総括
FX「円に迫りくるトルコリラ。リパトリ政策が功を奏す。今週は政策金利決定」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円7.5-8.5
(ポイント)
*今週は政策金利決定
*リラは円に迫ってきた
*経済指標はマチマチ
*大統領選挙前に野党に圧力
*玉虫色の外交を展開
*8月、9月と月間最弱通貨を抜け出している
*政府の通貨のリパトリ政策は進展している
*エルドアン大統領や財務相は、中銀に政策金利をさらに引き下げるよう助言
*韓国とのスワップ協定を実施、ドルを得た
*トルコがEUの政治共同体の第1回会合に招待された
*トルコのEU加盟における利点を協調(副外務大臣)
*83.45%のインフレでも大統領が追加利下げ示唆
*9月製造業PMIは悪化
*トルコ、ロシアのウクライナ4州併合認めず
*OECDがトルコの22年の成長見通しを上方修正
*SCO加盟を宣言
*2Q・GDPは7.6%と高成長
*観光収入は増える
*トルコ実業界はリラの対ドルレートを9から14の間で推移することを望む
(円に迫ってきた)
少し円に迫ってきた。7月以降は年初来の対円では13-15%安であったが、先週末は8.36%安とその差を詰めてきた。対ドルでは18台半ばで小康しているが、円安が続いているので対円では、このところ上昇し8円台にのせている。
政府のリラのリパトリ政策も功を奏してリラが底堅くなっている。
(経済指標はマチマチ)
経済指標はマチマチ。8月失業率は9.6%で7月の10%から改善、8月経常収支は31.1億ドルの赤字でリラ安の要因だが7月の40.9億ドルの赤字からは改善した。旅行収支の黒字が増加した。8月鉱工業生産は前年比で1%の伸びで7月の2.5%を下回った。8月小売売上は前年比で9%の伸びで7月の2.3%を上回った。
(政策金利は)
今週は政策金利決定があるが、高インフレにも拘わらず、大統領の方針で1%の利下げで11%とする予想だが、このところ長期金利が2%上昇して13%台となっていることは注意しておきたい。
(大統領選挙)
さて大統領選挙へ1年を切っているが、野党がまだ候補者を打ち出さない中で、トルコ議会は、誤解を招く情報を公に広めた罪で有罪判決を受けた者に1年から3年の禁固刑を求める「偽情報法案」の条項を可決した。欧州評議会議会議会(PACE)の監視委員会は、この法案について懸念を表明し、2023年の選挙前に言論の自由の行使に「取り返しのつかない損害」を与える可能性があると述べた。
(玉虫色の外交)
外交では、エルドアン大統領がウクライナ・ロシアの停戦に向け動いているが成果は得られていないようだ。ロシアのウクライナ4州併合や、クリミア橋爆発後にウクライナへのミサイル攻撃をトルコは非難しているが、トルコ経由のロシアの天然ガス輸出を増加させるために、トルコを新たな供給「ハブ」とする案には賛成しそうだ。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
一時ボリバン2σ上限超える、円に迫る勢い
日足、雲上に出る。一時ボリバン2σ上限超える。10月7日-14日の上昇ラインがサポート。ボリバン3σ上限は8.08。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン中位超える。21年12月20日週-22年10月3日週の上昇ラインがサポート。5月9日週-10月10日週の下降ラインが上値抵抗。10月3日週の下ヒゲ効く。
月足、22年5月-7月の下降ラインを上抜く。8月-9月の上昇ラインがサポート。21年3月-9月の下降ラインが上値抵抗。
年足、7年連続陰線。22年は一時寄り引き同時に近づいたが、また円に引き離される。18年-21年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
ロシアからのトルコ住宅投資は、今年1-9月で 199%増加
ロシア国民は、ウクライナ紛争で22年1-9 月に約9311戸の住宅を購入。前年の同期間比では199%増。全国の外国人向け住宅販売は、1-9月に年間ベースで32.5%増加した。 ウクライナ人が購入した住宅の数も 125% 増加して1775戸となった。
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