▼今週の振り返り…
▼インフレは加速しそうだが…
▼やっぱり感染爆発…
▼ユーロドル売りサイン点灯、ユーロ円も?
▼11/15 週のイベント
インフレ率が良くても、経済見通しは悪化…?
今週の振り返り…
ドイツの景気減速に底入れの兆しが見え始めたことや、米国の次期FRB議長を巡る思惑から週初はドル売りが優勢。ユーロドルは一時1.16ドル台を回復するなどしました。しかし、10日に発表された米消費者物価指数(CPI)が予想を大幅に上回ったことで米国のインフレ期待が高まりドル全面高の展開に。ユーロドルは節目となる1.15ドルを割れると1.14ドル台前半まで下落。年初来安値を更新し、昨年7月以来の水準まで下落しました。
インフレは加速しそうだが…
16日に7-9月期の域内総生産(GDP)、17日に10月消費者物価指数(HICP)の改定値がそれぞれ発表されます。
先月29日に発表されたそれぞれの速報値では、HICPは前年比+4.1%と市場予想(+3.7%)や前回(+3.4%)を大幅に上回る結果となり2008年7月以来の高水準、欧州中央銀行(ECB)の目標の2倍の数値となりました。主な要因はエネルギー価格の上昇とサプライチェーン逼迫による価格の上昇となります。サプライチェーンの問題に関しては、世界的にワクチン接種が進み9月末頃から問題も徐々に解消するとの予測もありましたが、最新のZEW調査(9日)では解決はもう少し先(2022年第1四半期)になりそうとのこと。エネルギー価格に関してもこれから冬を迎える北半球でのエネルギー需要が高まること、OPECプラスが追加増産を行わないことなど需給バランスは崩れたままなので当面は高止まりしそうです。そういった面から見てもHICPの改定値もECBの目標(2%)から見ると非常に高い数字になりそうです。
また、GDPに関しても11日に欧州委員会は、新型コロナ対策の規制緩和による経済の急回復と底堅い成長を理由に、2021年のユーロ圏実質GDP見通しを前年比+5.0%に上方修正しました。ただ、懸念点に新型コロナの感染再拡大を挙げています。
やっぱり感染爆発…
ドイツでは今週に入り新型コロナの1日の新規感染者数が5万人を超えて過去最高を記録するなど、欧州では第4波の感染が急拡大しています。世界保健機関(WHO)も欧州各国に対策の徹底を求めるなど警戒を強めています。そのため、10-12月期には7-9月期に急拡大した経済も再び減速するとの見方が大勢。他人の不幸を望みたくはないですが、米国の経済回復が大きな落とし穴にはまったりしない限りは、ユーロは当面弱い通貨となりそうです。
ユーロドル売りサイン点灯、ユーロ円も?
ユーロ/米ドルは11日に心理的な節目となる1.1500ドルを下抜け。約1年4ヶ月ぶりの水準まで下落しています。この1.1500ドル付近は2020/3/22週安値~2021/1/3週高値を繋いだフィボナッチリトレースメント半値戻しの水準でもありましたので、今後は強いレジスタンスとなる可能性があります。それを踏まえて、ユーロ円は10/20からの下落トレンドの継続中。上値目途は日足転換線となりそうです。週後半には雲が急上昇してきますが、非常に薄いため下抜けに要注意。心理的な節目となる130.00円や雲を下抜けると強い売り圧力がかかりそうです。
【ユーロ/ドル 週足、ユーロ/円 日足 一目均衡表】
予想レンジ:
EUR/JPY:128.00-132.00、EUR/USD:1.1200-1.1550
11/15 週のイベント:
11/15 (月) 19:00 ユーロ圏 9月貿易収支(季調済)
11/16 (火) 16:45 フランス 10月消費者物価指数(CPI、改定値)(前年同月比)
11/16 (火) 19:00 ユーロ圏 7-9月期四半期域内総生産(GDP、改定値)(前年同期比)
11/17 (水) 19:00 ユーロ圏 9月建設支出(前年同月比)
11/17 (水) 19:00 ユーロ圏 10月消費者物価指数(HICP、改定値)(前年同月比)
11/17 (水) 19:00 ユーロ圏 10月消費者物価指数(HICPコア指数、改定値)(前年同月比)
11/19 (金) 16:00 ドイツ 10月生産者物価指数(PPI)(前月比)
11/19 (金) 18:00 ユーロ圏 9月経常収支(季調済)
(執筆:中村 勉)
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