相変わらずドル・円相場に動意が見られず先週も高値110.44、安値109.62の82銭の値幅に留まっている。
週央、米国長期金利上昇と共にドルは買われてレジスタンス(上値抵抗線)と見られていた110.10を上切って、ドル上昇に弾みがつくかと思われたがニューヨーク株式市場で3指数共に下落してリスク・オフとなり、ドルと円が買われてドル高&その他通貨安となり、買われた通貨同士のペアーであるドル・円は結局110円を挟んだ静かな展開となった。
6月の第三週からの週の値動きを見ると、6/28から7/2の週を除くと、110円~111円台で売って109円台で買い戻せば非常に上手くいっており、言い換えれば“110円台では買うな、109円台では売るな。” という事になる。
高値 安値
6/14~6/18 110.82 109.62
6/21~6/25 111.11 109.72
6/28~7/2 111.65 110.42
7/5~7/9 111.19 109.54
7/12~7/16 110.69 109.72
7/19~7/23 110.59 109.07
7/26~7/30 110.58 109.36
8/2~8/6 110.35 108.73
8/9~8/13 110.79 109.55
8/16~8/20 110.22 109.12
8/23~8/27 110.26 109.42
8/30~9/3 110.41 109.59
9/6~9/10 110.44 109.62
これを見ると、何だか簡単そうに見えるが何時かも述べたが、実際に売買をしていると110.20を付けると“お、やっと上にブレークしそうだな。”と思って追っ掛けて買い、109.50を付けると“お、やっと下にブレークしそうだな。”と思って追っ掛けて売ってしまうと言う愚行を犯してしまう。
じっとしていられないのだ。
ドル・円相場の膠着の原因の一つはFRB.の金融政策変更のタイミングを測りながら、市場がリスク・オンとリスク・オフを繰り返し、前者であればドルと円が売られ、後者であればドルと円が買われて結局ドル・円相場は両者が拮抗して動かないという事か?
注目のFRB.によるテーパリングであるが、先週ウォールストリート・ジャーナルが,
Fed Officials Prepare for November Reduction in Bond Buying.
(FRB.高官は11月に債券購入を減らすことを準備している。)
Phasing out the Fed’s pandemic-era stimulus by the middle of 2022 could clear the path for an interest-rate increase.
(2022年央までのFRB.のパンデミック時代の刺激策の段階的廃止は利上げの道をはっきりさせるであろう。)
Federal Reserve officials will seek to forge agreement at their coming meeting to begin scaling back their easy money policies in November.
(FRB.高官は11月の金融緩和政策縮小開始について次の会議に於いて合意が出来る様に図るであろう。)
との記事を掲載した。
これはFRB.がよくやる手で、この様な記事を書かせて市場の反応を見て、“テーパリング11月開始”の決断を下す。
ニューヨーク株式市場で株価は下げたが、まあ想定内の動きであろうか?
さて我が国では、自民党総裁選はどうやら岸田、河野、高市氏の3者の候補に絞られた感が有るが、誰が次期総裁になるのかは全く分からない。
河野氏が一番人気らしいが、どうも霞が関の受けが宜しくない。
“行動力には誰にも負けない。”と自負するが、お役人さんは行動力よりも根回しを大事にする。
アメリカで、“今回はDefense Minister.(防衛大臣)として来たが、恐らく次回はPrime Minister.(総理大臣)として来るでしょう。”と言い放って喝采を受け、アメリカ人の間では受けは良いが果たして本当に総理大臣になる器かどうか?
高市さんは外交が未知数。
アベノミクスを踏襲して自らの政策をサナエノミクスと呼んで“大胆な金融緩和、緊急時の機動的な財政出動、危機管理投資・成長投資”を謳うが、大丈夫かなあ?
単なるアベノミクスの踏襲では新鮮味に欠ける。
岸田さんが一番無難な感じがするが、イマイチ押しが弱い感じがする。
まあ誰が次の総理大臣になっても為替には大した影響は有るまい。
株価は現状の閉塞感からの脱却を期待して日経平均株価は先週3万円の大台を超えて4.3%の上げを記録したが、ちょっとはしゃぎ過ぎの感がしないでもない。
日経平均株価の騰勢とは逆に先週のニューヨーク株式市場ではダウとS&P.が5日、ナスダックが3日連続の下げを演じたが、再び増えてきた新型コロナの新規感染者数に対する不安や、アフガニスタンからの米軍撤退に関してのお粗末な対応を批判してからか、バイデン大統領の支持率が47%へ下落したことなどにも影響を受けたかも知れない。
週明けの東京株式市場では午後2時現在で日経平均株価は約100円の下げとなっているが、更なる株価の調整が起きる様であればリスク・オフとなってドルと円が買われる展開となるかも知れない。
そして、ドル・円相場は相変わらず動かない..
今週のテクニカル分析の見立ては先週ブレークに失敗した110.50を上切れば111円を目指し、逆に109.55を下切れば108円台を目指す展開となる。