東北地方で農業を営むMATAN氏はFX歴15年というベテラン兼業トレーダーです。東京でのサラリーマン時代に同僚の勧めで始めたFX取引。たまたま買った米ドル/円が、わずか一晩で10万円の利益をもたらしたことで、すっかりFX取引の魅力にはまったというMATAN氏ですが、その後、ボーナスなどの一時金はそのまま口座に入れて運用資産を大きくし、1回の取引で獲得できる利益幅を向上させるという堅実な方法で素晴らしい運用成績を収めてきました。東京の喧騒を離れ、時間がゆっくりと流れる田舎の大自然に囲まれながら農業を営み、投資業と農業を両立させています。今回、MATAN氏の時代を先取りしたようなライフスタイルに迫ってみました。
ハンドルネーム :MATAN氏
年齢性別 :40代男性
職業 :自営業(農業・不動産管理業など)
FX取引歴 :15年
収支(外為どっとコムのみ):約2年6ヶ月間で2,500万円超(2020年1月~2022年6月取材申込時点)
トレードスタイル:スイングトレード
投資商品 :2012年から株式(現物)
趣味 :旅行
▼目次
1.朝起きたらいきなり10万円の利益
2.毎月5万円の利益は生活費の足しに
3.基本はスイングトレードで大失敗の経験ゼロ
4.「運用目標」は「営業ノルマ」、持てば無理をする
5.取引はすべて携帯スマートフォンアプリで完結
6.テクニカルではなく、ラジオで得たファンダメンタルズ情報で判断
7.ワイヤレスイヤホンでラジオを聴きながらチャンスは逃さず
朝起きたらいきなり10万円の利益
編集部:- FX取引を始めたきっかけを教えていただけますか?
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MATAN氏: - 今から15年ほど前に始めました。今は自営業ですが、実は私も大学を卒業した後は普通にサラリーマンになったんです。結局、サラリーマンを辞めるまでに3回ほど転職しましたが、二つ目の会社の同僚にFX取引を勧められたのがきっかけです。
編集部:- 同僚の勧めだったんですね?
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MATAN氏: - そうなんです。それでFX取引を始めた直後の金曜日の夜8時くらいだったと思います。アメリカの雇用統計かISM(製造業景況感指数)か、どちらだったかは忘れてしまったのですが、注目度の高い指標の発表がありまして、当時は始めたばかりですから、重要指標の発表時に相場が大きく動くことなんて、まったく知らないまま米ドル/円でロングポジション(買い)を持ったんです。
編集部:- 初めての取引開始がすごいタイミングだったんですね?
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MATAN氏: - そのまま一晩寝て、次の日の朝に見てみたら、10万円の利益が出ていたんですよ!それでFX取引の魅力にハマってしまいましたね(笑)。
編集部:- なるほど!ステキなことが起きたんですね。当時は重要指標の発表があると、今よりも相場が大きく動きましたからね。
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MATAN氏: - 本当にそんなことまったく知らずに、ただエントリーしただけだったのですが(笑)。実は最初に獲得した利益で高速パソコン1台とモニター2台を購入して、「トレーディングルーム」を作りました。
編集部:- 本格的な投資環境を整えたのですね。
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MATAN氏: - とはいえ10万円ですからね。学生時代に秋葉原でパーツを買ってパソコンを自作していた趣味を生かして、家電量販店で買えば当時30万円はするような高スペックのパソコンを作りました。
毎月5万円の利益は生活費の足しに
編集部:- ところで最初の運用資産はどれくらいだったのでしょうか?
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MATAN氏: - 現在のようなレバレッジ25倍という規制がなくレバレッジ50倍以上も可能な時代でしたから、口座にたくさん資金を入れなくてもFX取引ができました。私は当時30万円くらいで始めたと記憶しています。
編集部:- 少ない資金でも大きな取引ができた時代でしたね。ところで、いきなり10万円を獲得した後のMATANさんのその後の運用結果を教えてください。
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MATAN氏: - 最初にいきなり10万円の利益を得ましたが、その後は何か特別なことがあったかといえば、特にはなくて、週に1~2万円の利益を得たら、それを生活費の一部に充てるというような毎日を送っていました。
編集部:- 生活費の足しにしていたんですね?
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MATAN氏: - そうです。
編集部:- 「高レバレッジを活用し資金を短期間にできるだけ増やそう」というもくろみではなく、MATANさんは真逆のスタンスでFX取引されていたんですね?
