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FX/為替 月間見通し「クロス円のカギは世界リセッション懸念」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2022年8月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円7月の推移
・7月の各市場
・7月のポンド/円ポジション動向
・8月の英国注目イベント
・ポンド/円8月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円7月の推移
・7月の各市場
・7月の豪ドル/円ポジション動向
・8月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 8月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円7月の推移

7月のポンド/円相場は160.396~166.341円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.8%下落した(ポンド安・円高)。

欧州のエネルギー供給を巡る不安や英政局への不透明感などからポンド売りが先行したが、6日に160.40円前後で下げ止まると、7日にはジョンソン英首相の辞任をきっかけに持ち直した。18日には英中銀(BOE)の追加利上げへの期待が高まり166円台にタッチしたが、この水準で伸び悩むとその後163.00円前後へと押し戻された。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が27日、75bpの追加利上げを決めたものの、利上げペースの減速に言及したことでドルが軟化するとポンド/ドルが上昇。ポンド/円も166.34円前後まで上昇したが、やはり166円台では上値が重かった。28日には米4-6月期国内総生産(GDP)の下振れを受けてドル/円相場が急落したため162円台へとつれ安。29日もドル/円の続落とともに一時161円台に差し込んだ。


出所:外為どっとコム

5日
欧州天然ガス価格が急騰(ノルウェーガス田のストライキなどが背景)する中、欧州通貨に下落圧力がかかった。ポンドは、スナク英財務相とジャビド英保健相が、コロナ禍のパーティ疑惑で求心力が低下したジョンソン英首相への信頼を失ったとして辞任を表明したことも重しとなった。

6日
英政権内からジョンソン首相への退陣要求が強まる中でポンドが下落。首相側近の運輸相もジョンソン氏に退陣を求める中で、政権崩壊のリスクが意識された。ポンドは対ドルで約2年4カ月ぶりの安値へと下落。対円でも6月16日以来の160.40円前後へと下落した。

7日
退陣を求める声が高まっていたジョンソン英首相が辞任の意向を固めたとの報道が伝わった。これに対してポンドは買いで反応。ショートカバーが強まったほか、首相の辞任で英政局が安定に向かうとの思惑がポンドを押し上げた模様。なお、英与党・保守党はジョンソン氏の辞任を受けて7月21日までに候補者を絞り込んだ上で9月に党首選を行う見通しとなった。

13日
英5月国内総生産(GDP)は前月比+0.5%と予想(+0.1%)を上回った。英5月鉱工業生産も前月比+0.9%と予想(±0.0%)を上回った。一方、英5月貿易収支は214.45億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(205.50億ポンド)を超えた。なお、この日はジョンソン英首相の後任を選ぶ保守党党首選の第1回投票が行われた。8人が立候補する中、スナク前財務相が88票を獲得しトップとなった。

18日
8月会合後に退任するBOEのソーンダース金融政策委員会(MPC)委員は「金融引き締めが不十分であるため、コスト高にみまわれている」とした上で「比較的早く金融引き締めを行うことが望ましい」との認識を示した。

19日
英6月雇用統計は、失業率が3.9%に低下した一方、失業保険申請件数は2.00万件減と減少幅が縮小した(前回4.0%、3.47万件減)。3-5月の国際労働機関(ILO)基準失業率は3.8%と予想と一致、3-5月の週平均賃金は前年比+6.2%と予想(+6.7%)を下回った。その後、ベイリーBOE総裁は8月会合について「50bp(0.50%ポイント)の利上げは確定ではないが検討している」と発言。物価については「2%の目標へ安定的に戻すことが絶対的な優先事項だ」と強調した。また、量的金融緩和策として買い入れた保有国債の市場売却を、早ければ9月に始める可能性にも言及した。

20日
英6月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.4%と予想(+9.3%)を上回り、40年ぶりの高水準へと伸びが加速した。一方で、エネルギー・食品・アルコール飲料・タバコを除いたコアCPIは前年比+5.8%と予想通りに前回(+5.9%)からわずかに鈍化した。

22日
英7月製造業PMI・速報値は52.2、同サービス業PMI・速報値は53.3とそれぞれ予想(52.0、53.0)を上回った。ユーロにつれて下落していたポンドはこれを受けて下げが一服した。なお、これより前に発表された英6月小売売上高は前月比-0.1%、自動車燃料を除けば前月比+0.4%だった(予想-0.2%、-0.4%)だった。

7月の各市場

7月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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8月の英国注目イベント

ポンド/円8月の見通し

事実上、英国の新首相を選ぶ保守党・党首選は、スナク前財務相とトラス外相が7月21日の投票を経て9月5日の決選投票に進んだ。8月4日に両候補によるテレビ討論会が行われるほか、8月中には複数回の討論会が予定されている。もっとも、ジョンソン首相辞任のニュースほど市場で話題になっていない点から見て、どちらが次期首相に決まってもポンド相場への影響は大きくないと見られる。強いて言えば、スナク氏は財務健全派と目されているためポンドにややポジティブな印象はあるが、8月の段階で強い材料になるとは思えない。

8月のポンド相場のカギを握るのは、やはり英中銀(BOE)だろう。政策金利は50bp(0.50%ポイント)引き上げられて1.75%になるとの見方が主流だが、一部には25bp利上げにとどまるとの見方もある。まずは、利上げ幅に注目が集まりそうだ。50bp利上げは金利面でのポンドの優位性を高める反面、利上げによる景気後退(リセッション)への懸念を強めかねないことからポンドの重しにもなり得る。BOEは今回、資産売却(バランスシート圧縮)計画も公表する見通しだ。ベイリー総裁は1年目に500-1000億ポンドの資産を売却する考えを示している。引き締めを巡るBOEの判断に注目したい。

