“大荒れの1週間。”

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先週は注目のFOMC.、そして日銀政策決定会合が開催され、金融市場は大荒れの展開となった。

前回のFOMC.でパウエルFRB.議長が6月と7月の利上げ幅を0.5%に留めるであろうと仄めかして、0.75%の利上げはUnlikely.(ありそうもない。)と言ってはいたものの、前週に発表された5月の米国消費者物価指数(CPI.)が予想を大きく上回る+8.6%となって、市場は一気に0.75%の利上げを織り込み始めることとなった。

特にFed Watcher.(FRB.の金融政策に精通している人物)として有名なウォールストリート・ジャーナルの記者が、自分が書いた記事でそれまでの0.75%の利上げをUnlikely.からLikely.(あり得る。)に変えたことにより、FOMC.を前にしてブラック・アウト(FOMC.が開催される前々週の土曜日からFOMC.終了時までメンバーが金融政策について語る事を禁じている。)期間中にこの記者に敢えて0.75%の利上げ情報をリークしたと市場は解釈して債券と株が売られて米国10年債利回りは一時3.5%を超える上昇を見せた。

日本時間の16日午前3時半に通常の3倍に当たる0.75%の利上げが発表されるとドル・円相場は134.80から133.50近辺まで急落する間、株価は上昇して典型的な“Buy on rumor, sell on fact.”=(噂で買って事実で売る。株の場合は逆に噂で売って事実で買う。)展開となった。

そして16日、木曜日に激震が走った。
据え置きか多くとも0.25%の利上げを行うであろうと思われていたSNB.(スイス国立銀行)が0.5%の利上げを発表して欧米の株価が再び大きく下げ、その間ドル・円相場は131.50まで急落した。

ドル・円相場が大きく下げた理由はこのSNB.の利上げを受けて、木曜日から金曜日に掛けて開催される日銀の政策決定会合に於いて、イールド・カーブ・コントロール政策の変更を含めて何らかの政策転換が為されるかも知れないと言う憶測が広がったからである。

そしてその政策転換を見越して円の買い戻しとJGB.(日本国債10年物)に猛烈な売り攻勢を掛けてドル・円相場は131.50の安値を付け、日本国債10年物は日銀のイールド・カーブ・コントロールの上限である0.250%を上回る0.255%で東京市場を終えた。

そして注目の日銀の政策決定会合では、何ら目新しい変更は発表されず現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決め、また10年物国債金利0.25%での指し値オペを原則毎営業日実施すると改めて表明した。

これを受けてドル・円相場は安値132.18から135.42まで急騰し、日本国債10年物利回りは0.250%から0.210%まで急落した。

今回の日銀対ヘッジ・ファンド等の投機筋との戦いは日銀の勝利に終わり、投機筋は手ひどい損失を被ったが、彼らがこのまま引き下がるとは思えない。

日銀は“必ず”政策転換するのであり(何時かは分からない。)彼らは捲土重来を期して再び日本国債を売り浴びせて来るであろうことは間違いあるまい。

FRB.は想定外の利幅での利上げに踏み切り、日銀は想定内の現状維持で日米金利差は益々拡大傾向にあり、ドル・円相場の更なる上昇が見込まれるが此処からのドル高&円安の展開には多少気を付けて行きたい。

その理由の一つが米国10年債利回りの頭打ちである。

FOMC.後のF.F.Rate.(政策金利)の上昇にも拘わらず米国10年債利回りは低下している。

中・長期的なドル高&円安のトレンドは変わらないと思うが、24年来のドル高&円安相場を示現して、達成感が有ることは否めない。

無理して高値を追わずにBuy on dips.(下がったら買う。)のスタンスで行きたい。
(先週の安値131.50の様なNice dips.は望むべくも無いが…)

今週のテクニカル分析の見立てはドルの買われ過ぎを警戒しながらも、上値を模索。
下サイドは132円のブレーク迄ドルの買い持ちを保持。

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