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MATAN氏: - そうなんですね。金融経済誌などを読んでいると、投資は「金融市場に居続けることが一番大切だ」と書かれていることが多いですよね。「運用資産が”スッカラカン”になって、市場から退場してしまったら終わりだ」って。
編集部:- その通りですね。
基本はスイングトレードで大失敗の経験ゼロ
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MATAN氏: - そもそも週1万円程度、毎月約5万円の利益でも、私は「十分に満足できる恩恵をFX取引から受けられたな」と思っていました。「たいして”運用資産”を入れていないんだから、この程度の利益にしかならないよな」という割り切った気持ちがありましたから。
編集部:- 最初から「プロトレーダー」みたいな心構えだったんですね。そういう考え方でFX取引をしていたなら”大失敗”なんてなさそうですね?
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MATAN氏: - はい・・・まったくないんですよ(笑)。
編集部:- やはりそうなんですね。それは素晴らしいですね!
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MATAN氏: - 例えば、ロング(買い)を持っていて相場が下がっちゃったときは、スワップポイントで”凹んだ穴を埋める”ように、2週間でも3週間でも、じっと静かに”見守って”いました。
編集部:- ちなみにFX取引を始めたときの取引通貨は米ドル/円ですか?
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MATAN氏: - はい。基本はそうですが、当時は今よりももっと金利が高かったので、オセアニア通貨、豪ドルとNZドルとカナダドルも取引していました。
編集部:- MATANさんが毎週1〜2万円の利益を上げていた手法はどんなものなのでしょうか?
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MATAN氏: - ずばりスイングトレードですね。当時はトルコリラとか、ブラジルレアルのような選択肢もなかったですから、取引していたのは、スワップポイントがたくさんつく豪ドル/円、NZドル/円を織り交ぜて、米ドル/円とカナダドル/円の4通貨ペアです。米ドル/円もスワップポイントは高かったですが、証拠金(取引保証金)が沢山必要だったので、資金の配分はオセアニア通貨のほうが多かったかもしれません。
「運用目標」は「営業ノルマ」、持てば無理をする
編集部:- 「毎日3,000円の利益を出して1週間で約2万円を獲得しよう」みたいな取引手法だったのでしょうか?
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MATAN氏: - 実はまったく違います。数値目標は設定していませんでした。私、営業職をしていたことが あるんですが、数値目標を背負うと、未達が見えてきたときに無理をしたくなるものです。例えば売上100万円の営業ノルマがあったとして、月末に10万円が足りないと、達成することにのみ集中して相手に無理な営業を掛けて、なんとか達成したいという気持ちも出てきます。FX取引もそういうことがあると思うんですね。そうなるとどうしても「雑」な仕事(運用)になってしまうので、具体的な数値目標は不要と考えます。利益追求できる相場のときに実践する。裏を返せば、全然利益追求できないときもあるんですが取引時間中に必ず利益を出すなんて不可能ですからそれでいいと思いながら実践してきました。
編集部:- なるほど。MATANさんは経験を積むにつれて、取引スタイルに変化はありましたか?
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MATAN氏: - 取引のスタイルは初心者の頃からほとんど変わっていないです。ボーナスが出たら、それをそのまま証拠金としてFX口座に入金していました。私は独身の期間が長くて家族がいませんでしたから、子どものための教育費などの費用が掛からなかったので、ボーナスのようなお金が入ったら、そっくりそのままFX口座に入金できたんですね。
編集部:- それはいいですね!
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MATAN氏: - そうすると、投資できる金額が徐々に大きくなりますよね。実質少しずつロット数が増えていって利益追求幅が広がっていく、その連続だったんです。
編集部:- スタイルが変わったのではなく、運用資産が大きくなったということですね?
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MATAN氏: - はいその通りです。すると一取引あたりの利益額が大きくなりますよね。
編集部:- なるほど!1回の取引で獲得するPips数は同じでも、ロット数(取引量)が大きくなった分、利益額が大きくなってきたというわけですね?
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MATAN氏: - そうです。私の過去の取引履歴を確認しても1、2Pipsで利益確定していることが結構あります。ただ、ロット数が大きくなった分、その利益額がだんだんと大きくなっていったのが確認できるんですね。
編集部:- そういうことなんですね。
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MATAN氏: - それと、取引手法としては基本的には相場が下がったときに外貨を購入する取引のやり方です。ただ、二番底で下がっちゃうこともあるんですが(笑)。
編集部:- 相場にはそういう難しさがありますよね。
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MATAN氏: - 二番底があり得ると思っているから、実効レバレッジが高くなり過ぎないようにしています。実効レバレッジを5〜6倍にしておけば、もし二番底がきたとしても、追加の押し目買いで有利なポジションを増やせるからです。
編集部:- 初心者トレーダーの方々は失敗を繰り返しながら自分のスタイルを見つけていかれる方が多いのですが、MATANさんは初心者のころから”プロ”のようなスタイルで取引されていたんですね?