また、4日のBOE金融政策委員会(MPC)では3カ月に一度の金融政策報告書(MPR)の公表とベイリー総裁の会見が予定されている。前回、5月のMPRでは、BOEが2023年のマイナス成長を予測したことで話題となった。今回も、BOEの見通しが注目されよう。
(予想レンジ:156.000~165.500円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円7月の推移

7月の豪ドル/円相場は91.416~95.760円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.6%下落(豪ドル安・円高)した。

日経平均株価が26000円台を割り込むなどアジア株が軒並み下落した1日には91.42円前後まで下落したが、その後は持ち直しの動きとなった。世界的な景気後退(リセッション)を背景とするグローバルな株安に一服感が出たことや、豪中銀(RBA)の追加利上げ期待が浮上したことから20日には95.76円前後まで反発した。

ただ、27日の豪4-6月期消費者物価指数(CPI)が予想を下回りRBAの大幅利上げへの期待が後退した事から95円台では伸び悩んだ。28日に発表された米4-6月期国内総生産(GDP)が予想外のマイナスとなったことでドル/円が急落すると豪ドル/円も93円台へとつれ安。29日もドル/円の続落につれて92円台まで上げ幅を縮める場面があった。


出所:外為どっとコム

5日
RBAは政策金利を50bp(0.50%ポイント)引き上げ1.35%にすると発表。声明ではインフレ対応について「徐々に目標水準に戻るように必要な行動に取り組んでいる」と説明した。利上げが市場予想通りだったことや声明に新味がなかったことから、豪ドルは出尽くし売りが優勢となった。

7日
豪5月貿易収支は159.65億豪ドルの黒字となり、黒字額は予想(108.25億豪ドル)を上回った。石炭など資源輸出の増加を背景に黒字額は過去最大を記録した。

14日
豪6月雇用統計は、失業率が3.5%と1974年8月以来約48年ぶりの低水準となった。新規雇用者数は8.84万人増と予想(3.00万人)を大幅に上回った。労働参加率も66.8%と予想(66.7%)を上回った。雇用統計の好結果を受け、RBAが8月に75bpの大幅利上げを実施するとの観測が浮上する中、豪ドル買いが強まった。

15日
中国4-6月期GDPは前年同期比+0.4%と市場予想(+1.2%)を大幅に下回り、前期の+4.8%から急減速した。同時に発表された中国6月鉱工業生産は前年比+3.9%(予想+4.0%)、同小売売上高は前年比+3.1%(予想+0.3%)だった。

19日
RBAは6月5日の理事会の議事録を公表。「労働市場が逼迫し、インフレ高進局面に直面している経済にとって、金利水準は依然として非常に低い」とし、「金融正常化に向けて今後数カ月でさらなる対応を取る必要があるという認識で一致した」ことを明らかにした。その後、ブロックRBA副総裁は「今後数カ月間は更なる利上げが必要になる見込み」との認識を示し「金利は中立水準まで引き上げる必要がある」と発言した。

20日
ロウRBA総裁は「インフレ率が2-3%の目標に戻るためには、需要と供給がより持続的に均衡することが必要だ。金利引き上げはその一助となる」などと発言。「少なくとも2.5%の中立水準にある時点で金利が達すると思う」としながらも、「いかに速くそこに達する必要があるか、本当にそこに到達する必要があるかは、インフレ見通しによって判断されるだろう」とした。

26日
国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しで2022年の世界経済成長率見通しを3.6%から3.2%へと下方修正。中国の成長率見通しについても4.4%から3.3%へと引き下げた。IMFのチーフエコノミストは「見通しは4月以降に著しく暗くなった。世界は近くリセッションの瀬戸際に立たされるかもしれない」との見解を示した。

27日
豪4-6月期CPIは前年比+6.1%と前回(+5.1%)から加速し21年ぶりの高い水準となったものの、市場予想(+6.3%)は下回った。一方、コアCPIに当たるCPIトリム平均値は前年比+4.9%と予想(+4.7%)を上回った。CPIが予想を下回ったことで次回8月のRBA理事会で75bpの大幅利上げが決まるとの思惑は後退した。

7月の各市場

7月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

8月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円8月の見通し

豪中銀(RBA)の追加利上げ観測と豪州の交易条件改善は豪ドルの強材料だが、世界的な高インフレと金融引き締めによる景気後退(リセッション)への懸念は豪ドルの弱材料となる。 RBAは8月2日の会合で政策金利を1.35%から1.85%へと50bp(0.50%ポイント)引き上げた。声明で「金融状況を正常化するプロセスでさらなる措置を講じることを期待している」として追加利上げに前向きな姿勢を滲ませており、政策金利は年内に3.00%以上へ引き上げられる公算が高まった。日豪金利差拡大観測は豪ドル/円相場をサポートするだろう。

また、7月に発表された豪州の5月貿易収支は159.7億豪ドルの黒字となり黒字額が過去最高を記録。天然ガスや石炭などの資源輸出が好調で、ウクライナ情勢を踏まえれば豪州の交易条件は今後も改善が続く可能性が高い。貿易面での需給も豪ドル高を後押ししよう。一方、金融市場では世界的なインフレ圧力の高まりで日本以外の各国中銀が引き締め姿勢を強めていることからリセッション入りは避けられないとの見方が大勢となっている。世界的なリセッション懸念がさらに高まれば市場心理が悪化しやすく、豪ドル/円の下落に繋がる可能性もある。

当面、豪ドル相場は強弱材料の綱引きでもみ合うと考えられるが、世界同時リセッションの懸念はやや行き過ぎと見て、豪ドル相場の中期的な上昇見通しは維持したい。
(予想レンジ:89.000~94.500円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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