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第5回 エネルギー資源高騰に先立ち、資源輸出国になっていたアメリカの強かさ【米国不動産のプロが解説】

ここ数年の不動産投資ブームにより、大金持ちと言われる富裕層に限らず、一般の企業に勤める会社員や医師、公務員なども不動産投資ができる環境になりつつあります。中でも、経済成長を続ける米国の不動産は、長期保有の分散投資先として注目を集めています。そんな米国不動産にまつわる経済事情を、マーケット情報に強いチーフストラテジストに解説していただきます。

本記事は、2022年6月2日執筆時点の、オープンハウス様よりご提供いただいた情報になります。

ロシアへの経済制裁を引き金に、エネルギー価格が世界的に高騰

ウクライナ危機の勃発によりエネルギー価格が急騰し、その後も高い水準を保ち続けています。ロシアへの経済制裁により、EU圏への天然ガスの供給がストップの方向へ。天然ガス価格が上昇したのはもちろんのこと、不足分のエネルギーを補うために石油回帰が起こったことで、原油価格も連れて上昇しました。

これにより、ドイツや日本などのエネルギー輸入国は窮地に立たされています。なぜなら、発電に加え、工場の操業や輸送もエネルギーなしには成り立たないからです。エネルギーは国民の生活にとっても、国の経済にとっても、ライフラインに他なりません。そして、輸入国はその命綱を他国に握られているのです。


そうは言っても、EU諸国にしろ、日本にしろ、先進国の大半がエネルギー輸入国。みんなが苦しんでいるなら差は付かないのではと考えてしまうところですが、2020年、絶妙なタイミングで輸入国から輸出国への転身を果たした国があります。そう、タイトルにもある通り、アメリカです。現在の社会情勢を読み切れていたのかどうかは定かではありませんが、とかく派手好きな政策を打ち上げる彼らが、意外にも地道に、かつ辛抱強く準備を進めてきたことは驚きに値することです。

アメリカが輸入依存に対する危機感を刻んだ、オイルショックの苦い記憶

アメリカが石油輸出国だと聞いて驚いた方もいるかもしれません。実際、2019年まで彼らは純輸入国(輸入量が輸出量を上回る国)でした。それどころか、2005年には輸入量がピークに達し、1日あたり1,260万バレル(約20億リットル)もの石油を輸入する、世界最大の輸入国でした。

そんなアメリカですが、輸入依存状態を良しとしていたわけではありません。なぜなら彼らは、オイルショックによって他のどの国よりも大きな痛手を負ったからです。1973年、第四次中東戦争を機に石油の国際価格が上昇。1979年にはイラン革命が起こり、石油価格はますます上昇し、オイルショック前の約4倍に。この高騰が製造業や流通網を破壊し、あらゆる物の価格を押し上げると、政府は急激なインフレに抗おうと利上げを敢行。しかしこれがかえって金融市場の混乱を招き、経済全体に深い影を落としました。

この一連の大不況は、言ってしまえば石油の供給を輸入に依存していたからこそ生じたものです。もし当時から、アメリカが石油の純輸出国であれば、輸出していた分を国内需要に回すことができたはずです。国際価格が変動しているのですから価格の乱高下による影響を受けないということはありませんが、少なくともOPECと呼ばれる中東諸国の出方に振り回されることはなかったでしょう。

飛躍の鍵は、シェールオイル

アメリカの指導者層も輸入依存の危険性を自覚しており、オイルショック以前からリスクコントロールに努めていました。1912年、ルーズベルト大統領により「National Petroleum and Oil Shale Reserves(NPOSR)」が設立。供給不足を見越して備蓄を開始しました。オイルショック後には、連邦政府主導のもと、石油メジャーがテキサス州を中心とする全米 3 州にまたがる鉱床でシェールオイル(後述します)の開発に早くも着手しました。

そして、このシェールオイルこそが、アメリカの石油生産量の大部分を占める重要資源です。シェールオイルは石油と天然ガスの両方を含む資源で、現在判明している範囲では、アメリカが最大の埋蔵量を保有しています。技術解説記事ではないので詳述は避けますが、シェールオイルは、中東やその他の地域の従来型の油田で行われる採油方法とは全く違う方法で回収されます。従来の方法よりも採掘コストが高いものの、自国内で生産可能なことから、大きな期待とともに開発が進められてきました。

実用化当初は石油価格が低水準だったため、採掘コストに見合わないとされてきたシェールオイルですが、中東情勢が悪化する9.11以降、石油価格の上昇とともに生産量も激増。世界のエネルギー事情を一変させ得るポテンシャルから、「シェール革命」「シェールブーム」などという言葉も生まれました。ただ、2020年頃には資源枯渇への懸念から、ブーム終焉かという声がささやかれるようになりました。コロナ禍による経済停滞で石油価格が低調だったことも、そうした声の後押しになっていました。

石油価格に応じて輸出入を調整できる強み

しかし、2021年になると経済が回復しはじめたことで石油価格が上昇。さらにOPEC加盟国が協調減産を発表したことで、ますます価格が上昇し、シェールオイル産業は再び盛り上がりを見せ、結果、アメリカははじめて純輸出国になりました。

出典:U.S. Energy Information Administrationのデータを元にオープンハウスが作成

そして2022年、ウクライナ危機とロシアへの経済制裁が、そのトレンドを決定的にしました。EUを中心に世界のエネルギー資源流通を支えていたロシアが、流通網から排除されることで需給のバランスが崩れ、価格はかつてないほど高騰しています。結果、アメリカの輸出額は2021年以上に伸びると予想されています。

こうして振り返ると、シェールオイル産業は世界情勢に大きく振り回されているのですが、米国経済全体としてはそれで問題ありません。石油価格が下がれば他国から輸入して埋蔵量を温存し、価格が上昇すればゆっくりと放出すればいいのですから。この単純ながらも強力な戦略は、産油国だからこそのもの。そう考えると、北海油田を持つイギリスが、EU離脱後も、ロシア制裁に対して耐性があるのも頷けます。

ウクライナ情勢が落ち着いた後の未来は?

混乱が続くウクライナ情勢ですが、いつかは必ず沈静化します。戦争状態が続くと人々は疲弊し、平和を求める声が高まるはずです。そのとき、世界のエネルギー流通はどうなるでしょうか?

おそらく、ロシアへの経済制裁はプーチン政権が倒れた時をピークにして徐々に解除へと向かうでしょう。思えば、イラク戦争の際の経済制裁もフセイン政権打倒とともに終結しました。しかし、それによって直ちにイラクの原油生産量が戻ったかというと、決してそういうわけにもいきませんでした。激しい戦闘により破壊された採油施設や道路などのインフラは、再開までに多大な時間を要します。湾岸戦争を発端とする供給制約はその戦争が終わっても、当分解決しませんでした。

歴史は繰り返すと言います。ロシアのエネルギー資源が世界のエネルギー需要を満たすようになるまでには、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか。その間、誰が供給を補うのか? 石油輸出国としてのアメリカの存在感が、ますます大きくなる気がしてなりません。

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※本セミナーは当社が開催するものではございません。また当社はインターネットを介した店頭デリバティブ取引事業を行う会社であり、不動産投資事業および不動産金融事業を行っているわけではございません。

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