「FX取引は利益を出しやすい投資だ」と断言するIT企業役員のTさん。その言葉通り、2021年8月からの約6カ月間で400万円超の利益を実現しています。毎日わずか1時間の取引で「毎月30%の利益」という目標はどうすれば実現できるのか。後編ではより具体的な取引手法について、Tさんにお話をうかがいました。
年齢性別 :40代男性
職業 :情報関連IT企業役員
FX取引歴 :1年
収支 :約6カ月間(2021年8月〜2022年2月取材申込時点)で400万円超
トレードスタイル:デイトレード、スイング
投資商品 :FX、株
趣味 :三味線
▼目次
1.通貨分散、メインに傾斜配分
2.将来を予想しながら分析
3.1日1時間の副業ゆえに効率を求める
4.2つの損切りルール
5.チャートは常に確認できるように
6.利益確定は3,000円で
7.FX取引は本当に楽しい
8.FXは国際と経済ニュースだけで十分
9.高望みせずに安定した数字を
10.初心者はデモトレから
通貨分散、メインに傾斜配分
編集部:- レンジ幅の中央でベースとなるようなポジションを持ち、どちらに動いても利益が取れるようにしながら、別ポジションで、ベースポジションの損益をカバーする手法は、実行できるかどうかは別にして、FX初心者にも”ため”になるような考え方だと思います。それ以外にはどのような戦略をお持ちですか?
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Tさん: - 通貨分散ですね。
編集部:- Tさんは現在、ドル/円のほかに、ポンド/ドル、ユーロ/ドルも取引されていますよね?
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Tさん: - 私は基本的にそれらの通貨ペアで2本を走らせます。ただ、最近はポンド/ドルが動かないですね(取材時2022年2月15日)。だから、複数の通貨ペアでポジションは持っておいたほうがいいと思っています。かつ、その複数で運用資金を分けて考えます。同一金額でポジションを持ってもいいのですが、「これは」と決めた「本筋」には多めに資金配分するようにしています。
編集部:- なるほど、本筋でない通貨ペアはリスクヘッジや逆張りで使う考え方ですね。ヨーロッパ各国の通貨は対ドルだと同じような動きをしますから、逆張りしておけば、ユーロが上がればポンドも上がるみたいなところがありますよね。相場を幅広く捉えるということですか?
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Tさん: - 相対的に動きを見るということですね。米ドルと日本円だけではなくて、私の通貨ペアは、現在3つですが、この3つの通貨ペアの動きを相対的に見るようにしています。
将来を予想しながら分析
編集部:- 本業をお持ちですから、FX取引に費やせる時間は、1日最大で1時間程度ということですが、複数の通貨ペアで運用するには、それなりに時間がかかると思うのですが、一日わずか1時間でそれぞれの通貨ペアを分析し、売買するためのコツがあれば教えてください。
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Tさん: - 常に将来を予想しながらやるということですかね。「こう動くだろう」という仮定を立てておきます。「このあたりのこのタイミングで相場は動く」「この時間はこれくらいのレートになっているんじゃないかな」というように予想を立てます。
編集部:- 予想による前提があるから効率よく分析できるようになるということですか?ちなみにどのようなテクニカル分析を使っていらっしゃるんでしょうか?テクニカル分析にはいろんな種類があります。
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Tさん: - テクニカル分析はまったくしないですね。私はそもそもFX取引のプロではなく初心者ですから、テクニックなんてないんですよ(笑)。そんなに難しいことをしてしまうといいことないと考えている位です(笑)。実は、私はチャートに移動平均線すら出していません。きっと便利で分かりやすいんでしょうけれど、私には邪魔だから。
1日1時間の副業ゆえに効率を求める
編集部:- FX初心者がテクニカルの本をたくさん読んで、実際に使ってみて、結局うまくいかなかったっていう話はたくさん聞きます 。
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Tさん: - もし私が本業としてFX取引をやっていたならば、話は違ってきます。でも、現在FX取引は私にとって1日に1時間の副業なんです。本業でやるなら、もう少しチャートに張りつくでしょうね。FXって本当に”仮想的”な動きをするから、人によっては、楽しくてやめられなくなっちゃうと思うんです。しかし、あくまでも副業なんだから、目標を立てて、効率よく取引する。その目標を修正しながら取り組む。そういうのがいいんじゃないかと思います。
編集部:- ちなみにレバレッジはどのくらいですか?
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Tさん: - 25倍ですね。株式と比較したときに、レバレッジが使えることが最大のメリットですからね。昔は100倍くらいでやる人も多かったですよね。今になって考えると、さすがにそれは怖いなと思いますね。20倍程度がちょうどいいかもしれないですね。
2つの損切りルール
編集部:- 「損切り」されることに抵抗感はありますか? それとも、Tさんのようなしっかりとした戦略があれば、平常心で損切りできるものですか?
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Tさん: - 基本的に損切りはしたくありませんが、抵抗はないですね。
編集部:- 損切りするときの決めごと等はありますか?
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Tさん: - まず2週間以上、保有ポジションの赤字が続いている場合です。それと、これ以上は相場のレートが落ちないはずなんだけれど、落ち続けているから「売り」ポジションを持ったら「もっと落ちちゃった」というときには、赤字ポジションの方は損切りしますね。
編集部:- 金額が大きくても、予測と違ったら損切りされますか?
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Tさん: - そうですね。今の相場なんか、その状況が続いているんですよ。なかなか戻らないんです。だったら買えばいいんですが、25倍近い高レバレッジなんで、買える量が限られてしまっている。注文を出すと、もう動けないので、仕方なく損切りみたいなところはありますね。
チャートは常に確認できるように
編集部:- トレードする時間帯は決めていますか、それとも相場に合わせていますか?
