銀行員時代からFX取引に興味を持ち、コンサル会社に転職してから兼業FXトレーダーとして取引を実施しているMさん。スマホだけを使い、わずか1日10分程度のトレードスタイルながら、直近約8カ月間の運用利益は1,200万円超えというすばらしい成績を残しています。「テクニカル指標の数値だけで売買判断」「決まった利益額に達したらすぐに決済」など、「マイルール」を忠実に実行するやり方が「精神的な余裕をもたらし、好循環を生み出している」とMさんは言います。その極意を詳しくうかがいました。
年齢性別 :30代男性
職業 :コンサル会社勤務
FX取引歴 :5年
収支 :約8カ月間で1,200万円超(2021年8月~2022年3月取材申込時点)
トレードスタイル:デイトレード、スイング
投資商品 :投資信託
趣味 :釣り
▼目次
1.FXのために銀行を退職
2.スワップ狙いのトルコリラ積立でスタート
3.チャートに張りつかず、スマホで短時間トレード
4.成行注文だけに絞る
5.ロスカットで大金を失うも、ミスを認めて再チャレンジ
6.ロットを1/3に下げて取引回数を増やす
7.深夜0~2時が取引時間帯
8.RSIが25を割ったら「買い」75を超えたら「売り」
9.自分に合うテクニカル指標は試して見つけよう
10.スマホはFX初心者に向き
FXのために銀行を退職
編集部:- まず、FXとの出会いを教えてください。
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Mさん: - 私は以前、銀行に勤めていたんです。
編集部:- えっ、そうなんですね。
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Mさん: - だから、もともと金融商品と触れ合う機会が多く、FX取引にはとても興味がありました。自分でもやってみたかったんです。ただ、銀行員はFX取引が禁止されていましたので、銀行を辞めた後にFX取引を始めました。それが5年前です。
スワップ狙いのトルコリラ積立でスタート
編集部:- 金融機関でお仕事された経験があったんですね。FX取引のスタート資金はいくらでしたか?
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Mさん: - 100万円ですね。始めたときはスワップポイントが目当てだったので、通貨もトルコリラを選びました。銀行預金よりも利息が断然によかったですよね。積立貯金のようなやり方をしていて、増えたら引き出していました。
編集部:- 積立ということは、給料が入ったら為替相場の動きとは関係なく、トルコリラを定期的に買われていたということですか?
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Mさん: - 月に1回、相場を見たときにトルコリラが下がっていたら、最低取引単位を買うというやり方でした。「1カ月でスワップポイントが700円くらい入るな」と考えながら続けていました。
編集部:- 運用成績はどうでしたか?
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Mさん: - 結構うまくいっていたと思いますね。年間で10万~20万円は利益が出ていましたから。
編集部:- 積立方式のときはどのように相場を判断されていたのでしょうか?
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Mさん: - 当時も今もあまり変わらないのですが、MACDを参考にしていました。ただ、積立のときは、「厳密に分析して購入する」というわけでもありませんでした。
チャートに張りつかず、スマホで短時間トレード
編集部:- いつから取引手法を変えたんですか?
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Mさん: - FX取引を始めて半年くらい経ってから、デイトレード、スイングトレードもするようになったんです。スワップポイントで利益を獲得するよりも、相場が上がったときに、いったん利益を確定して、また相場が落ちたときに、もう一度買い直すほうが、利益を追求しやすいんじゃないかと思ったんです。
編集部:- スワップポイントを定期的に取るよりも、スポット評価が出たときに確実に利益を獲得しようということですね?
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Mさん: - むしろ、このやり方のほうが、リスクを低く抑えられるんじゃないかと思ったんですね。積立方式でポジションが増えていったときに、大きく相場が変わると、一気に含み損になりますよね。それを防ごうと、できるだけポジションを軽くしながらFX取引をやる方法を追求していたら、トレードスタイルが「そちらに寄っていった」という感じですかね。相場が動いたときでも、「置きっぱなしでいいかな」って思いたい気持ちが強いので。
編集部:- それにしても、本業の合間にFX取引をやるのは、なかなか大変じゃないですか?