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MATAN氏: - 私は珍しいタイプということなんですかね(笑)。
編集部:- FX取引を勧めてくれた同僚の方から、取引手法などのアドバイスも受けられましたか?
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MATAN氏: - IFDやIFOなどの特殊注文については教えていただきましたが、取引手法についてのアドバイスは受けていないです。
編集部:- 最初からご自身で考えられたやり方なんですね?
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MATAN氏: - そうですね。
取引はすべて携帯スマートフォンアプリで完結
編集部:- 話は変わりますが、FX取引を始めたころには「初の利益金」で手に入れたモニター2台に高速パソコン1台の「トレーディングルーム」を作られて、取引されていたとの事ですが、最近ではスマホだけで取引完結されているそうですね?
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MATAN氏: - 今は完全にスマホだけでの取引にシフトしています。
編集部:- なぜデスクトップ型のパソコンからスマホ完結型に変わったのでしょうか?
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MATAN氏: - ひとつは御社がリリースされた新型アプリ(※1)がとても優秀だからです。私の取引スタイルだと、スマホだけで十分なんですよ。それに加えて、私の住んでいるところは田舎ですから、移動距離が長かったり、都会に比べると様々なサービス面にITが普及していないことでの長い待ち時間もあるので、気軽にどこでもFX取引ができるスマホでの取引の方が利便性が断然いいんですね。
※1 スマホアプリ『外貨ネクストネオ「GFX」』
編集部:- なるほど。むしろ都合がいいことが多いわけですね?
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MATAN氏: - 常に自宅のパソコンでFX取引をするような生活環境やライフスタイルじゃないんですよね。だから、スマホのほうが便利なんです。
編集部:- 脱サラされて自営業になったのは、FX取引で得られる利益が増えたからですか?
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MATAN氏: - 今、私が農業をやっているのは、母親の生家が水田を持っている農家だったんですが、後継者がいなかったので、私が継ぐことにしたからです。だから、FX取引の運用成績とは関係ありません。
編集部:- 会社勤務のサラリーマンから自営の農家になったことで、投資のスタイルに変化はありましたでしょうか?
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MATAN氏: - 相場と向き合える時間は格段に増えましたから、そういう意味では、やっぱり、やりやすくなりましたね。
テクニカルではなく、ラジオで得たファンダメンタルズ情報で判断
編集部:- FX取引でテクニカル分析等は活用されていますか?
MATAN氏:- 各テクニカルについては一応理解しているつもりですが、実はテクニカル分析の結果を使って、FX取引の売買をすることはまったくありません。
編集部:- テクニカル分析等はいっさい重視していないということでしょうか?
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MATAN氏: - 最近の事例で言えば、ウクライナ紛争のような地政学的リスクが高まっているとか、新型コロナのオミクロン株変異の影響で昨年(2021年)の秋に経済状況が悪化したとか、いわゆるファンダメンタルズの影響が強く、テクニカル分析手法は一定の理解が有り、素晴らしい手法と認識をしていますが、その重視は今ではないと思っています。為替相場を取り巻く状況が一定ならば、テクニカル分析というのは投資判断に役立つように思うのですが、状況がいろいろと変化する今般では、「短期移動平均線が長期移動平均線をクロスしたから『買い』だ」とは考えないですね。
編集部:- ということは、テクニカル分析よりもファンダメンタルズ分析を重要視されて、取引判断されているということですね?
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MATAN氏: - そうですね。どちらかといえば、私はファンダメンタルズ分析派ですね。
編集部:- FX初心者の方は、経験豊富なトップトレーダーの方が「ファンダメンタルズ分析で好成績を収めている」と聞くと、「きっと特別な情報源があるに違いない」と想像すると思うのですが、ファンダメンタルズの情報はどのようなものを使っているのでしょうか?是非教えてください。
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MATAN氏: - 私は「ラジオNIKKEI」ですね。聴けるときは朝からずっと聞いています(笑)。
編集部:- 新聞・雑誌、テレビではなくラジオなんですか?
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MATAN氏: - そうなんです。ラジオって結構「昔から金融に携わってバブル時代を享受したオジサン」出演者が、昔の金融事件や出来事を引き合いに出しながら好き勝手喋ってくるんですよ。その人たちのコメントや解説に対して「いや、今はそうじゃないでしょ」って自分でツッコミを入れながら聴いているんです(一同爆笑)。
編集部:- ハハハ、それ面白いですね。ツッコミを入れながら、情報整理をされているんですね?
