“円安のお墨付き。”

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世の中はゴールデン・ウイークで、各地の行楽地は人で一杯らしい。

今日2日と金曜日6日に休みを取れば10連休となり、正にゴールデン・ウイークであるが、為替市場はそんなものは関係無く動く。

今朝の東京市場でも早朝に130.29の高値を付けた後129.62まで急落するなどして神経質な動きを見せている。

先週日銀の政策決定会合が開催され、ほぼ毎日指値オペを行う事を公表した。

政府筋からの“悪い円安論”を意識して、このスピード違反気味とも言える円安進行を抑える為にイールド・カーブ・コントロール政策の手法の見直し(現在の0.25%の変動幅を拡大してある程度の長期金利の上昇を容認する。)があるのではないかとの憶測が市場には有ったが、ものの見事に裏切られた。

これは日銀が円安阻止よりも金利上昇抑制の政策を一段と強固にしたものであり、まあ日銀から更なる円安進行のお墨付きを貰った様なものだ。

更なる円安進行は必定であろうか?

115円近辺でのレンジ取引が終了して120円、125円の大きな節目をブレークし、現在130円をはっきりと上切るかどうかの瀬戸際であるが、130円、或いは135円、140円のラウンド・ナンバー(0や5などの切りの良い数字)で止まるかどうかの議論は余り意味は無いのかも知れない。

先日のプロの投資家・ディーラーの連中との会議でふと出た、“ドル・円のFair value.(適正値)が分からないのであれば、150円とか160円とかって事も考えられますか?”との素朴な質問も滑稽どころか、その可能性については否定は出来ない。
(それが起きるのは今日、明日の事ではなく数ヶ月先、或いは来年辺りかも知れないが..)

今年に入ってからのドル・円相場の週足・ローソク足・チャートを見ると、今週を含めて9週連続で陽線(終値が始値よりも高い。)を示して、まるで芸術品の様だ。

この移動平均線を見て、明らかにトレンドに逆らうことになる“ドル売り&円買い。”に走るディーラーは居ないであろう。
      
短期的な動きで利益を追求する個人投資家やヘッジ・ファンドなどの所謂投機筋(Speculator.)は恐らく間違いなくドル・ロング、円・ショートのポジションを持っていると考えられる。
シカゴ・IMM.や我が国個人投資家が然り。

彼らはあるレベルに達すると保有しているポジションの反対取引を行って利益を確定させる。
3月からの急激なドル上昇局面でも125円、128円、そして130円などの節目節目で彼らの利食いが出て、ドルは時々反落する。

その折々のドルの下げを待っているのが、ドルを買いそびれた、或いはドルを買わなくてはならない輸入筋などの実需である。

ドルが下げたところは彼らのドル買いが出るので週足で見ると結局、ドルはなだらかに(結構急かも知れないが。)上昇する。

そして今回は日銀からの“ドルを買いなさい。”とのお墨付きが出たのだからドル買いに拍車が掛かっても不思議ではない。

為替相場は需給で動き、需要が多ければドルは買われて上がる。
逆に供給が多ければドルは売られて下がる。

自分なりに市場の現在のポジションを推量してみると、
-個人投資家やヘッジ・ファンドなどの所謂投機筋はドル・ロングであるが、日銀政策決定会合、日本のゴールデン・ウイーク、そして今週開催されるFOMC.を前にして相当ポジションを軽くしている。
潜在的なドルの買い手。

-実需の輸出筋。
120円、125円、128円、そして130円で随分先までドルの売りヘッジを行っていて、もう売る弾は無い。
コロナの影響で輸出が減少して過去にヘッジした分の売り予約を買い戻さざるを得ない業者も居る。
現時点では為すべきことが無くて需給にはニュートラル。

-実需の輸入筋。
原材料・エネルギー価格の上昇で支払額が益々増える一方で円安が進み、今一番苦労している業種が輸入業ではなかろうか?
そしてその反動が消費者価格上昇となって我々庶民に多大な影響を与えている。
“円安は我が国経済にとってプラスである。”と言いのけるお方は庶民感覚をお持ちでないのだろう。
安いレベルで手に入れたオプションがノック・アウトされてスポットで手当てせざるを得ない状況が続く。
潜在的な大きなドルの買い手であることは間違いあるまい。

-財務省によるドル売り&円買い介入。
先週も述べた様に、これは甚だ難しい。
介入が行われれば4円~5円くらいのドル下げが起きるかも知れないが、これはドルの絶好の買い場となろうか?

と此処まで書くと目を瞑ってドルを買っておけば良さそうであるが、移動平均線とは違う買われ過ぎ、売られ過ぎを示すテクニカル分析のRSI.、ストキャスティクス、MACD.などは軒並み“買われ過ぎ”のサインを出してドルの売り推奨を出している。

また一旦ポジションを軽くした個人投資家やヘッジ・ファンドなどの投機筋は今日再び130円を割ったところでドル買いを行ったと見られるが、このポジションは我々が言う“Weak position.”(持ち値の悪いポジション)で50銭~60銭逆に行くと切られる傾向にある。
そしてこれは短期的なドルの下げを加速する。

基本的な戦略としては中長期的なドル上昇を期待してドル・ロングを保持しながら、下がったところでは買い増せるようなポジション、或いはリスク管理を行いたい。


今週のテクニカル分析の見立てはドルの買われ過ぎを警戒しながらも128円を下切るまではドル・ロングを保持。

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