総括
FX「何があっても通貨最強、貿易増加、世界は中国と対立するが離れない」人民元見通し
(通貨首位 株価12位)
予想レンジ 人民元/円 17.7-18.2
(ポイント)
*静かなる最強通貨、年初来12.85%高
*11月の輸出と輸入は予想を上回る伸びとなった
*人民銀行は、銀行の預金準備率を引き下げた
*22年の経済成長率目標は今年を下回る「5%超」
*米英豪加は北京オリンピックを外交ボイコットする
*人民元は政経のボラティリティとは関係なく管理された変動相場である
*李首相は景気減速を示唆
*米駆逐艦は台湾海峡を航行
*石油備蓄放出では米中が協調
*中国の強さは将来米国のGDPを追い抜く自信からか
*不動産税の導入開始
*3Q・GDPは減速 4Qは回復の見込みと首相は示唆
*外国勢の中国国債保有が急増
*国内の規制、統制強化が目立つが、対外経済開放や米中関係改善の動きもあり
*TPPに加盟できるか
(静かなる最強通貨)
静かなる最強通貨、12月8日終値の17.92で年初来12.85%高だ。米中経済対立、台湾問題、香港問題、新疆ウイグル自治区での人権問題、オリンピックボイコット問題、テニスの彭帥選手問題などなど世界が中国と対立する問題は数限りなくあるが、世界は中国との貿易取引を増加させている。
(11月貿易収支、過去最大。米国向けも好調)
11月の輸出と輸入は予想を上回る伸びとなった。年末商戦を控えて外需が旺盛だったほか、電力不足の緩和で国内生産も持ち直し、輸出と輸入はいずれも過去最大を記録した。
輸出はドル建てで前年同月比22%増の約3260億ドルと、過去最大。10月は27.1%増、予想は20.3%増だった。
輸入は前年同月比31.7%増の約2540億ドル。前月は20.6%増、予想は21.5%増加だった。貿易収支は717.2億ドルの黒字。
新型コロナウイルス禍を通じて堅調だった中国製品への世界需要が引き続き力強いことを示した。新型コロナの新たな変異株「オミクロン」の感染拡大が深刻化し、他国が再びロックダウンに踏み切れば、防護用品や在宅勤務関連用品などを中心に中国製品の輸出を支える可能性が高い。
11月の輸出先で最大は米国で、EUとASEANが続いた。対米輸出は今年1-11月期に28.3%増加した一方、米国からの輸入は同期間に36.9%伸びた。
(金融緩和)
人民銀行は、銀行の預金準備率(RRR)を12月15日から0.5%引き下げると発表した。引き下げは7月以来今年2回目。新型コロナウイルス流行が続く中、減速する景気の押し上げに向け1兆2000億元の長期流動性を供給する。
人民銀行によると、今回放出される資金の一部は中期貸出制度(MLF)融資の返済に充てられる見通し。「洪水のような」金融緩和には頼らないスタンスを改めて示した。
人民銀行は、放出された資金が、特に中小企業など実体経済の支援強化に積極的に活用されるよう金融機関を指導すると表明。
(22年の経済成長率目標は今年を下回る「5%超」)
中国政府のシンクタンク、中国社会科学院は、22年の経済成長率目標を今年を下回る「5%超」とすることを政府に提言した。これにより構造改革を進める余地がでることになる。 習近平国家主席は内外の経済状況は依然複雑で、来年の第20回党大会に向け総合的な社会の安定をを維持する方針を示した。その上で、改革と開放を深化するとし、質の高い開発を促進すると述べた。
(偶発的な衝突)
台湾海峡などをめぐって米中の対立が激しさを増す中、米国防総省は中国の防衛当局との間で実務者レベルの協議を行った。両国の偶発的な衝突が起きないよう防衛当局の間で対話を重ねるねらいがあった。先月、米国は核弾頭の保有など中国が急速な軍備増強を進めていると分析した報告書を公表していて、協議ではこの内容をめぐって意見が交わされた。さて偶発的な衝突が起きればどうするのか。リスク回避で円を買うより、距離的に離れたスイスのフランを買うべきか。
(中国恒大)
巨額の債務を抱えて経営難に陥っている中国の不動産大手「恒大グループ」は、国外の債権者との間で債務の再編を協議する方針を明らかにした。本社がある広東省の地元政府は作業チームを派遣すると発表し、影響の拡大を抑えたいねらいとみられる。
恒大が発行した社債の保有者が7日時点で6日期限の利払いを受け取っていないことが分かった。2022年11月満期債と23年11月満期債の半年ごとの利払いが行われず、金額は合計8249万ドルという
(オリンピックボイコット)
米国は来年2月の北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」を発表した。中国による新疆ウイグル自治区などの人権侵害に抗議する狙いがある。
中国の在米大使館の報道官は米国の外交ボイコット表明を受け、「こうした思い上がった行為は政治的な操作でしかなく、オリンピック憲章の精神を著しく歪める」と非難。「米国の政治家に招待状は全く送られていない。このため『外交ボイコット』にはそもそも根拠がない」と述べた。豪、カナダ、英国も追随した。
テクニカル分析(人民元/円)
雲の上限から反発
日足、 ボリバン2σ上限から反落、2σ下限近く、雲の上限で反発。12月7日-8日の上昇ラインがサポート。11月26日-12月8日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。
週足、10月18日週にボリバン3σ上限に到達し一服膠着。11月8日週-29日週の上昇ラインがサポート。11月22日週-29日週の下降ラインを上抜く。
月足、ボリバン2σ上限到達。9月-10月、1月-9月の上昇ラインがサポート。雲の上。
年足、11年-20年の上昇ラインがサポート。18年-19年の下降ライン上抜く。 16年-18年の下降ラインも上抜く。
チーファンラマ
香港、海外移住で生徒急減 1年で中高生4500人退学
香港で海外移住の流れが止まらない。英国が香港人向けに創設した特別ビザの申請は9月末時点で約8万9千件に達した。教育環境を悲観した子育て世代の移住希望が多く、この1年で中高生4500人近くが退学した。香港国家安全維持法(国安法)の影響が教育現場に広がっている。
林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、現役教師らを集めた会合で、若者が香港の位置づけを正確に理解していないのは教育者の責任だと強調した。多くの若者が19年のデモに参加したのは教育システムに問題があったためだとして、教育現場への統制を強める。
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