ドル・円相場は7月14日に139.39の高値を付けた後じわじわと値を下げ、7月22日に21日移動平均線(青い線)を下切ってからは本邦生保筋からと思われる売りに押されて8月2日には安値130.38まで凡そ9円も下げる大相場となったが、90日移動平均線(緑の線)にサポートされる形で値を戻し、お盆明けの東京市場では133円台で割合静かに推移している。
(ドル・円相場の7月からの日足・ローソク足チャート。)
言う事なしの結果であった7月の米国雇用統計の数字を受けてFRB.による9月の利上げ幅が6月、7月に続いて0.75%となるとの憶測が広がって米国長期金利が上昇し、ドル・円相場も先週初は135.56まで値を戻したが、先週発表になった7月の米国消費者物価指数(CPI.)が前年比+8.5%(市場予想は+8.7%)と前月の+9.1%から下落し、また卸売物価指数(WPI.)も前年比-0.5%(市場予想は+0.2%)と前月の+1.1%から大きく好転して米国のインフレがピーク・アウトしたとの観測が広がってドル・円相場は一時安値131.74を付けて週初の高値から3円82銭も下落したが米国10年債利回りは逆に上昇した。
興味深いのは米国長期金利上昇にも拘わらずニューヨーク株式市場3指数は堅調で、3指数共大きく値を戻した。
ドルは他の主要通貨に対しても下落しており、ドル安、金利高、そして株高と言うちょっと今まで見ない動きを見せた。
米国の雇用とインフレ動向に振り回された1週間であったが、これらのまちまちの数値を見てFRB.がタカ派的(金融引き締めに積極的)スタンスを継続するのか、或いは多少ハト派的(金融緩和に積極的)に方向修正するのか注目される。
市場は既に9月2日に発表される8月の米国雇用データと9月13日に発表される米国消費者物価指数の結果が9月20日~21日に開催されるFOMC.での利上げ幅に大きく影響を与えると見ており、(少し長いが)それまでは大きく動けない状況が続くかも知れない。
上のドル・円相場の日足・ローソク足チャートを見ても分かる様に現在のところ上値は21日移動平均線で抵抗(レジスタンス)を見せ、下値は90日移動平均線で支持(サポート)されている様に見える。
この両線が収斂するレベルが134円近辺に見えるが、さてその後はどうなるか?
2022年3月に21日線が90日線をはっきりと上切ってからは25円近くの上昇を見せた。
今回、逆に下切った場合どう動くか興味深い。
今朝発表になった我が国の第二四半期の国内総生産(GDP.)速報値は前年比で+2.2%で3期連続のプラスとなり、GDP.実額は542.1兆円とコロナ前の2019年第四四半期の540.8兆円を超えた。
米国は2期連続のマイナスでテクニカル・リセッション入りしているにも拘わらずFRB.は利上げ姿勢を緩めない。
我が国は3期連続のプラスで少なくとも数字上では景気は上振れしているのに日銀は頑なにゼロ金利維持と共に長期金利の上昇をも無理やり抑える。
ここら辺の矛盾が露呈すれば意外や意外のドル安&円高相場が見られるかも知れないが、今のところその可能性は低いであろう。
今週のテクニカル分析の見立ては先週と同じ様な132~135のレンジを意識し、その何れかがブレークすれば131或いは136へのオーバー・シュートも有りか?