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投資詐欺シリーズ 「飲み屋で相席した人は詐欺師だった?!(前編)」-あなたは大丈夫?!意外と身近な投資詐欺(第3回)

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(画像=PIXTA)

以下の取材記事は金融ライターK氏が執筆したものです。その内容について当社が 保証するものではありません。

あなたは一緒にお酒を飲んだり、ご飯を食べたりするような関係の友だちから騙されてしまったことがありますか?今回は、今から2年ほど前に、仕事帰りに立ち寄る飲食店のカウンターで、偶然に隣り合わせに座ったことで知り合いとなり、その人に紹介された怪しい投資話で損を出してしまった女性の話です。

「どこかおかしいな」と思いながら、結局、その女性は言われるままにお金を出してしまいました。そのときの状況をいろいろ調べてみると、詐欺が疑われていても仕方がないような要素がたくさん詰まっていました。「前編」「後編」の2回に分けて詳しくご紹介します。

飲み屋で誘われた怪しい投資話

Aさんは都内の有名私立大学を卒業し、現在は大手企業に勤めるキャリアウーマンです。共働きのご主人、ふたりの子どもとの4人家族で、都内に買った戸建て住宅に暮らしています。ご主人と共働きの「ダブルインカム」ということもあり、家計収入でみれば、恐らく余裕のある世帯に入るでしょう。

仕事と家庭の両立のために、忙しい毎日を送るAさん。彼女の楽しみといえば、仕事帰りに立ち寄る飲食店で、お酒を飲み、食事をすることです。もちろん、Aさんが常連になったお店には、何人もの“飲み友だち”がいます。Aさんに怪しい投資話を持ちかけたBさんは、その“飲み友だち”の中の一人でした。

知り合いもやっていた

ある晩のことです。いつもと同じように、仕事帰りに立ち寄ったお店で食事をしていると、Aさんは隣に座っていたBさんから「実は投資をやっているんだ」と告白されます。そして「すごく儲かる『いい話』がある」と切り出されました。同じ年代の会社員と比較すると高収入の部類に入るAさんは、仕事や家事が忙しく、「収入も十分」と考えていたため、それまで投資に関心がなく、金融商品といえば会社で加入させられた401k(確定拠出年金)だけでした。

「面倒だから」と断るAさんでしたが、Bさんは「お金は預けるだけだから手間はかからない」「自分だけじゃなく常連のDさん、E子さんもやっていて、かなり儲けている」と誘います。さらに「自分よりも『投資のプロ』のCさんが詳しいので、Cさんから話を聞いてみたら」と畳みかけます。

「Bさんだけじゃなく、知り合いのDさん、E子さんもやっている」という話から、少し興味を持ったAさんは、「手間がかからず、お小遣いがもらえるなら悪くないかな」と思い直し、「とりあえず、話だけでも聞いてみよう」と、「投資のプロ」Cさんと会うことを決めます。

”投資のプロ”と呼ばれるサラリーマンが仲介

こうしてAさんは、忙しい仕事の合間をぬって、Bさん同席の上で「投資のプロ」と言われるCさんに会います。ただCさんはAさんに対して「普段はメーカーに勤務するサラリーマン投資家」と名乗りました。

「本業でもないのに、なぜこの投資案件を私に紹介するのですか?」とAさんが質問すると、Cさんは「経験豊富な自分がいいと思った投資を親しい知り合いに紹介しているだけ」と答え、「案件の説明をしても紹介料や手数料などは一切もらっていない」と付け加えました。

2年前のことなので少し記憶が曖昧な部分もありましたが、AさんがCさんから受けた説明を整理してみました。

  • (1)若くてものすごく優秀な外国人が経営する海外の投資会社に出資
  • (2)この優秀な経営者が私たちでは思いつかないようなアイデアや投資手法で資産を運用
  • (3)資金は2つのファンドで運用されており、どちらでいくら運用するかは会社が決定
  • (4)2つのファンドの運用成績には違いがあるが、いずれもプラスなので損することはない
  • (5)自分のIDで専用サイトにログインすれば、自分の資金の運用成績がいつでも確認できる
  • (6)会社からの連絡、報告、代表のメッセージなどはSNSのグループチャットで伝達
  • (7)グループチャットは情報の受信のみに使う。質問がある場合は、SNSで個別にCさんに連絡

 

Aさんはこの日、Bさんから言われていた「投資を始めるのに必要な資金」の16万5,000円(当時)を、現金で持参していました。Cさんの説明を聞いても、「投資はそんなに簡単に儲かるものなのだろうか」「Cさんはなぜ私を勧誘するんだろう」と、半信半疑でしたが、Cさんから「私の話を信じるか、信じないかはあなた次第」と言われ、Bさんにも「やりたくないなら、やらなければいい」と言われたAさん。迷いながらも、交友関係を壊したくなかったからなのか、現金をCさんに渡します。

最初の説明からダメな案件だった

AさんはCさんから詳しい説明を受けた時点で、本当は投資を止めるべきでした。

  • (1)金融庁の登録を受けていない海外の投資会社で資金を運用する
  • (2)投資会社の社員でも、関係者でもない人間が、投資について説明(勧誘)している
  • (3)その人間が預かり証も出さないままAさんの資金を預かり、出資する
  • (4)自分のお金がいったい何で運用されるのかを理解していなかった

 

(1)(2)(3)の3点から、この投資に問題があることは明らかです。そもそも、日本で金融商品の販売、営業、勧誘をするときは、資格や登録が必要です。Cさんが「自分はサラリーマン投資家で、いいと思った案件を紹介しているだけ」と説明したのは、自分の行為が金融商品取引法や特定商取引法(マルチ商法などでの犯罪を取り締まるための法律)に違反しないように意識していたのかもしれません。

一方のAさんも、この投資が証券会社などの販売している投資信託や株式のような一般的な金融商品とは異なり、仲間内だけの「儲け話」という認識があったのかもしれません。Cさんに現金を手渡しすることに、特に疑問は持っていなかったようです。また無登録や無資格の会社や個人が営業や勧誘をすることが、法律違反になることは気がついていませんでした。

分からないものに投資はしない

しかし、それ以上に根本的な問題があります。それはAさんが(4)「自分のお金がいったい何で運用されるのかをほとんど理解していなかった」ことです。結局、「説明が複雑で、内容はよく分からなかった」というAさんは、「外国人経営者がすごく優秀で、豊富な知識と高い才能を使い、優れた投資手法で運用しているから、高配当がもらえる」という言葉だけを信じて投資したことになります。

もちろん、優秀な人材が大成功を収める可能性を否定する気はありません。しかし、一度も会ったこともない人物に関する他人からの伝聞をそのまま信じて、「高配当が得られる」と判断するのは間違いでしょう。投資は自己責任。失敗の責任は自分で負わなければならないのです。

それにしても「なぜAさんはそんな失敗をしてしまったのか」「この投資会社はいったいどのような運用をしていたのか」その詳細を知りたくなった私は、Aさんにお願いして、Cさんがグループチャットで流していた情報や、AさんとCさんのチャットでのやりとりを見せてもらうことにしました。そして、この怪しい投資にはさまざまな問題があり、詐欺が疑われても仕方がないような状況に陥っていたことが分かりました。 (後編に続く)

PickUp編集部: ライターK 大学卒業後、テレビ制作会社に勤務、NHKや民放局の報道番組でディレクターを務める。その後、出版業界に転じて金融・経済誌の編集者や記者として、政治・経済・金融などの記事制作に携わってきた。現在はフリーで活動中。FX歴は10年以上。実際にポジションを持って、FXトレーダーたちのトレード手法を確認する日々を送っている。

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