“暫く地政学的リスクは落ち着くか?”

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注目のFOMC.が終わり、市場はタカ派的な内容と解釈して素直にドル高で応じたが、米国10年債利回りは多少下がり、ニューヨーク株式市場3指数は金曜日に大幅に上昇して引けると言う様々な反応を見せた。

FOMC.では,
-テーパリング終了後の3月のFOMC.から利上げを開始する。
-1回に0.5%の大幅利上げや5月のFOMC.での連続利上げを否定するものではない。
-毎回のFOMC.での利上げの可能性も排除せず、QT.(Quantitative Tightening.)=量的金融引き締めを開始する。
などが決定され、市場の大方の予想通りとは言え思ったよりもタカ派的な内容であったと言えよう。

これを受けて市場の一部では年内の利上げ回数を5回~7回と考える者も出始めた。

週末に向かっての長期金利下落と株価上昇は週末及び月末に向かっての買戻し(債券価格は上昇=利回り下落、そして素直に株価は上昇。)が起きたものと思われるが、更なる米国金利上昇期待と地政学的リスク(特にウクライナ情勢)が存在する中、この現象が長続きするものとも思えない。

ウクライナに於いて、ロシアが国境沿いで軍を増強させていることに対してNATO.(北大西洋条約機構)も欧州東部へ戦艦や戦闘機の配備を強化しており、緊張が高まるばかりだ。
米国務省は在ウクライナ大使館職員の家族に出国を命じ、米政府職員の自主的な出国を認め、米国民にも国外退避を検討すべきと伝えた。

正に一触即発の危機にあると言っても過言ではないが、2月4日から20日まで開催される北京オリンピックの最中は武力行使をしないでくれと中国がロシアに対して要請したと言う情報が有る。

台湾問題については以前からオリンピック期間中、中国は目立つ行動をしないと言われてきたが、ここでウクライナでもしばしの小康が続くようであれば、束の間とは言え暫く地政学的リスクは落ち着くと見て良いかも知れない。

咄嗟にリスク・オンの言葉が頭に浮かぶが、株が買われて債券、ドル、そして円が売られると言う単純な動きになるとも思えない。

ドル・円に関しては113.50のサポート・レベル(下値支持線)を破れず、逆に115.00のレジスタンス・レベル(上値抵抗線)を上切って更なる上昇が期待される。
但し、多少の落ち着きが期待されるものの依然として大きな地政学的リスクとされるウクライナ問題が存在する限り、思い切ってドル・ブル(ドルに対して強気)になるのは難しい。

ドルの高値掴みは慎みたい。


ところで、ドルに強気になれないもう一つの理由はバイデン大統領の益々低下する支持率の行方である。
アメリカ国民は物価高にいら立ちを隠せず、これが支持率低下の大きな要因であるが失言癖のあるバイデン大統領がまたやらかした。

先ずはウクライナ問題で,“ロシアがウクライナに小規模な侵攻をした際に欧米は難しい対応に迫られる。”と言ってあたかも小規模な侵攻を容認する様な発言をして物議をかもしたが、先週ホワイトハウスでの定例記者会見でバイデン政権に批判的なFOX.ニュースの記者が“11月の中間選挙でインフレは問題になるか?”と質問したら、どうやらマイクのスイッチが切れていると思って、“No, it’s a great asset. More inflation. What a stupid son of a bitch.”=(いや、素晴らしい財産だ、さらなるインフレ。何て馬鹿なくそ野郎だ!)と言い放った。
下品な言葉で恐縮であるが、これが正に現職のアメリカ大統領が呟いた言葉なのだ。

“son of a bitch”は常識あるアメリカ人は決して発しない下品な言葉だ。
物凄く親しい友人同士で、例えばゴルフをやっていてこのバーディー・パットを入れれば逆転だと思っていて本当に入れたりした時に、“こいつ、本当に入れやがったな。参ったなあ。”などと言う時に、“You, son of a bitch!”など言う時が有るが、 これは“うひゃあ、参ったなあ。本当に入れやがった。”と言う意味で、下品でもなくむしろ褒め言葉である。

アメリカ大統領が記者会見でこんな言葉を言ってはいけない。

どうも支持率低下でイライラが募っていらっしゃる様であるが、秋の中間選挙は大丈夫かいな?

矢張り、野放図にドルは買えない..



今週のテクニカル分析の見立ては先週上値抵抗線の115.00を上切って更なる上昇を目指す。
かと言って先週見られた様な2円の上昇は見込めない。
下値は114.20を切ったら要注意。

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