“ドル売り&円買い介入。” 

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ついに日銀(正確には財務省。)が22日(木)に実弾のドル売り&円買い介入を実施した。

その効果は絶大でドル・円相場は高値145.90から安値140.35へと5円55銭暴落した。


(9月22日から週末までの60分ローソク足チャート。)

暴落の翌日9月23日は、我が国は秋分の日で休日であったが奇しくも37年前の1985年のプラザ合意で先進五か国の蔵相・中央銀行が為替相場安定のために一斉にドル売り介入を行った日であった。

その頃現役であった塾長は1985年9月23日(月曜日であった。)に休日出勤してドル売り介入のお手伝いをしたが、その頃はG5.だとか協調介入なんて言葉も無くて売ってもドルは全然下がらず、当日は逆に2円くらい上がって“介入なんて効くのか?”と思ったが、翌日からドルは暴落を始めてあっと言う間に240円台から200円割れを見たことを思い出す。

先週のレポートでもその可能性について述べた様に、今回の実弾介入は塾長にとっては何の驚きでもなかったが、一部の参加者には驚きをもって迎えられたらしい。

日銀がレート・チェックを行って、為替の責任者の財務省が“必要とあらば断固たる措置を取る。”と言い切っていたのだから今回の措置は極めて自然なものであろう。

僭越ながらここ最近大規模な介入どころか殆ど介入を行っていなかったので、介入の事を知らない人が多い。

-介入は単独では出来ない。
今の日米政治関係を見ると、米政府は日本政府による為替介入なんてMinor issue.(小さな出来事)に過ぎない。

-ドル売り&円買い介入は原資であるドルを売るので自ずから限りが有る。
その通りであるが、我が国は現在1兆3千億ドルの潤沢な外貨準備が有り、1998年当時の介入で“外貨準備を使い果たすのではないか?”と気を揉んだ時とは違う。

-ドル売り&円買い介入を行うと日銀が市場の円を吸収するので金融緩和政策と整合が取れない。
日銀がその分を資金供給して不胎化すれば良いだけの事。


最近は直接財務省の方々と話をする機会が無いので今回の介入が“どれくらい本気なのか?”を知る由も無いが、ユーロが急落し、ポンドが暴落している現状ではあるレべル迄力でドルを下落させると言うよりは急激なドルの上昇を抑えるのが真の目的だろう。

昔、“ロケットの発射台を低くしておきたい。”と言う言葉を聞いた。
これは“どうせロケットを打ち上げるのなら、それが宇宙まで飛んで行くのを許すのか、それとも成層圏辺りで止め置きたいのか?”と言うことで、150円(宇宙)まで飛んで行かない様に145円(成層圏)辺りで止め置きたい。
その為にロケットの発射台を低くするオペレーションを行う(ドル売り&円買い介入を行う。)のである。

これも以前に述べたがお上(財務省)や中央銀行(日銀)を舐めない方が良いと思う。

例えば今回の介入で5円急落する段階で1円50銭損失を被ったら1%の損失。
レバレッジ5倍で5%の損失。
レバレッジ10倍で10%の損失。

ヘッジ・ファンドは年間20%のリターンを上げたら良しとされる。
一つのディールで10%の損失を被る訳には行かない。

現在のドル高&円安が投機の力だけで起きたとは思わないが、Enough is enough.(行き過ぎだ。)と当局が思うのなら介入でぎゃふんと言わせれば良い。

20~30%の損失を被ったら投機筋はドル・円から手を引くであろう。

片やドル買い&円売り介入でたっぷり買い込んだドルを売っての50%もの利が乗った利食いのドル売り&円買い介入、片や息を飲みながらの恐る恐るのドル買い。

どう見ても後者の分が悪いと思うのは天邪鬼の塾長だけであろうか?


依然としてファンダメンタル(そして一部は投機マインド?)に則ったドル買い&円売り意欲と介入警戒感との綱引きが続こうが、141円~144円のレンジを意識しながら高い所では買わず、低い所では売らないDefensive.(防御的)戦略で行きたい。

世界同時株安に象徴される世界的なリスク・オフの動きは何れドル安&円高の動きに火を付ける可能性が有ることを頭の片隅に置いておきたい。



今週のテクニカル分析の見方は急上昇と急落を見た後で、上がれば更なる上昇、逆に下がれば更なる下落を見る。
144円を上切ったら145円を目指すが、介入に注意。

142.50を下切ったら先週の安値140.35を目指す。

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