“市場のセンチメントの変化?”

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先週初115円台ミドルから始まったドル・円相場はじりじりと値を下げ、115円を切ると損切りのドル売りとも相まって安値113.49を示現した。

一時1.8%台を付けた米国10年債利回りが1.700%まで下げたこともドル下げの大きな要因の一つであろうが、もう一つ我が国10年債(JGB.)利回りが昨年末の0.055%から一時0.150%まで上昇したことも忘れてはならない。

日米金利差に敏感なドル・円相場が(1.800%-1.700%)+(0.150%-0.055%)=0.195%金利差が縮小したことはドルが売られて円が買われる事に大いに影響を与えたことであろう。

そして何よりも市場がドル・ロングに傾いており、この急なドル下落&円上昇に慌てて損切りを行った点もドルの下げに拍車を掛けたことは疑い有るまい。

シカゴ・IMM.は依然としてドルに強気で、先週火曜日時点(ニューヨーク終値115.28)で円の売り持ち(ドルの買い持ち)を25,263枚増やしてネットで87,525枚(ドル換算で約95億ドル相当の買い持ち。)しており、また我が国個人投資家は同じく先週火曜日時点で先週のレポートで述べた様に約3億ドルの売り持ちからドテンして約5億ドルの買い持ちに転じていた。

年初から市場はドル金利上昇=ドルの上昇の大義名分の下、ドルに対して“買い気満々”であった。

シカゴ・IMM.は悠々と円の売り持ち(ドルの買い持ち)を増やし、一旦116円台でドルの買い持ちを利食ってドルの売り持ちに転じた我が国個人投資家はドル・円相場が115円台のLow.に戻ったことを喜んで、思った通り再びドルの買い持ちに転じた。

要するに日米金利差が縮小する中、ドル・円相場は115円を割ってじりじりと値を下げたが、その間シカゴ・IMM.と我が国個人投資家はドル・ロング(ドルの買い持ち)であったのである。

我々がよく言う所の、“The market was caught long.”=(市場はドル・ロングで捉まった。)であったことになる。

先週はブラックアウト(FOMC.を前にしてFRB.高官が発言を控える。)を前にしてFRB.高官によるタカ派的(金融引き締めに積極的)な発言が相次ぎ、米国10年債利回りは1.793%まで大きく上昇し、ドル・円相場も114円台を回復したが頭は重い。

ところで永らく市場の関心から取り残されていた我が国10年債(JGB.)利回りがあれよあれよと言う間に上昇したが、もし市場が日銀による今までの超緩和金融政策からの政策変更を嗅ぎ取ってのものであれば事は重大である。
黒田日銀総裁はデフレ脱却と景気回復を目的とする大胆な緩和政策を続けたが、少なくとも我が国の消費者物価指数には変化が見られ、+0.5%であった11月のコア・消費者物価指数は携帯電話の通信料の大幅値下げ分を差し引くと実質は+2.0%だったと言われている。
この通信料の大幅値下げ分は3月からは反映されなくなり、3月以降の我が国の消費者物価指数は2%に近いものとなると言う意見が多い。
身近を見回しても、ガソリン価格、食品価格、その多くの物の値段が顕著に高くなっている事を感じる。

今日から明日に掛けて開催される今年最初の日銀政策決定会合で、もし政策変更を匂わせる様な事が有れば思わぬ円高になることも有り得る。
逆に何も無ければ10年債(JGB.)利回りは下がり、再びドル高&円安のトレンドに戻るかも知れない。


今週のテクニカル分析の見立ては115円を切ってからのドル・ショートを継続して再び113.50狙い。
115.50を上切ったらドル高注意。

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