先週のレポートでは、“FRB.によるテーパリング開始期待、原油・天然ガス価格上昇による輸入額の増大、我が国自動車メーカーの大幅な生産縮小による輸出額の減少。”などのドル上昇要因に対して、“中国恒大問題やアメリカの債務上限問題などのリスク・オフによるドル安問題。”を挙げて“どうやら時限爆弾(何時ドルが下に破裂するか分からない。)を抱えてドルの上昇を期待すると言う週になろうか?”と述べたが、中国恒大問題は債務に対する利払いが行われていないにも拘わらず小康状態となり、またアメリカの債務問題は12月まで先送りされて時限爆弾は不発となり、ドル・円相場は米国10年債利回りが1.6%台を回復したこととも相まって再び112円台を回復し、2020年2月に付けた112.22の高値を更新し、今日の東京市場ではさらにドルは上昇して2019年4月に付けた112.40を超えて更に上昇中である。
先週金曜日に発表になった米国9月の雇用統計の数字は非農業部門雇用者数が市場予想の+50万人を大きく下回る+19万4千人に留まり、ドル・円相場は発表直後に111.50迄下げたが失業率が前月の5.2%から4.8%へと好転し、また時間当たり賃金上昇率も月ベース、年ベース共に上昇して強弱入り混じった結果となり、市場は11月のFOMC.でのテーパリング開始を妨げるものではないと判断して債券売り(金利上昇)、ドル買いに走った。
原油価格がOPEC・プラスが増産を見送った事を背景に一時1バレル=80ドルを超えたことも、ドル・円相場の上昇に繋がった。
中国恒大問題とアメリカの債務上限問題は完全に解決した訳ではなく、依然として時限爆弾として存在はするが、ドル・円相場はレンジのレジスタンス(上値抵抗線)である111円、112円を次々と上切り、今は上値の目途が見えない。
此方も先週のレポートで挙げた原油・天然ガス価格上昇による輸入額の増大、我が国自動車メーカーの大幅な生産縮小による輸出額の減少などによる我が国の貿易収支の悪化(新型コロナ・ウィルスに対するワクチン輸入対価の支払いも忘れてはなるまい。)による需給の変化も気になるところだ。
2019年、2020年、2021年の高値を更新した今、次は2018年9月に付けた114.54を意識する必要が有るのであろうか?
そう言えば、昔からTrend is your friend.と言う諺がある。
直訳すれば“トレンドは友人である。”だが、実際の意味は“トレンドに逆らうな。”である。
高所恐怖を感じるが、トレンドには逆らわないでおこう。
流石に113円に近付く過程では利食いによるドル売りも出てドル上昇のスピードは落ちようが、Buy on dips.=(ドルが下がれば買う。)のスタンスで臨みたい。
今週のテクニカル分析の見立ては、110.85を下切る迄は買い続行である。