週足ベースで9週連続して綺麗な陽線(終値が始値を上回る。)を示していたドル・円相場のチャートが今度は同じく3週連続して綺麗な陰線(終値が始値を下回る。)を示したが、今週になって(と言っても未だ週が始まって半日しか経っていないが..)高値127.34、安値126.87の47銭の値幅に留まっており、多少下げ足のピッチが弱まった感じがする。
先週のレンジを見ても高値128.07、安値126.37の値幅1円70銭となり、前週の高値129.77、安値127.03の値幅2円74銭、前々週の131.51、安値127.51の値幅4円から比べても徐々にその振幅が狭まりつつある。
一時の131.34の戻り高値を付けた“それ行け円安!”気運から市場は落ち着きを取り戻しつつあり、高値から先週の安値126.56への調整が更に進むのか、或いはもしかして止まるのかが注目される。
先週のレポートで米国10年債利回りとドル・円相場の相関について述べたが、その相関関係は変わっていない。
依然として米国10年債利回りが上昇するとドル・円相場は上げ、逆に下落するとドル・円相場は下げる傾向が続いている。
(日経新聞記事からの転載)
今年に入ってからの相関は見事なものであるが、実はもう少し遡ってみると2018年秋には米国10年債利回りが3%を超えていたにも拘わらずドル・円相場は112円~114円の円高気味で推移していた頃も有った。
(2017年からのドル・円相場(黒い線)と米国10年債利回り(黒い線)の動き。)
今年に入ってからの両者の見事な相関はヘッジ・ファンドを代表とする短期の市場参加者のAI.やアルゴリズムによる投機的な取引が影響しているのかも知れない。
彼らは債券が買われ金利が下がるとドル・円の売り、逆に債券が売られ金利が上がるとドル・円の買いと言うプログラムを仕込んでおいて、後はコンピューター任せと言う取引を行っていると考えられる。
先週は米国でのインフレ懸念の後退を好感してニューヨーク株式市場3指数が大幅に値を戻しリスク・オンとなったが米国10年債利回りは2.7%台に留まってドル・円が買われることはなく、上述した様に週足ベースでは3週連続の下げを記録した。
前週までの株安、債券高(金利安)、ドル安の動きから、先週は株高、債券高(金利安)、ドル安の動きとなった。
株高によるリスク・オンが債券、為替市場には何の影響も与えなかったのである。
株価の動きがドル・円相場に与える影響が弱くなり、米国長期金利の動きが最も影響力が強い状況は続くと思われるが、さてその米国長期金利はこれからどの様な動きを見せるのであろうか?
3月の0.25%、5月の0.5%の利上げに続いて6月と7月の0.5%ずつの利上げは市場に織り込み済みだと思われるが、ここにきて9月以降の利上げに関して慎重な意見が出始めた。
このペースでの利上げが進むと何れ米国経済をオーバーキル(過度な金融引き締めが景気後退を招く。)すると言う意見であるが、至極もっともであろうか?
次回のFOMC.(6月14日~15日開催)で前回までのバリバリのタカ派的(金融引き締めに積極的)な議論から多少でもハト派的(金融緩和に積極的)な議論に変わるようであれば長期金利上昇に歯止めが掛かるかも知れない。
2.2%を目指すか、それとも再び3.2%を目指すか?
当面はそれを図りながらドル・円相場は127円~128円をコアにしたレンジ相場となるかも知れない。
今週のテクニカル分析の見立ては126円~128円のレンジを予想。
何れのサイドも切れると更なる下落(125円)、或いは上昇(129円)が有り得る。