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Mさん: - いえいえ、それほどでもないですね。というのも、私はずっとチャートに張りついているタイプではないからです。仕事の合間の移動中など、相場を見られるときに、一瞬だけパッと見て取引をするんです。「買いだ」と思ったら、そこですぐに買ってしまうし、「売りだ」と思ったらすぐに売ります。
編集部:- 仕事の合間だと、取引のメインはスマートフォンですか?
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Mさん: - 100%スマホでの取引ですね。
成行注文だけに絞る
編集部:- スマホでFXアプリを立ち上げてトレードするやり方は、初心者でもすぐにわかりましたか?操作方法などはどのように覚えましたか?
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Mさん: - FXの取引方法って、いろいろあるじゃないですか。「両建て」「OCO」「IFO 」など、アプリでたくさんの売買方法が可能ですが、やり方が複雑になると、私はなんだかよく分からなくなってしまうので、もう素直に「買う」と「売る」だけに絞り、成行注文のみで、リアルタイムで売買することにしました。FX会社ごとで独自アプリになりますから、操作方法も異なります。最初に最低ロットで取引を行い、やり方を確認していました。
編集部:- 本番と同じようにできる「バーチャルトレード」などを試さず、最初から本番で取引数量を少なくして取引実践されたということですね?
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Mさん: - そうです。とりあえず、「実際にやってみないと分からない」と思っていたので、小さい金額でコツコツと“取引実践しながら”、操作方法には慣れるようにしました。
ロスカットで大金を失うも、ミスを認めて再チャレンジ
編集部:- デイトレやスイングトレードに移行されてからの運用成績はいかがでしたか?
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Mさん: - 実は当初は失敗しました。始めたばかりの頃は。数年前、年明け最初の取引で、相場が猛烈に落ちこんだときがありましたよね。そこで強制ロスカットを食らいました。口座にあった100万円が40万円まで減りました。
編集部:- 年始のトレードでいきなりそれは、ちょっとダメージが大きいですよね。それでも取引をやめなかったのは?
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Mさん: - 前年の年末に「自分は深追いしているな」と自覚していたんです。そのとき起きたことは、やっぱり自分のミスなんです。少し悔しかったですが、勉強し直して、もっとうまくできるようになったらと考えて、再びチャレンジすることにしました。
ロットを1/3に下げて取引回数を増やす
編集部:- 再チャレンジするにあたり、どんなところを修正されましたか?
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Mさん: - 取引金額を抑えました。手を出したくなる相場が何度もありましたが、どんなに追いかけたくなっても、1回のロット数を限定することにしたんです。常に保証金維持率を意識しながら、売買のロット数を下げて、むしろ取引回数を増やすことにしました。
編集部:- 初心者は保証金維持率を限度いっぱいまで使ってしまう傾向にあるんですが、Mさんのロット数はどれくらいなんですか?
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Mさん: - 100万円を基準に説明すると、始めたころは1回10万円で取引していました。だから、3本もやると保証金維持率が限度ギリギリになってしまうような状況でした。それを1回あたり3万~4万円にしたんです。つまり、3分の1に落としたんですよ。
編集部:- なるほど。ほかに変えたことはありますか?
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Mさん: - 利益を追いたくなる気持ちを抑えて、より機械的に取引するように心がけました。感情を入れずに、自分の中で設けたルールを忠実に守るようにしました。MACDやRSIの数値に明確な基準を設けて、それで判断するようにしました。
深夜0~2時が取引時間帯
編集部:- なるほど感情を排除して、数値だけをみているんですね。ちなみに毎日の過ごし方は?取引する時間帯を教えてください?
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Mさん: - 朝7時に起きて、8時半まではチラチラと相場を見ながら仕事の準備をします。日中は、じっくり見る時間はないので、1時間に1回のペースでチラチラと見て相場の動きをチェックします。 仕事が終わって帰宅してからは、アプリを立ち上げて、常にテクニカル分析を表示させておいて、先ほどのマイルールに沿ってトレードします。
編集部:- 本腰入れるのは夜なんですね?
