“FOMC.を終えて。”

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年末に向けて、最大のイベントと目されたFOMC.が終わった。

先週はFOMC.以外にも日、欧、そして英国の主要国の中央銀行による政策決定会合が開かれた。

日本銀行は17日の金融政策決定会合で新型コロナウィルスに対応した資金繰り支援策の縮小を決め、コマーシャル・ペーパーと社債の計20兆円を上限とする買い入れを2022年3月末の期限通りに終える一方、金融機関に有利な条件での貸し出しの原資を供給する特別オペ(公開市場操作)を9月末まで延長するとした。
黒田総裁は会合後の記者会見で“金融緩和を粘り強く続ける。”と述べて緩和政策からの脱却を目指す他の中央銀行とのスタンスの違いを明確にした。

英国のバンク・オブ・イングランドは市場の大方の予想を裏切って政策金利を0.10%から0.25%へと引き上げた。
先月の会合で利上げ予想を裏切られた市場は驚き、ポンド買い(対ドルで1.31から1.33台へ上昇)で応じたが週末に向けては再び下げ(1.32台のLow.)に転じて年末特有の参加者減少から来る流動性減少、そしてボラティリティの増加と言う動きを見せられた。

欧州のECB.理事会では、こちらも英中銀同様にサプライズとなった。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP.)の3月終了を再度確認したが、ECB.はPEPP.終了後の第2四半期に従来からの資産買い入れプログラム(APP.)の購入ペースを現在の月200億ユーロから400億ユーロに拡大すると発表し、具体策の表明は来年と見ていた市場は驚きで迎えたがユーロへの影響は限られたものであった。

そして注目のFOMC.であるがテーパリング(量的緩和縮小)の加速を決め、終了時期の想定を2022年6月から3月へと前倒しし、2022年中に計3回の政策金利の引き上げを行い、2023年にも3回、そして2024年には2回と3年間で計8回の利上げを想定すると言う、極めてタカ派的な決定となった。

興味深いのはこのFOMC.のタカ派的な決定にも拘わらず為替市場ではドル買いには繋がらず、ドル・円相場は114.26の高値を付けた後伸び悩み、その後は113円台ミドルで比較的落ち着いた動きを見せている。

そのドル・円相場も金曜日には米国長期金利の下げと共に113.70から突然113.15まで下げ、そして又急激に113.70まで戻すと言う不安定な動きを見せており、これらも矢張り“年末特有の説明の出来ない動き。”と見ても良かろうか?

何度も述べたが、今年最後のイベントとも言える日、米、欧、そして英国の中央銀行による政策決定会合が終了し、市場参加者は益々減っていくものと思われる。
それに伴って、当然市場の流動性は減って反対に市場のボラティリティは増加する。

今は大きなリスクを取る時期ではないと心得る。

ご参考までにシカゴ・IMM.は徐々に円の売り持ち(ドルの買い持ち)を減らしつつあり、12月14日現在でネット53,523枚の円の売り持ち(ドル換算で約51億ドルの買い持ち)となっている。

そして我が国個人投資家は同じく12月14日現在で約17億ドルのドルの買い持ちポジションを保持しており、114円越えでは利食いのドル売りに出る可能性が高いと思われる。

今週のテクニカル分析の見立ては114.30を越えるまでは戻り売りで、下サイドは113.10を越えるまでは戻り買いで、これを切ったらドテンしてショートに転じる。
まあ、所詮は113.00~114.50のレンジであろうか?

年末の特殊なフローに注意したい。

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