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FX/為替 月間見通し「欧州スタグフレーション懸念」ユーロ/円 外為どっとコム総研 House View 2022年9月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のユーロ/円ポジション動向
・9月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 9月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 8月の推移

8月のユーロ/円相場は133.394~139.724円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.3%上昇した(ユーロ高・円安)。

夏季休暇シーズンとあってユーロ固有の取引材料は少なく、ドル/円の上昇に支えられて強含んだ。ドルが強かったことでユーロ/ドルは20年ぶりの水準に下落する場面もあったが、ユーロ/円は2日に付けた133.39円前後を底値に持ち直した。ロシアが天然ガス供給パイプラインの稼働を一時停止したことなどから欧州天然ガス先物(オランダTTF先物)が高騰する中で上値が抑えられる場面もあったが、欧州中銀(ECB)が9月に75bp(0.75%ポイント)利上げを検討すると伝わると再び持ち直した。30日には、ドル/円が139.00円台へと上昇する中、ユーロ/円も1カ月ぶりに139円台へと上値を伸ばして取引を終えた。

ユーロ/円 8月の推移

ユーロ/円 8月の四本値
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

3日
独6月貿易収支は64億ユーロの黒字となり、黒字額は予想(2億ユーロ)を上回った。ユーロ圏6月生産者物価指数は前年比+35.8%と、おおむね予想通りに前月から小幅ながらも伸びが鈍化した(予想+35.7%、前回+36.2%)。ユーロ圏6月小売売上高は前月比-1.2%と予想(±0.0%)予想を下回った。

8日
格付け会社ムーディーズは前週末5日の取引終了後にイタリア国債の格付け見通しを引き下げたと発表。「政治環境により構造改革の実施が妨げられるリスクが高まっている」として格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。

16日
独8月ZEW景況感調査の期待指数は-55.3と予想(-52.7)を下回った。エネルギー価格の高騰による負担が企業と家計を圧迫する中、2008年10月以来の水準に悪化した。同時に発表されたユーロ圏8月ZEW景況感調査は-54.9だった(前月51.1)。またユーロ圏6月貿易収支は246億ユーロの赤字(季節調整前)となった。

18日
ユーロ圏7月消費者物価指数(HICP)・改定値は前年比+8.9%と速報値と同じで過去最大の伸びとなった。なお、シュナーベルECB専務理事はこの日「インフレ見通しは改善していない」として9月も大幅な利上げを継続する可能性を示唆した。

19日
ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムは欧州に天然ガスを送る主要パイプライン「ノルドストリーム1」について、8月31日から9月2日までの3日間、点検のためガス供給を停止すると発表した。

22日
ロシアからの天然ガス供給を巡る不透明感が広がる中、ユーロ/ドルが7月に続き1ユーロ=1ドルのパリティを割り込んで下落した。

23日
独8月製造業PMI・速報値は49.8(予想48.0)、同サービス業PMI・速報値は48.2(予想49.0)となり、いずれも好不況の分かれ目となる50を下回った。その後に発表されたユーロ圏8月製造業PMI・速報値は49.7(予想49.0)、同サービス業PMI・速報値は50.2(予想50.5)となった。

25日
独8月Ifo企業景況感指数は88.5と2020年6月以来の低水準を記録したものの、予想(86.8)ほどには低下しなかった。これより前に発表された独4-6月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.1%と速報値(±0.0%)から上方修正された。その後、ECBは7月理事会の議事録を公表。「中期的なインフレリスクが増した」とした上で、「金融政策正常化へ向けてさらに前進することが妥当であるとメンバーは合意した」と明らかにした。

26日
一部通信社がECB関係者の話として「インフレ見通しの悪化によって複数のECB当局者は来月8日の定例理事会で、通常の3倍に当たる75bpの利上げについて議論したい意向を示している」と報じた。

29日
26日に1メガワット時あたり340ユーロ前後まで高騰していた欧州の天然ガス価格(オランダTTF先物)が260ユーロ台へと急落。フォンデアライエン欧州委員長が「電力市場への緊急介入を準備している」と表明したこともあってエネルギー供給を巡る不安がやや後退した。

8月の各市場

日経平均、独DAX

独国債利回り(2年、10年)

8月のユーロ/円ポジション動向

8月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月のユーロ圏注目イベント

9月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 9月の見通し

9月8日の欧州中銀(ECB)理事会に市場の注目が集まっている。8月末にECB関係者の話として、ECBはインフレ見通しの悪化を背景に75bp(0.75%ポイント)の利上げを検討すると伝わった。ECBの大幅利上げはユーロの強みとなり得る半面、ユーロ圏の景気懸念を高める事にもなるため、持続的なユーロ高材料にはなりにくいだろう。資源高などによるユーロ圏のコストプッシュ型インフレがECBの利上げによって抑制できるのかという不透明感も根強い。ユーロ圏では、ECBが利上げしてもインフレは鈍化しない一方で、景気が軟化する「スタグフレーション」のリスクが高まっていると言えそうだ。こうした中、9月のユーロ相場は、対ドルでは引き続き上値が重いと考えられる。対円では日欧の金融政策の方向性の違いが意識されて強含む展開が続く可能性もあるが、上値は限定的だろう。いずれにせよ、ユーロ/円相場はユーロ/ドルとドル/円の動きに挟まれて方向感が出にくい展開が見込まれる。
(予想レンジ:135.000~142.500円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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