“ドル・円相場は下への調整が有るか?”

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先週のドル・円相場は今週26日~27日に開催予定のFOMC.において最低0.75%の利上げが行われるとの期待から高値圏での持ち合いとなり、一時高値138.87を示現したが週末に掛けて米国長期債券利回りが下落するのにつられて安値135.57まで下落した。

米国長期金利は先週発表された7月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が市場予想を下回った事を受けて下げ基調に転じ、ドル・円相場と強い相関関係にある10年債利回りは終値ベースで水曜日の高値3.030%から金曜日は2.754%へと大きく下落した。
(下のチャートの赤い線の下落が10年債利回りの下落を表している。)

当然ドル・円相場も下落し、7週連続で陽線(終値が始値を上回る。)を示していた週足・ローソク足も久し振りに陰線(終値が始値を下回る。)に転じた。

(今年に入ってからのドル・円相場・週足・ローソク足)

明らかにトレンドの変化を感じるが、もう一つテクニカル分析上の面白い現象を見てみよう。

それはドル・円相場の日足チャートに21日移動平均線を引いたものである。

下は今年に入ってからのドル・円相場の日足チャートに21日移動平均線(紫色の線)を引いたものであるが、ドル・円相場は3月8日に115.24を安値に21日線を上切り、その後4月28日に高値131.25まで上昇した。

5月18日、高値129.53を見た後21日線を下切り、5月24日安値126.35まで下落した。

6月1日、安値128.64を見た後21日線を上切り、7月14日高値139.39まで上昇した。

そして7月22日、高値137.95を見た後再び21日線を下切ったのである。

これはあくまでもチャートを見ながらの後付けであり、相場がこのまま下がるかどうかは分からないが、先週のレポートで“ドル・円はテクニカル上は買われ過ぎであり、下サイドへの動きに注意。”と指摘した通りの動きとなっている。

先週、市場がリセッション(景気後退)の先行指標と理解する米国2年債利回りと10年債利回りの逆転現象(10年債利回りが2年物のそれを下回る。)である逆イールド・カーブについて触れたが、この現象は先週も続き7月5日から18日間連続で起きており、しかもその金利差は-0.213%まで拡大した。

実は、逆イールド・カーブは1978年以降の米国の6回のリセッションを全て予告してきているのである。

市場はFRB.の利上げによる政策金利の上昇により期近な2年債利回りは上昇するが、何れ景気減速によりより長期金利は下がるであろうと読んでいるとも言える。

となると日米金利差拡大の思惑で上昇してきたドル・円相場は此処からは大きくは上がらないのではないかとの思惑が浮かんでも不思議ではない。

問題は、もしドル・円相場の下への調整が有るとしたら、どこら辺まで下がるかであるが、これを予測するのは難しい。

139円台から135円台への3%弱の調整がそうであったかも知れないし、132円台くらいまでの更なる調整が起きるかもしれない。

何れにせよ、黒田・日銀の頑なな超緩和政策の継続による短期金利差拡大、11ヶ月連続で赤字を計上した6月貿易収支に見る我が国の経済ファンダメンタルズの悪化などを見るにつけ、大きく円高に振れるは思えない。

現状のドル安&円高の動きは3月からの急激なドル高&円安の調整局面であり、何れ再びドルが反転上昇する可能性が高いと見ておいて良かろう。

今週のテクニカル分析の見方は短期的に更なるドル・円の下落を示唆。
先週の安値である135円台ミドルを下切れば134円台までの調整の可能性が有り。
138円台ミドルを回復するまではドルの売り持ちを保持。

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