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Mさん: - 夜ですね。0~2時がピークですかね。
編集部:- ニューヨークの時間帯ですね。結構遅くまでされるんですね。ショート・スリーパーですか?
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Mさん: - そうですね。睡眠時間は4~5時間です。
編集部:- ちなみに、日中、エントリーのタイミングがあったら、トレードしますか?
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Mさん: - そうですね。やっぱり、やっちゃいますかね(笑)。
RSIが25を割ったら「買い」75を超えたら「売り」
編集部:- エントリーのマイルールについて、もう少し聞かせてください。テクニカルはMACDとRSIがメインということですが、具体的にはどのようにエントリーされているのでしょうか?
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Mさん: - テクニカル分析で使っているのは、MACDとRSIです。よりしっかりと見ているのがRSIですね。25%を割ったらほぼ無条件で「買い」。「売り」は75%を超えて、かつ、含み益が出ていたら「即利確」します。ただ、わたしは「買い」ポジションで持つことが多いですね。あまりにエントリータイミングが少ないときは、30%以下で買ったり、70を超えたところで決済したり、たまに基準を緩めます。
編集部:- MACDはどのように使われていますか?
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Mさん: - MACDは参考程度です。シグナルを下抜けていて、なおかつRSIが75%以上だったら、すぐに「売り」です。「買い」のタイミングはトレンドを見ながら、上抜けていてRSIが30%以下だったら買います。
自分に合うテクニカル指標は試して見つけよう
編集部:- テクニカルはいろいろ試されたんですか?その結果、 MACDとRSIに落ち着いたという感じですか?
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Mさん: - そうですね。いろんなテクニカル指標の中で、この2つは連動している感じがあります。あとは、一目均衡表の「雲」の形ですね。他のテクニカルもいろいろ試しましたが、結局 MACDとRSIでの「勝率」が高かったように思います。
編集部:- MACDとRSIの見方はどのようにして覚えられたんでしょうか?
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Mさん: - 自分で調べて学習しました。FXの口座を開いて、取引用のアプリをいろいろといじったときに、トレンドやテクニカルはほとんど意味が分からなかったので、まずは自分で調べてみたんです。
スマホはFX初心者に向き
編集部:- そうしたテクニカル分析もスマホでされているのですか?
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Mさん: - 売買も分析も全部スマホですよ。
編集部:- そうなんですね。タブレットも使わずに、スマホだけですか。やりづらくないですか?
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Mさん: - スマホ画面は小さいので、確かにやりづらさは感じます。ただ、チャートはざっくりと見る程度なんで、そこまでのわずらわしさはないですね。
編集部:- 初心者もスマホで大丈夫ですか?
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Mさん: - 短期トレードをする人って、パソコンのモニターを3面、4面と並べて、いろんな指標を表示させているようなイメージがあるから、初心者の人は「FXって難しそう」と思うかもしれませんよね。でも、私の一日のアプリの使用時間は平均10分です。1回の取引に必要な時間は5秒とか10秒とかです。相場をぱっと見て、「やるのか」「やらないのか」を判断するというシンプルなやり方ですから。それができるのは、すぐに取り出して、アプリが開けるスマホだからなんです。
編集部:- そんなにトレード時間が短いんですか!
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Mさん: - PCにずっと張り付いていると、かえって難しく感じてしまうと思うんです。初心者はスマホを使ってシンプルに、まず1ロットからやってみて、成功体験を得るところから始めるのがいいんじゃないでしょうか。
マネ育PickUp編集部より
約8カ月間で1200万円超えの利益をあげているMさん。その取引がスマホだけで、しかも1日わずか10分間という超短時間トレードで達成されていたことにすごく驚きました。それを実現させているのがMさんのマイルールです。感情を排し、MACDとRSIのサインや数値だけで売買をしていたからです。とはいえ、Mさんも人間です。投資に絶対はありません。失敗したときに動揺しないのでしょうか?後編では、さらに詳しい投資手法やMさんの投資哲学に迫ります。
(後編に続く)
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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