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Tさん: - 特に決めていません。ただ、よく相場が動く日本時間の夕方から23時まではチャートを確認しますね。そのときにエントリーのタイミングがあったら取引します。チャートが動いたかどうかがすぐに分かるように、目に入るところにモニターは置いて、いつでも見える状態にはしています。
編集部:- 今後、取引量を増やしたり、投資金額を増やしたりする計画はありますか?
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Tさん: - リスクは高まりますが、増やしたほうがいいと思っています。ただ、あまりやりすぎもよくないので、限度は決めてやりたいと思っています。
編集部:- ちなみに注文は指値、ストップ、時間指定など、アプリであらかじめ出せる機能もありますが、そういう注文方法は使われますか?
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Tさん: - やっぱりどこまでいっても相場って”ナマモノ”じゃないですか。予想していたとしても、何があるかわからないので、私の場合はリアルタイムで相場レートを見て、リアルタイムでエントリーしたり、決済したりという成行注文が基本ですね。
利益確定は3,000円で
編集部:- 利益確定のタイミングや金額の基準はありますか?
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Tさん: - 月60万円の利益を上げようと思ったら、1日に3万円の利益が必要です。そのためには、私のロット数だと、1日に10回くらい取引をしないといけないんです。だから、単純計算すると、3,000円の利益を上げればいいことになります。つまり、1ポジションの取引で利益は3,000円という基準を決めています。
編集部:- 目標の3,000円に達しない場合、そのポジションを、そのまま翌日に持ち越されるんでしょうか?それとも、利益は足りないけれど、利確されるのでしょうか?
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Tさん: - 持ち続けますね。ただあまりにも長くなってしまうと、いったんリセットして、もう一度始めるようにしています。そのほうが気分転換になりますから。
FX取引は本当に楽しい
編集部:- FX取引をやっていて、つらいと思ったとき等はありますか?
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Tさん: - あまりないですが、やっぱり損をしたときは、ちょっとそういう気持ちになりますね。でも、そんなに気にしません。
編集部:- FX取引は楽しいですか?
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Tさん: - ある意味でFX取引は遊戯性があるものだと私は感じています。だからやっぱり楽しいですよ。自分にとってFX取引は基本的に楽しいものですね。
編集部:- もっとクールな回答をされるかと思いました・・・ちょっと意外でした。具体的にはどんなところが楽しいのでしょうか?
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Tさん: - 必ず結果が出るところが楽しいんでしょうね。それと、予想を立てて、頭で描いた通りに相場が動いてくれると物凄く気持ちいいですね。
FXは国際と経済ニュースだけで十分
編集部:- なるほど。
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Tさん: - それ以上にFXを再開してよかったことは、私はもともと世界情勢について記事を読んだり、考えたりするのが好きだったので、それがさらに分かってきたように思えるところですね。国際社会と経済の動きが連動しているということを、体感しながらより深く理解できるようになってきていると日々感じています。
編集部:- FX初心者の中には、「そう言われても、ニュースはどこの何を見ればいいの?」と悩んでしまう方もいるかもしれません。どのようなニュースをチェックされているのか、教えていただけますか?
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Tさん: - それ程、難しく考えずにYahoo!ニュースの「国際」と「経済」だけで十分だと私は思いますよ。
高望みせずに安定した数字を
編集部:- FX取引での楽しさや悩みなどを他人に相談できない、と悩んでいる初心者の方もいるようです。Tさんはいかがですか?
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Tさん: - 仕事を一緒にしている人たちの中には、投資に対して良くないイメージを持っている人もいますから、基本的には私も話さないですね。ただ、数名の仲のいい人たちにだけは、たまに伝えたりしますが。それでもあまり深い話は私もしていませんね。
編集部:- そうなんですね。ところで、今後の目標はありますか?
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Tさん: - 今後もこのまま安定運用ができればいいと思っています。特に大きな利益が欲しいわけでもありませんので。あまり高望みせず、毎月、毎年、同じ数字を上げていくことが目標ですかね。
初心者はデモトレから
編集部:- さて、最後の質問です。FX初心者の人から「私もFXをやったほうがいいですか?それとも、やらないほうがいいですか?何かアドバイスをください」って言われたら、Tさんはどう答えますか?
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Tさん: - そうですね〜。まず「やめたほうがいい」って言いますかね(笑)。FX取引は本当に楽しいのですが、やっぱり失敗している人が多い世界だと思うので「確率的には失敗する可能性が高いよ」と、まずはストレートに言いますね。
編集部:- 「どうしてもやりたい」って言われたら?
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Tさん: - 「目標を立てて、無理をせずにやってください」と伝えますね。それと、「もし始めるなら、最初にデモトレードを半年くらいやったほうがいいよ」ということ付け加えます。デモトレを半年くらいやっていると、FX取引が自分に合っているか、合っていないのかが分かるじゃないですか。半年やってもダメな人は、FX取引が向いていないんでしょうね。
編集部:- なるほど。FXを始めたい人は、デモトレで適性の確認と練習ということですね。本日はどうもありがとうございました。
マネ育PickUp編集部より
統計や確率論でFXを捉えているTさんだけに、テクニカル分析を駆使しているのではないかと思っていましたが、テクニカル分析はまったく使っておらず、移動平均線もチャートに出していないという回答に、私たちは少なからぬ驚きを覚えました。Tさんの場合は、むしろ仕事で身につけた国際ニュースを読み解く力から、相場動向の背景を推察し、大きな流れを掴んでいることが、約6カ月間で400万円超の利益という素晴らしい成績をもたらしているようです。また、「難しいことはしない」「損切りに抵抗はない」「取引は楽しい」「利益が出なくてもいい」と、悩むことなく即答できるようなところも、ミスを深追いせず、むしろ好成績をもたらす要因のように思えました。
【前編】
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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