“程よい調整か?” 

f:id:okinawa-support:20190819165949j:plain

 

9月第2週となる6日の終値109.84から6週続けて陽線(始値よりも終値の方が高い。相場の上昇トレンドを反映する。)を見せていたドル・円相場の週足チャートが、先週の高値114.69を付けた後下げに転じ、久し振りに陰線(始値よりも終値の方が低い。相場の下落トレンドを反映する。)に転じた。

109円~111円のレンジをこなした後、日米金利差拡大の思惑、原油・LNG.ガスなどのエネルギー価格上昇による輸入総額増大と輸出減退による我が国貿易収支赤字の増加などを主な理由としてドル高&円安が進んでいたが、如何せんそのスピードが速過ぎて多少の調整を期待していたが、正にその程よい調整が起きた感が有る。

ポジション的にはシカゴ・IMM.の投機筋は3年ぶりとなる大幅な円の売り持ち(ネットでのドル換算で約112億ドルの買い持ち)、=潜在的なドルの売り要因。と我が国投資家のドルの売り持ち(約11億ドル)=潜在的なドルの買い要因。とが交錯するが、輸出・輸入の実需筋は先週も述べた様に潜在的にはドルの買い意欲が勝っている。

とは言え115円は2017年以来何度か上切ろうとして失敗した大きなレジスタンス(上値抵抗線)となっており、そう容易くは切れないかも知れない。
但し一旦切れてしまえば、次なるレジスタンスを探りにドル買いが出ると思われ、そのターゲットは118円近辺か?

長期のプレーヤーの利食いのドル売りの他にも、先週磯崎官房副長官が“為替の安定は非常に重要であり、引き続き市場の動向を注視していく。ただ、為替の水準についてのコメントは差し控える。”とのコメントを海外勢は円安けん制と捉えて、ドルを売ったと思われる。

いみじくも先週のレポートで述べた、“このまま円安が進むと米国からよりは我が国の政策当局から、“悪い円安進行”を止める為の円安けん制の発言が出てきても不思議ではない。”との思惑が的中したが、どうやら彼らはそんなに本気でこの114円~115円レベルの円安水準を憂いている節は無い。

先週までの凡そ6週間で5円のドル高&円安のピッチが速いと感じて、“為替の安定は非常に重要である。“との分かり切ったコメントを出したに過ぎないと思われる。

はっきり言って現政権は為替水準を一々気にする余裕は持ち合わせないのではなかろうか?

それは昨日投開票が終わった山口と静岡の参議院補欠選挙の結果から伺える。
保守王国の山口での与党である自民・公明両党が推す候補の勝利は当然であったかもしれないが、静岡での立憲民主党と国民民主党が推す40歳の若い野党候補の勝利は今週末に行われる衆議院選挙の行方に大きな影響を及ばすのではなかろうか?

今回の衆議院選挙は各党ともバラマキを最優先としていて大衆受けを狙っている。
国民の多くがコロナ禍で苦労しており、目先のポピュリズムに目を奪われることは極めて自然であろう。
各党の主義・主張に共鳴するよりも、“取り敢えず、何をやってくれるんだ?”と考えれば、意外に政権与党である自民・公明陣営は苦労する可能性があるのではなかろうか?

静岡での参院補選の結果から鑑みると、自民党が単独で過半数を獲得することは有り得ない。
自民・公明の現与党が過半数を獲得すれば大勢には影響は有るまいが、万が一過半数割れになるようであれば日本株は暴落するであろう。
日本株が下がればリスク・オフとなると考えられるが、円が買われるとは思えない。
株安&円安と言う悪いパターンになる可能性が有る。

選挙は水物。
どうなるか、予断は許さないが、為替に関してはどうも円を買う気にはなれない感が有る。


今週のテクニカル分析の見立ては、久し振りに陰線を見せたという事で下値警戒。
113.30を下切れば112円台のLow.までの下落、逆に113.30をブレークしなければ115円台をトライすると見る。

Buy on dips.=(下がったら買う。)という戦略で臨みたい。

top