持てないという田江忍さんにとって、スキャルピング手法というトレード手法が使えるFX取引は打って付けだったのかもしれません。チャートを見続け、相場をパターン認識する技術を身につけたことで田江忍さんの快進撃が始まりました。後編ではさらに詳しく研究熱心な田江忍さんのトレードテクニックに迫ります。
(後編に続く)
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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