“均衡は崩れるか?”

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先週と同じデータを使わせて頂いて恐縮であるが、ドル・円相場の状況が全く変わっていない。

相変らず109円~111円、もう少し縮めると109.00~110.50のレンジをブレーク出来ないでいる。

先週は自分が勝手に考えていた短期的なレンジの高値110.10を上切ったので110.50~110.60をトライするかと思いきや、110.15が高値。

その後週央になってアメリカの新型コロナ・ウィルスの再拡大と中国の景気減速懸念が重なってリスク・オフの展開となってドルと円が買われ、ドル・円相場は109.12の安値を示現した。

今度は自分が勝手に考えていた短期的なレンジの安値の109.60を切ったので108.70~108.80をトライするかと思いきや、こちらも不発で再び110円台を回復することとなった。

下は6月14日から本日午前中までの週の高値と安値を表している。
      高値  安値
6/14~6/18 110.82 109.62
6/21~6/25 111.11 109.72
6/28~7/2 111.65 110.42
7/5~7/9 111.19 109.54
7/12~7/16 110.69 109.72
7/19~7/23 110.59 109.07
7/26~7/30 110.58 109.36
8/2~8/6 110.35 108.73
8/9~8/13 110.79 109.55
8/16~8/20 110.22 109.12
8/23~8/27 110.26 109.42
8/30~9/3 110.41 109.59
9/6~9/10 110.44 109.62
9/13~9/17 110.15 109.12

9/20~9/21 110.03 109.33

相変らず、“110円台では買うな、売れ。109円台では売るな、買え。”と言う戦略が功を奏しているが、今週になって多少地合いの雰囲気が変わって来ているように感じられる。

そもそも3ヶ月以上もこれだけ狭いレンジ内での取引が続くと、何方かに噴き上がる様なマグマが溜まっていても不思議ではない。

但し残念ながら、それが何をきっかけにして、何時、何方の方向に噴き出すのかは分からない。

今日と明日開催されるFOMC.がきっかけとなるのか?
市場は年内のテーパリング(中央銀行による量的緩和の段階的縮小)を織り込んでいるが、今回のFOMC.で更新されるドットチャート(政策金利見通し)が利上げを急ぐタカ派的(利下げに消極的)な結果となれば、債券は売られて金利は上昇しドル高となろう。
パウエル議長はデルタ株感染拡大への懸念、物価上昇ペースの推移、雇用環境などを見極めたいとしており、またテーパリングと利上げは切り離して考えるべきとのハト派的(利下げに積極的)な慎重な姿勢を崩しておらず、タカ派とのバランスをとるとみられ、FOMC.後の記者会見の内容次第では現在1.3%前後で小康を保っている10年債利回りは多少下げてドル安となるかも知れない。


ところで、東京が敬老の日で休場となる中、週明けの株式市場は中国・恒大集団の債務問題をきっかけとしてリスク・オフとなり、欧米市場で株価は大きく下げた。

昨日、ドイツ・ダックスは-2.4%、イギリスFT.は-0.9%、ニューヨーク市場の3指数はダウが-1.8%、ナスダックが-2.2%、S&P.が-1.7%の大幅な下げを演じ、今朝の東京市場でも日経平均株価が一時668円安の下げを見せた。

中国大手不動産会社である恒大集団の債務問題は今週になって中国政府が20日に期日が来る主要な債権を保有する銀行融資に対する利払いが不能になるとの発表から端を発し、23日に期日が来る社債の利払いも出来なくなるデフォルト・リスクが大きくクローズ・アップされた。

恒大集団は6月現在で33兆円もの債務を抱えており、これは中国GDP.の約2%にも当たる巨額である。

実際に恒大集団が倒産の憂き目に遭えば世界の金融市場に与える影響は大きく、リスク・オフの動きが強まろう。
株価は更なる調整を続け、円が買われる可能性は大きいかも知れない。
昨日も対ユーロ、対ポンド、対豪ドルで大きく円高が進んだ。

一部には中国政府は、恒大集団はToo big to fail.=(潰すには大き過ぎる。)で何らかの救済策を示すと言う楽観論も有る。

テレビのニュースで、恒大集団の本社ビルの前で、“金、返せ!”と泣き叫ぶ一般市民の画像を見たが、果たして中国政府はどうでるか?


もしドル・円相場の109円~111円の均衡が破れるとしたらFOMC.よりもこの中国・恒大集団の債務問題の行方次第かも知れない。

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