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MATAN氏: - もちろん、有益な情報もたくさんあるので継続的に聴取しているわけですが。ただ、自分の主観も大切にしたいなと思うんです。情報の取捨選択をすることで感性を磨くことがラジオでは可能だと思っていて、なにか違う良い手段が生まれるまではずっとやっていこうと思っています。
編集部:- ちなみに「ラジオNIKKEI」のどの番組が役に立つとか、面白いとか、もしあれば教えてください。
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MATAN氏: - 「ラジオNIKKEI」って、朝から夕方までずっと経済情報の番組を放送しているので、私はずっと流しながら聴いています。その中でも朝10時5分頃に放送されている「FX今朝のショートコメント」というFX関連の情報を伝えるコーナーが好きで、なるべく聴くようにしてます。
編集部:- そうなんですね。
ワイヤレスイヤホンでラジオを聴きながらチャンスは逃さず
MATAN氏:- ほとんどの農作業はトラクターに乗っているんですが、その時は必ずワイヤレスホンで経済情報番組ラジオを聴いています。
編集部:- お米を作りながら同時に世界を相手にしたFXトレードを実践。なんか農作業のイメージが変わりそうですね!?
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MATAN氏: - ハハハ、そうですか?農作業って聞くと、みなさんは鍬を持って畑を耕して、毎日筋肉痛になっているようなイメージを持っているかもしれませんが、今はそんなことなくて、ほぼ機械で作業をしますから、農作業に出かけても、一度も土を触ることがない日がほとんどなんですよ。
編集部:- そうなんですか!それは知りませんでした。ちょっと驚きました。
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MATAN氏: - 皆さん等しくその反応をされます。田舎や島で芸能人が農作業を実践するTV番組も人気ですし、そのような印象が付きますよね。ただ、特に稲作農業はTV番組に映る「手作業」はかなり減っています。あの番組は「農家=大変=尊い職業」のように放送してくれるので、全国の農家は、すごくありがたいと思ってますよ(笑)。
編集部:- それじゃあ、MATANさんは自分の水田に仕事に出かけたら、ワイヤレスホンでラジオNIKKEIを聴いて情報収集し、チャンスを逃さずに携帯アプリでFX取引を実践しているってことですね?
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MATAN氏: - まあ、そんな感じですかね(笑)。
編集部:- なんだかドラマや映画のワンシーンみたいで、カッコいいですね。
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MATAN氏: - いやいや(笑)、どうもありがとうございます。
編集部:- 今はそういうスタイルでFX取引ができると思うのですが、始められたときは会社勤めだから、今とは違うスタイルで取引されていたんですよね?
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MATAN氏: - 昼間は仕事がありましたから、成行で「売って」「買って」ではなく、「IFD(イフダン)注文(※2)」を使っていました。それを午前と午後に確認するようなやり方をしていました。
(※2)新規注文のときに新規注文が成立すると有効になる決済注文を、一緒に発注できる注文方法のこと。例:1ドル=130円のときに新規で「買い」、1ドル=135円になったら「売る」というような決済注文まで一度に出すことができる。
編集部:- FX取引はいろいろな注文方法が利用できますが「いろんな注文方法を覚えて、ひとつ一つを使いこなすのが難しい」という意見をいただくことがあります。MATANさんはどうでしたか?
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MATAN氏: - 私は本を購入して、FX取引の注文方法は覚えました。15年前なんで、ちょっとアナログに聞こえるかもしれませんが。文字で書いてある本というよりも、イラストがいっぱい載っているような書籍でしたね。
編集部:- FX関連の書籍は多数出ていますからね。
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MATAN氏: - 覚えた注文方法は実際に小さな金額で試してから、その通りになることを確認した上で、本格的に使うようにしていましたね。
マネ育PickUp編集部より
30万円で始めたMATAN氏は、15年というFX歴のなかで、ただの一度も強制ロスカットを経験せず、大きな損失を出すような失敗もなかったといいます。「具体的な数値目標は『営業ノルマ』と一緒で、未達の場合に無理な取引をしてしまうから、あえて目標は立てない」という考えや、レバレッジは5〜6倍で、証拠金はボーナスを入金してどんどんおおきくするという、リスクを低く抑えようという資金管理の考えが、その取引スタイルの根底にあり、結果的に毎週1〜2万円の利益を上げるという好循環につながったようです。後編ではさらに詳しい取引手法などを伺います。
(後編に続く)
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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