総括
FX「年初来高値更新、最強通貨維持。追加利上げ観測あり」メキシコペソ見通し
予想レンジ 6.1-6.6
(ポイント)
*年初来高値更新、最強通貨維持、5月月間もここまで最強
*8会合連続利上げだが、まだ追加利上げ観測あり
*中銀総裁や政策委員が追加利上げ示唆
*輸入関税を廃止して物価高抑制を狙う
*フィッチは「BBB-」「見通し安定的」の格付けを維持
*米国=USMCAはメキシコの労働者を保護
*メキシコ大統領は米州首脳会議に欠席を示唆
*郷里送金は23か月連続増加
*4月の消費者物価は、前年同月と比べて7.68%上昇
*3月鉱工業生産は前年比で2.6%増
*半導体不足は一時に比べると改善しているが本格的な回復には至っていない
*1Q・GDP、3期ぶりプラス成長
*日産が7億ドル投資
*電力国有化法案は否決
*リチウム国有化法案は可決
*IMFはメキシコの2022年の成長見通しを下方修正
*2月は2か月ぶり貿易黒字
*4Q経常収支は黒字となった
(最強通貨維持、5月月間もここまで最強通貨)
5月17日に年初来最高値の6.507を付けた。5月は円が強い中(月間2位)でメキシコペソが高値更新とは、今年のペソの好調ぶりを示している。ただ日足が6.50以上で終わることはない。6.50は一つの上値抵抗だ。
(8会合連続政策金利引き上げも、まだ追加利上げ観測あり)
5月12日に政策金利を7.0%に引き上げた後も、ロドリゲス中銀総裁が、必要に応じ政策金利を一段と速いペースで引き上げる用意があるという認識を示したことが材料視された。ヒース政策委員も、インフレ見通しを考慮すると引き締めがもっと必要だとの考えを示した。
中銀は5月12日に政策金利を0.5%引き上げ7.0%とした。利上げは8会合連続。中銀はインフレ圧力を抑制するために「一段の強力な措置」が必要になる可能性があるとした。中銀は金利を6月23日の会合で7.5%に引き上げ、金利水準は年末までに8.5%に達すると予想されている。
(物価高対策 輸入関税停止)
メキシコ政府は5月16日、物価高対策として食品や一部日用品の輸入関税を5月17日から1年間、免除すると発表した。
対象リストにはトウモロコシ油、コメ、マグロ、豚肉、鶏肉、牛肉、タマネギ、豆、トウモロコシ粉、小麦粉、卵、トマト、ミルク、レモン、リンゴ、オレンジ、パン、ジャガイモなどのほか、ハンドソープも並んだ。
メキシコのインフレ率は20年以上ぶりの高さとなっており、政府は今月、産業界とトウモロコシやコメや豆などの増産で合意している。今回の関税免除策については、全体のインフレ率への効果はあまり大きくなく、財政を圧迫する弊害が強いとの指摘も出ている。
(格付けは投資適格維持)
5月18日、フィッチは「BBB-」「見通し安定的」の格付けを維持した。同じく高金利通貨の南アやトルコはジャンク債格付けだが、メキシコは投資適格を維持している。
ムーディーズはBaa1(見通しネガティブ)、S&PはBBB(見通しネガティブ)。
(米国=USMCAはメキシコの労働者を保護)
米通商代表部(USTR)は5月18日、メキシコ・レイノサにあるパナソニックの自動車部品工場について、労働者の権利が侵害されている事実がないかどうか調査するよう、メキシコ当局に要請した。米政府がUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に基づき、メキシコにおける労働問題を巡って調査を求めるのは3例目。
タイUSTR代表は、メキシコのクルティエール経済相に書簡を送り、パナソニック工場の労働者が結社の自由や団体交渉の権利を侵害されているのではないかと懸念の意を伝えた。
テクニカル分析
10週ぶり週足陰線となるが、依然今年の高値圏で推移
日足、年初来高値を更新し6.507をつけた。ただ6.5以上では終値とならず跳ね返される。
5月12日-19日の上昇ラインがサポート。5月18日-19日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、20日線は横ばい。
週足、10週ぶりに週足が陰線となるも今週も今年の高値圏で推移している。4月25日週-5月9日週の上昇ラインがサポート。6.5に4週トライしているが乗せきれない。
月足、ボリバン3σ上限に達した。ただ4月も5月も6.5で反落した。雲の上に出る。21年11月-22年3月の上昇ラインがサポート。
年足、2021年は陽転。20年-21年の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
米州首脳会議と中国の存在
ロペスオブラドール大統領は、米国が6月にカリフォルニア州で開く米州首脳会議に出席しない可能性に言及した。米政府高官がキューバとニカラグア、ベネズエラを招待しないと発言したのを受け、全ての国が参加できるように米国に対して説得する方針を示した。
米国務省のニコルズ国務次官補(米州担当)は、民主主義の欠如を理由にキューバとニカラグア、ベネズエラを招待しない可能性に言及した。
中南米では中国の存在感が強まっており、米政府は米州首脳会議を通じて域内諸国との連携を示したい考えだ。米国と経済的な関係が強いメキシコの大統領が出席しなければ米政府にとっては痛手となる可能性がある。
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